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法制審議会家族法制部会第4回議事録7第2部2 窪田委員・沖野委員

昨日は、国賠を傍聴した

胸打つ、意見陳述を満席の傍聴席で聞き入った

親子が会えなくなる

日本で起きていることである

さて、議事録の続きを読もう

窪田委員,沖野委員の順番でお願いいたします。

○窪田委員 

ヒアリングを踏まえての感想というよりは,専ら今後の進め方ということになってしまうのですが,それでもよろしいでしょうか。議論がそちらの方に移っているのかなと思ったので。
○大村部会長 そうですね。直近で頂いた意見の多くは,議論の進め方の方にシフトしていると思いますので,ここから先は,もちろん引き続きヒアリングの感想を述べていただいても結構ですが,議論の進め方についても御意見を頂くということで,議論の重心を移していきたいと思います。窪田委員,そういう前提で結構ですので,御発言をお願いします。





○窪田委員 

 もちろんヒアリングの感想についてもいろいろ申し上げるべきなんだろうと思いますが,議論の進め方ということで,今まで出ている論点について,重なることになるかと思いますが,発言させていただければと思います。
3点ございます。
 一つは,もう先ほど事務局からもお話があったのですが,この法制審の役割と今回できることということは,やはり意識はしておくべきなのだろうと思います。最初に小粥委員から御発言がありましたが,小粥委員は,できないこと,管轄外のことについては議論するなという趣旨では全くなくて,飽くまでそれを踏まえた上で,でも,最後の目的は,民法なり民事法制の改正なのだということを,自覚的に捉えていくべきだったということなのだろうと思います。その周辺の問題が議論できないとその先に進めないというような枠を課してしまいますと,もうちょっと身動きが取れなくなるのではないかなと思いますので,その点が一つ。
 それから比較法,外国法の扱いなのですが,対照的な意見がすごく出ているのだろうと思いますが,これは,外国法を何のために扱うのかということにも関わるかと思います。
 もちろん,ここには,外国法制,外国の家族法制に詳しい方もおられれば,そうではない方もおられますし,また法律の専門ではないという方もおられる中で,ある程度一般的な外国法の知識を共有しておこうというものであれば,これを早めにやっておいたらよろしいと思いますし,棚村先生からお話があったような一覧性のものをまず作って,概略をお話しいただき,それを出発点にしてということでもよいのかと思います。
 ただ一方で,掘り下げた外国法の紹介というのは,実はものすごく難しいのだろうと思っています。今日,委員から資料で出していただいたもの,オーストラリアに関するものもそうなのですが,非常に立ち入った論文というのも従来から幾つもありますけれども,多くの場合には,やはり一定の,そこから解釈論を導くという性格がかなり強くなっておりますので,単純に外国法の状況,外国の状況を知ろうというのではないかと思います。
 もちろん議論していく上での参考となるものではあるのですが,それらを全部扱う,それをしないと先に進めないという前提を取らない方がいいだろうと思っております。必要に応じて論点ごとに外国法についてやや詳しく説明をしてもらうということでよいと思いますし,この場合も,私は基本的にはできるだけニュートラルなものをまず出発点とした上で,必要があれば更に立ち入った形でというのが良いと思っています。そういった形での外国法の位置付けの方がいいのではないかなと思っております。
 それから,3点目なのですが,養育費と面会交流の扱いということで,これは,意見の中でそれほど大きな対立があるわけでもないのかなとは思います。私自身も,養育費と面会交流の話,両方とも大事だろうとは思いますし,最終的にまとめる中で,両方ともについて判断を出すべきだと思いますが,セットであるということはあまり強調しない方がいいのかなと思っております。もちろん,養育費の議論をしていって,また面会交流の議論をしていって,最終的に両者の関係として一定の関わりがあるそうだということは出てくるかもしれないですが,それをその時点で,次のステップで扱うべき問題であるのではないかと思っております。
 さきほど棚村先生から,養育費を払わないのだったら面会交流させないというのがありましたけれども,それもよくありそうな話だなと思うのですが,一方で,養育費を払っているのだから会わせろというような形での一体性が出てくると,やはり面会交流の議論というのは出発点でゆがんでしまうのではないかなと思いますので,一応問題としては切り離した上で進めていったらどうでしょうか。切り離すというのは,全く無関係だということではなくて,まずは別の論点だということで柱を立てた上で議論をしていったらどうかなということです。
 今まで出てきた意見とかぶるところも多いのですが,以上3点についての意見でした。
○大村部会長 ありがとうございました。今日のこれまでの議論をまとめていただいたような形になっているかと思いますけれども,まず,法制審の役割に関する捉え方につき,民事法制以外の問題について,議論をしないということではないけれども,最後は立法のあり方,民事法の改正に結び付くような形で議論すべきではないかという御指摘がありました。
 それから,外国法制は,これは研究者の方々がみなさん共有されていることだと思いますが,理解をするというのは本当に難しいことです。そうであるということを踏まえた上で,しかし,一定程度知識を共有するということであれば,ニュートラルな形で紹介していただくというのはよいのではないかという御指摘を頂きました。
 さらに,養育費,面会交流については,一応分けた上で議論はするということでどうかという御意見だったかと思います。
 それぞれについて,異なる御意見も出ておりましたけれども,それを踏まえての御発言だったと理解をいたしました。



○沖野委員 

 今の窪田委員の御指摘をそのままなぞるような形になってしまって恐縮なんですけれども,同じ項目を3点,やはり申し上げたいと思います。
 一つは,この部会の役割ということで,もうこれは既に,本日問題提起をしていただいたことで共通理解となっているのではないかと思いますけれども,中核としては,法制審議会の部会として,民事法制についての一定の考え方を示すということだと理解しております。しかしながら,取り組むべき問題というものが,民事法制だけで解決するものではないということも共通理解となっており,この民事法制がどう動くか,あるいは,しかるべくように動いていくためには,どういうことが必要なのかという点から,様々な検討が必要だということになってくると思われます。公的支援もそうでしょうし,あるいは民間の団体との協働ですとか,いろいろな形があると思います。
 また,法制度としてどういうものがあるべきかという,その選択においても,他の制度ですとか他のものが関連してきて,こういうことができるのであれば,選択肢Aになるけれども,しかし,そこが難しければ,やはりBになるとか,そういう形で関連してくることが考えられるので法制度だけを独立して論じることもできないと思います。ただ,しかしながら,私たちは全てを同じ比重でやっていくわけではないということは,重々念頭に置いておく必要があるだろうと思います。
 2点目がヒアリングでございますけれども,これまでのヒアリングで,私,途中出られなかったときもあるんですけれども,参加させていただいたところでは,非常に多くを学んだと思います。いろいろな問題,いろいろな経験,そして問題の深刻さ,重さについても,改めて感じ入ったというところがあります。したがいまして,ヒアリングを続けていくということに対しては,更に多くを学ぶ機会だろうとは思っております。
 しかしながら,ヒアリングには一方,限界もあると感じておりまして,様々な御自身の経験を語ってくださるということですが,その経験には,恐らく別の見方もあるだろうと。
 相手方,あるいは別の立場に立てば,同じ事象が違うように見えてくるとか,違う経験があるということがありまして,そういったことを同じようにヒアリングで補完していくということになりますと,ある意味際限なくなってしまうということがありまして,やはり私たちが最終的に取り組む民事法制の在り方のために,どういうことを考えていくかといったときに,時間も限定されているということもございますけれども,むしろこういうヒアリングが再びやはり必要ですねという指摘がありましたら,正にそれを補充していくというような形で,また,これまでのヒアリングに対し,しかしこういう点も考えなければならないというのは,既にいろいろな専門家の方が知見を持っておられるところですから,そういった留保も十分していくことで,あるいは,今回もそうですけれども,今までのヒアリングになかった,しかし,こういった点が実は重要であるとか,こういった御経験もいろいろとあるんだということは,正に委員や幹事の皆様から伝えてくださって,それを
共有しているということもありますので,そういった手法も組み合わせて考えていくべきではないかと思っております。
 同じことは海外法制についても言えまして,海外法制というのは,やはり私たちのこの制度をどういうふうに作っていくかというのに当たって,こういうようなやり方もあるとか,こういう経験もあるとか,そういったことを学びといいますか,それを参照していくものであり,そのための情報入手等としてヒアリングが唯一だとは思われませんので,やはり適宜の方法でということになるのではないか。それもまとめて集中的にということもあり得ますけれども,そうではなくて,例えば,韓国の例でこういうものがあって,こういうところの実態が分かれば,一層参考になるのではないかという御指摘があれば,それについての情報提供ということが,どういう方法があり得るかというようなことで見ていくということもあり得ると思います。もちろん,ヒアリングを否定するというわけではないのですけれども,全てヒアリングをやるべきだということにはならないという前提で,適宜の組合せを考えていくべきではないかと思っております。
 3点目が,具体的な項目につきまして,私も養育費と面会交流というところから始めていくということが適切ではないかと思っております。両者の関係につきましてなのですけれども,これも,ヒアリングですとかこれまでの皆様の御意見を聞いてということなんですが,私は,子どもの養育に親が共にそれを担っていかなければならないと,そういう義務を負っている中で,養育費というのは経済面での担い方ですし,面会交流,あるいはそれだけではないかと思いますけれども,というのは,交流ですとか先ほど精神的ということも言われたと思いますけれども,財産法的にいえば現物給付的ということもあるのかもしれませんけれども,そういう点からの様々な義務を果たす手法の一つと考えますと,両者というのは関係している,あるいは,子どもの養育という点からは,その一環という形で位置付けられるというものではないかと思っております。
 しかしながら,具体的な内容というのはそれぞれかなり違っておりますので,これを一緒に論じていくということの意味がどういうことなのかということで,結局やはり養育費というのはこういうふうに,面会交流というのはこういうふうにというような形で論じていかざるを得ないのではないかと思います。
 両者の関係につきましては,今申し上げたような大きな位置付けといいますか,視点の中で,両者というのをどういうふうに考えていくかという問題と,非常に個別的な点で両者を連動させて考えるのかという問題があり,出てまいりました面会交流がブロックされるならば養育費は払わないとか,あるいは,面会交流をしているなら養育費を減じるべきだとか,これというのは非常に具体的なレベル,それぞれの中身のレベルで両者を関連させ,あるいは連動させていくという考え方ですけれども,果たしてそうかと。そもそもが,子どもの養育というのを担う,あるいは,それが義務であるならば,面会交流をしていても,子どもの養育に費用が必要ならば,それは負担しなければいけないということになりますので,一方が負担できなければ他方が負担すると,中の分担ですとか,最終的な精算をどうするかというのは,また別途考えられると思いますけれども,それはちょっと具体的に立ち入りすぎかもしれませんけれども,そういう具体的なレベルでの関連性があるのかどうかというのは,それぞれの制度を考えた上で,さらに最後,両者の関係性というようなことで考えていくというのがよろしいのではないかと思っているところです。
○大村部会長 ありがとうございました。先ほどの窪田委員の御発言とほぼ対応する形で御意見を頂いたと思います。
 特に最後の3点目ですね。養育費と面会交流について,大枠での捉え方と個別の制度のレベルでの捉え方とを区別して考える必要があるのではないかという御指摘を頂いたと理解をしております。


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弁護士古賀礼子
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