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雪の日に思う~議論のベースにしたい「単独親権制の理解」

夫婦別姓論の研究をしていたら、なんだかここ数日一気に勢いづいている気がする

そのことを教えてくださる貴重なリアクションもあったりw
こんな報道も

3つ目は、司法制度だ。フランスが、日本人女性による実子連れ去りに対して、誘拐犯としての逮捕状を出した。共同親権を認めないとか、離婚後の親が例外的な事情もないのに子に会えないとか、裁判所の命令に反して国外に子を連れ出すなどは、文明国とは思えない。いわゆる「人質司法」とともに、改革を断行すべきだ。


世論の後押しも見られるようになった

もういよいよというところだろう

今一度、とかく散乱しすぎな議論のベースを確認していくことが大切に思うので、共同親権訴訟において確認・整理してきた、単独親権制の理解を抑えておこう

正しく議論を発展させていくために不可欠といえる

資料はこちらから確認できる

準備書面3に添付される別紙でのまとめが文量的にもちょうどいい

そして、これは単に一方当事者が決めつけたものではなく、被告国の主張も踏まえて、争いのないものとしていいうる制度の実像を議論の対象としていく

別紙 現行の単独親権制に対する理解

 

従前の本訴訟上の主張及び本書では、現行法の単独親権制の合理性について論じているところである。この点、別紙として、「現行法の単独親権制」の原告訴訟代理人の理解を確認させていただく。

1 基本的な制度・条文

 民法818条1項は「成年に達しない子は、父母の親権に服する。」とし、親権が原則として父母に帰属することを規定しているが(非婚の父母も除外していない)、同条3項において共同で親権を行使できる場合を「父母の婚姻中は、」に限っているため、非婚の父母は一律単独親権となる。
 その上で、上記のとおり同818条3項の「父母の婚姻中は、」の規定により非婚の父母が単独親権となることから、単独親権の場合に、父母のどちらに親権を帰属させるかという規律が必要となり、これが民法819条であると考える。

2 上記規定による「単独親権制」とは

 上記のとおり、現行法は婚姻中の父母は原則共同親権である一方で、非婚の父母は一律に単独親権である。これが一つの制度であり、「単独親権制」という。注意していただきたいのは、単独親権状態の父母のみを単独親権制と言っているのではなく、婚姻中共同親権状態にあるか非婚で単独親権にあるかどうかを問わず、すべての父母が現行の「単独親権制」の制度の中に置かれているという点である。

3 「単独親権制」の内容

 現行法の制度の内容として特徴的なのは、父母の意見が一致しない場合の解決の仕組みを欠いているという点である。訴状ではこのことを、「これまで述べたとおり、現行法は、父母の養育権を調整する仕組みや基準が完全に欠缺している。これも上記単独親権制の在り方に由来する。我が国の単独親権制は、親であることと父母の関係を結び付け、父母同士が法律婚状態で意見が整う場合でない限り、片方の親の養育に対する決定権を否定する形をとっている。養育権の調整以前に養育権否定という形で解決するからこそ(不合理な解決であることは後述)、養育権調整の仕組みが欠缺していても一応成り立っているのである。そのため、たとえ形としては法律婚状態にあり親権を有していても、他方親に養育に関する決定権を否定され事実上関与を妨げられてしまうと、親の意思と手続保障によらず子と通常の親子関係にあること自体を奪われてしまう。親権者でありながら養育権を侵害される事態は、離婚のタイミング以上に何らの司法的判断を受けずに養育権を侵害されている点で、より深刻であるともいえる。」と説明している。(訴状30頁から31頁)。
 他方で、現行法「単独親権制」の捉え方自体は、以下のとおり、被告もほぼ同様の説明を行っている。被告第1準備書面の5頁において、まず、「父母が離婚をする場合,上記のような法的関係は解消されるのであり,仮に父母の双方を親権者と定めるとすると,子の教育や医療など親権者が決定すべきこととされている事項について,父母間で適時に適切な合意を形成することができず,子の利益が害されるおそれがある。」「広範囲に及ぶ子に関する決定の全てを離婚した父母が共同で行うのか,一部のみ共同で行うのであればどの範囲で共同するのか,父母間で合意が整わないときは誰がどのように解決するのかなど、様々な問題が生じることが考えられる。」と述べる。これは、父母間の意見不一致の場合の解決方法が存在しないことを意味している。しかしながら、被告は、被告が述べるような問題点を有する現行法を是としている。その理由が、同じ被告第1準備書面の5頁に述べられている。「そして,民法819条2項や同条5項が,父母の協議が調わないときなどに裁判所が親権者を定めると規定しているのは,裁判所が後見的立場から親権者としての適格性を吟味し,その一方を親権者と定めることにより,子の監護に関わる事項について,適時に適切な決定がされ,これにより,子の利益を保護することにつながるものである。」とするのである。これはつまり、上記のとおり父母間で意見が調わない場合の適切な調整方法が存在しないことについて、父母が非婚の場合は単独親権とすることこそが同問題の解決方法であると言っているのである。立法内容の是非の結論はともかく、現行法の構造の説明として本件原告と被告は一致していると思われる。
 この点に関し、現行法(当時からすると改正民法)の議論からも明確に説明することができる。
 法律時報31巻11号記載の現行法の立法当時の座談会(甲34)において、明確に議論されている。父母の意見が一致しないときの規定がないことについて、司令部が「非常にふしぎそうな様子」「それでいいのかという」との意見を示していることに対して、我妻氏の発言は「それはそれですまないというのがほんとうだろうが、日本の場合はすんでいるのだね。」(84頁)「多くの場合、父親のいうことにきまるだろうということじゃないですか。」(85頁)としている。つまり、現行法に、父母の意見が一致しない場合の調整規定が存在しないことは、立法当時から意識されていたのであり、それでも事実上の父母の力関係(「多くの場合、父親」とある。)で解決すればよいと考えられていたのである。
 以上のことから、現行法の単独親権制とは、すなわち、父母間に子の養育に関する意見の対立があってもこれを調整する仕組みを一切用意せず、事実上の父母間の力関係に解決を委ねるか(これを解決というのかどうかはともかく)、当初からの単独親権(認知等の場合)及び単独親権への移行(離婚の場合)によって養育に関する決定権そのものを一人の親に集中させることによって解決する制度、である。
                              以 上

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