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婚姻中共同親権を考える時代へ

共同親権弁護士が,婚姻中共同親権に反対した!!

この思考実験が我ながら面白い

離婚後共同親権を反対する理由は,婚姻中共同親権を反対すべき理由にも重なり,しかし,だからといって,婚姻届の提出だけで婚姻ができてしまうことの問題提起はあまり見られない。むしろ,夫婦別姓の形の婚姻や同性婚も婚姻として承認すべきという,「婚姻」を拡大しようという主張こそ目立つ。

しかし,婚姻届の提出によって,婚姻関係という法的身分関係という法律効果を享受するわりには,実は,その法律効果について知らないという現象が見られるのも現実によくある


そういえば従前,民法を読んでみる企画をnote開設当初試みていた気がする

民法が婚姻の効力として記載しているのはこちら

第2節 婚姻の効力(第750条 - 第754条)
第750条(夫婦の氏)
第751条(生存配偶者の復氏等)
第752条(同居、協力及び扶助の義務)
第753条(婚姻による成年擬制)
第754条(夫婦間の契約の取消権)

ここだけに限定さらず,夫婦財産制が別項目で並んでいる

第3節 夫婦財産制 (第755条 - 第762条)
第1款 総則 (第755条 - 第759条)
第755条(夫婦の財産関係)
第756条(夫婦財産契約の対抗要件)
第757条 削除
第758条(夫婦の財産関係の変更の制限等)
第759条(財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件)
第2款 法定財産制(第760条 - 第762条)
第760条(婚姻費用の分担)
第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)
第762条(夫婦間における財産の帰属)

あれ?改めてみると,婚費は,この法定財産制に位置づくのだから,婚姻するときに,夫婦で話し合って,婚姻届提出の前に,契約をしておくことが,婚費地獄を免れるチャンスということになる。

第755条
夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。


第756条
夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。


第758条
夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は、変更することができない。
夫婦の一方が、他の一方の財産を管理する場合において、管理が失当であったことによってその財産を危うくしたときは、他の一方は、自らその管理をすることを家庭裁判所に請求することができる。
共有財産については、前項の請求とともに、その分割を請求することができる。


第759条
前条の規定又は第755条の契約の結果により、財産の管理者を変更し、又は共有財産の分割をしたときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。

夫婦財産契約が婚費地獄の対策になる!!!

第760条
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

この条文だけ読むと,婚費地獄は回避しえるように読めるのに,不思議

第761条
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

第762条
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。


内助の功という概念で,結局財産分与の対象となっていくのだけど

第768条
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。


共有財産をとにもかくにも2分の1にする,ということになる

夫婦財産契約を締結していないと,法定財産制になって婚費も分担し,財産分与は2分の1ルールになっていく

たとえば,夫婦別姓の結婚をしたかったら,現状,婚姻届を出して通称使用(それ自体不自由)をするか,婚姻届を出さない方法がある

日常の暮らし自体は同棲の延長のようにして,支障なく気にならないものでもあるのだろうけど,婚姻届未提出によって法的効果を享受できないかもしれない恐れのために,民法の婚姻の効果を私的契約(婚姻契約)により発生させようと,分厚い契約書面を公正証書にて公証するといったことがあるのだろうけど

婚姻届を出す場合も夫婦財産契約を締結しておいた方がいい!!

婚姻後には締結できないし変更もできないので,婚姻前に,共同監護契約も策定しておくことが望ましい

結婚しようというのにそんな面倒なことはしたくないのかもしれないというのだろうけども,某誌を読んで結婚式を準備するような面倒に比べれば,重大さは別格だろう・・・なぜ,しない?

夫婦になる試練を乗り越えてこそ,生涯の愛を

けじめ,責任という感覚で婚姻届が提出されることがあるのだろうけど,そんな儀式的なもの,実際の中身を理解することなくどれほどの意味があるのだろう

知らないし認識もしていなくても,婚姻届を出すということは,法律婚をして,法的婚姻効果を享受するということになる

離婚の危機に直面したとき,初めて,どんな法律規範の中にいるのか,気づき,多くの場合,不合理なルールだったと違和感を覚える

そこで初めて夫婦(別居していても,家裁に通っていても法的には,戸籍を一つにする夫婦),結婚観の違いに直面していく

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