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法制審議会家族法制部会第13回会議議事録14~水野委員・赤石委員・北村幹事

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でも議事録は読んでいこうかね      


 (休     憩)
 

○大村部会長 それでは、再開したいと思います。
 残りの時間が30分少々なのですが、9ページの4以下に入りまして、9ページから18ページの「7 面会交流の直接的な強制」というところまで御意見を頂きたいと思います。

細かすぎてお蔵入り

○水野委員

 4の前の、休憩時間前に発言すべきことだったのですが、お許しください。公示送達について技術的な議論が随分行われましたけれども、そういう公示送達を使った通常の民事的な取立て手続と違うところの根本的な制度設計というのもあり得るように思います。つまり、行政庁がお手伝いをするということなのですけれども。
 フランスのように租税局が強制執行を直接税取り立て手続きに乗せて代行するような制度まで考えましたら、当事者が住所を一生懸命探すのを行政庁がお手伝いしていいか、というより、当事者が一生懸命住所を探す前に、行政庁が最初から手伝うという根本的な形の制度設計まで企画することはあり得るのだと思います。
 民事法制のこの部会でどこまでその議論ができるかという問題はあるのかもしれませんが、将来世代のためによりよい制度を構想するときに、そんなことを気にするのも、ちょっとずれているような気がしまして、養育費についてはもっと根本的な制度設計の議論が可能なのではないかと思いながら伺っておりました。
○大村部会長 ありがとうございます。いろいろな考え方があるだろうと思いますけれども、水野委員がおっしゃったように、民事法制の中で何ができるのか、あるいはその外で何をやっていただくことが望ましいのかということを考えて、その見合いの中でこの部会で民事法制の問題としてどこまでやるのかということを議論していくことになろうかと思います。
 それでは、今の9ページ以下ですけれども、赤石委員からお願いいたします。

面会交流の話ではない

○赤石委員

 ありがとうございます。9ページ、まず「暫定的面会交流命令」ということ、それから最後に「面会交流の直接的な強制」についても意見を述べたいと思います。
 本当にこの暫定的な面会交流命令というものに、とてもとても驚いてしまいましたということがまずございます。
 質問なのですけれども、「父母の別居から一定期間内」というのは、どの程度なのかということです。
 それから命令の種類、これは月に1回とか、このようになるのか、それとも1回限りの命令が出るのかというようなことはちょっとお聞きしたいと思います。
 その上で意見なのですけれども、先ほども細矢委員が、裁判所では双方の意見をきちんと聞いて、ニュートラル・フラット、要するに面会交流ありきという対応から、ニュートラル・フラットな対応をするのだというようなことをおっしゃっていたと思うのですけれども、これはそれをかなり逸脱しているというふうに感じております。
 どうしてこのようなことが出てくるのか。私は、もちろん支援団体をしているわけなのですけれども、裁判所というのは、双方の主張があって、面会交流をしましょうという申立てがあり、あるいは今すぐには、ちょっとこういう状況でできませんというような主張があり、それを調停するところだと思います。それを一方の主張だけで--まあ、「子の安全を害するおそれがあるときを除き」という条件はあるにはあるのですけれども、裁判所が一方の申立てで面会交流の命令を出すというのは、家庭裁判所としてやっていいものなのか。全く秩序が、混乱を招くと思っておりますし、責任放棄的な。この後に「子の代理人」というのが出てくるのですけれども、子の代理人がこんな重大なことをおやりになり、かつ、最後には辞任までできるということになっていて、ちょっともうよく分からないというのが正直なところです。
 もうちょっと細かく見させていただきますと、10ページの--幾つか指摘させていただきますと、「別居から一定の期間内に面会交流の調停又は審判が申し立てられた場合には、暫定的な面会交流を命ずることができる。」で、「「子の連れ去り」が主張されるような事案では」で、この定義が何なのか分からないのですが、一方は主張していて、「子の連れ去り」というのは、もしDVがあれば、DVからの親子の避難であるというふうにも主張されていると思います。そうすると、一方の主張だけで、このようなことをここでかぎ括弧で書いている意味がよく分かりません。これを、「子の連れ去り」ということをこの法制審議会の議論で使うというのからして、一方の主張だけを入れているように思えます。子連れの別居、子連れの別居ですね、それは、子どもと親子の安全のためにやっていることではないのでしょうかということがございます。
 その上で、その後、「別居親と子との交流を維持することで父母間の葛藤が緩和することも期待され」。これはどのような論理的な根拠があって、エビデンスがあっておっしゃっているのか全く分からないので、かえって父母間の葛藤が激化することもあり得るのではないかというふうに危惧されます。
 それから、「子の連れ去り」に関しては最高裁で、それはやむを得ない事情については認定、認められ得るということが既にあると思います。例えば、お子さんを連れて行かなければ、お子さんの面倒を見る方がいなくなってしまうというような、で食べていけないというか、そういうときには、これは全くやむを得ない事情であるですとか、それからDV被害の事例ですとか書いてあるものがございますので、ここで一方的にこれが何か、この事象をないような状況にしなければいけないということにはなっていないはずでございます。
 そういうことで、面会交流を命ずるということが、果たして子の利益になるのか、かえって混乱するということがとても考えられるかなと思います。
 子どもの代理人がこういったものを、子どもの心理がお分かりになる方も、もちろん子どもの手続代理人をされている先生たちは、そういうことでは私どもも尊敬しているのですが、全員がそうではないかなと思いますので、どうしてそういう方が指定できるのかなということを思いますし、別居親と子の交流、子の安全を害し得るという根拠、認定はどのように行うのかが明らかでないので、非常に限定的にしか認められないのだとすれば、この命令が出るというのは非常に危機的なことになるのではないかなと思います。
 2011年以来、細矢委員の2番目の論文でもありましたけれども、同居親から、面会交流ありきになって非常に困る事態になったというような混乱が更に非常に過酷な形で出てくる可能性があります。絶対にこんな面会交流の暫定命令ということをやってはいけないと思っております。
 既にいろいろな形で各国がもう面会交流をありきにしていたことによって不利益が生じているということは分かっておりますので、是非再考していただき、ここについては再考していただきたいと思います。
 それから、後の方です。子どもについての面会交流の強制執行についても、直接的な強制についても、ちょっと時間取っておりますが、非常に子どもにとって大変な事態になると思いますので、私は消極的です。
○大村部会長 ありがとうございました。赤石委員からは、結論としては、4についても、7についても消極的である。4については面会交流に混乱をもたらすことになるであろうという御意見を頂きました。
 それで、御発言の中には一定期間ということ、あるいは「子の代理人」の位置付けについての御質問もあったかと思います。
 あわせて、手続の構造というのでしょうか、一方の申立てによりという点につきある種の御理解が示されていたと思いますけれども、その辺りも含めて事務当局の方から説明を頂けますか。

当然ね 消極意見

○北村幹事

 事務局になります。
  冒頭の御説明でも申しましたように、こちらは家事事件手続法157条1項の特則ということを想定してございます。保全処分ということになりますので、当然本案が係属している、本案の面会交流審判申立てが継続していることを前提に、保全処分として申し立てられる。そして、仮地位仮処分ということになりますので、当然相手方の意見も聞くとともに、157条2項に記載してございますけれども、審判を受けるべき者となるべき者の陳述ということで、相手方のほか、15歳以上の者ですけれども、子の陳述を聞かなければならないというような規定にもなっています。したがって、決して一方の言い分だけを聞いて出すということは想定しておらず、双方の意見を聞いて、なお、暫定的ということで、まず1度会わせて、会わすことが適切なのだというような場面において発動するものという整理をしております。
 そういう意味で、一定期間内というものについては何か、現時点で今決めているわけではなく、早期に面会交流ができる場合があるのであれば、このような手続を使い、まず1回会い、それがまた本案の審理にもその結果について反映される。実際に会えないということであれば、そこに今後も面会交流、本案の審理をされていく中で、状況等を見て難しいという判断にもなっていくでしょうし、そういった構造になっているというお答えになります。
 全てにお答えしたかどうかはあれですけれども。

暫定的面会交流イメージ

○赤石委員

 試行面会とどう違うのですか。

試行面会との違い

○北村幹事

 そうですね。本案の中でされている、試行的な面会交流というものが一つ調査の方法としてあるのですけれども、それは飽くまでも裁判所の方で必要とされる場合に、調査の一環としてされているものと承知していまして、これを保全として当事者が申立てということで、当事者の申立権を認めるというものとして整理をしております。
○赤石委員 そうはちょっと読めないです。「当事者の申立てにより、実施を命ずる」。では、もう少し書き足されるということですよね。

試行面会はあくまで調査?

○北村幹事

 先ほども申し上げましたように、この枠組み自体は家事事件手続法の157条の枠組みとしての保全処分ということで想定をしておるということですので、当事者の申立てによって始まるのだけれども、当然157条2項に記載しておるように、仮の地位を定める仮処分になりますので、相手方の意見は聞くし、子どもの陳述も聞くということを想定しているというものになります。

○赤石委員 1回限りなのか。命令というのはどういうものなのでしょうか。
○北村幹事 そこも含めて今後の検討ですけれども、保全ということですので、まず暫定的な保全命令という形での命令が出されて1度会うということが、保全という意味での想定ということになります。
 継続してやるということで、そこは当然本案の方で継続していますので、本案の面会交流事件ということで継続しているので、今後のことについてはそちらの方で出されるということですけれども、今回は保全ということですので、保全の中で判断されて、通常であれば、まず1回ということになろうかなとは思います。
○赤石委員 では、通常の場合、1回なのですね。
○北村幹事 その辺りも含めて、保全の枠組みの中で何をどこまでやっていくかということも含めての御議論を頂きたいということでの今回の御提案になります。
○大村部会長 今の点、まだ議論はあるかと思いますけれども、基本的なところは既に存在する手続が前提にされていて、それに乗った形でこのような処分がなされる道が開かれるということなのだろうと思います。
 法律家の方々にはこの理屈自体はお分かりになると思うのですけれども、説明を見たときに分かりにくいという方々もいらっしゃるのだろうと思いますので、また後でこれについて扱うときには、一般の方々にもわかりやすい説明をもう少し加えていただくことを御検討いただこうと思います。それでいいですね。

消極論からの抵抗も、法律家と一般の分断で終わる

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弁護士古賀礼子
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