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法制審議会家族法制部会第24回会議議事録読む1~北村幹事・窪田委員・落合委員・赤石委員

単独親権制の差別が明らかになってきたところだけど

今週からは議事録を読んでいこう~しばらくこのシリーズかな

まずは、第24回(3月)の


法制審議会
家族法制部会
第24回会議 議事録
  
第1 日 時  令和5年3月28日(火)  自 午後1時30分
                      至 午後5時24分
 
第2 場 所  法務省大会議室
 
第3 議 題  家族法制の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けた検討(1)
 
第4 議 事  (次のとおり)
         議        事
○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会家族法制部会の第24回会議を開会いたします。
 本日は御多忙の中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
 本日も前回までと同様、ウェブ会議の方法を併用した開催となりますので、そちらの方もよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、次に、本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局の方からお願いをいたします。

2月は短かったけどね

○北村幹事 

事務当局でございます。お手元の資料について御確認いただきたいと思います。本日の会議資料として、まず部会資料24、そして、部会資料24に関する御参考資料として1枚の絵のもの、そして、「「家族法制の見直しに関する中間試案」に対して寄せられた意見の概要【令和5年3月時点の暫定版】」をお配りしております。
 これまでにこの部会では、諮問に関連する各論点について2巡の議論を行った上で中間試案をお取りまとめいただいて、パブリック・コメントの手続や追加のヒアリング等を実施してきたところでございます。部会資料24は、これらも踏まえまして、今後の要綱案の取りまとめに向けた各論点に関する3巡目の議論を行うための検討課題をゴシック体で記載した上、その補足説明を明朝体で記載しております。具体的な今回行う論点としては、まず、第2として「親子関係に関する基本的な規律の整理」、第3の1として「離婚時の情報提供に関する規律」、第3の2として「養育費等に関する定めの実効性向上」に関する規律、第4として「収入に関する情報の開示義務に関する規律」、第5として「財産分与制度に関する規律」を取り上げております。資料の内容については、後ほど御説明いたします。部会資料24に関する御参考資料は、部会資料24のうち養育費等に関する定めの実効性向上についての参考資料です。内容については、部会資料24と併せて御説明いたします。
 そして、「「家族法制の見直しに関する中間試案」に対して寄せられた意見の概要【令和5年3月時点の暫定版】」ですけれども、こちらは飽くまでも今回の部会資料24の議論の御検討の御参考としていただくという趣旨で、パブリック・コメントの手続に寄せられた御意見のうち、現時点までに集計することができたものを暫定的に御紹介するものでございます。今回の論点に関しましても、全ての御意見を御紹介できていないということは御理解いただければと思います。そして、また集計作業、我々の方で確認しながら作ってはおりましたけれども、場合によっては少し意見がずれているという点もあるかもしれません。今後そこは速やかに修正していきたいと思いますので、その点を御留意ください。
 また、別紙に付けております団体一覧でございますけれども、今回はe-Govの意見提出フォームを経由せずに意見提出を頂いた団体のうち、現時点で確認できているものの一覧でございます。当然、e-Govの意見提出フォームからもたくさんの団体から、そしてたくさんの個人の方から御意見を頂戴しておりますけれども、その中からまず団体を抽出するのにやや時間が掛かっておりますので、そちらにつきましては次回以降の会議資料において整理させていただいて、次回以降、随時資料を更新させていただく予定でございます。
 資料の説明は以上になります。
 なお、前回会議と同様、本日もパブリック・コメントに寄せられた意見をコピーしてつづったファイルを会議室に御用意しております。個人情報等のマスキング作業ができた範囲のもののみではございますが、委員、幹事の皆様が会議の前後や休憩時間等に御参照いただくことができるように備え付けております。
 今回もウェブ会議を併用しておりますので、御発言に当たっては冒頭でお名のりいただきますようお願いいたします。
○大村部会長 ありがとうございました。
 それでは、本日の審議に入りたいと思います。ただいま事務当局から御説明がありましたように、本日は部会資料24に基づきまして、各論点の3巡目、第三読会ということになりますが、3巡目として、要綱案の取りまとめに向けて御議論を頂きたいと考えております。両論併記の中間試案をまとめましたけれども、意見の取りまとめができるところから少しずつまとめていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 具体的な進行予定ですけれども、部会資料24を三つに分けたいと思っております。まず、「第2 親子関係に関する基本的な規律の整理」を御議論いただきたいと思っております。資料で申しますと1ページから11ページの頭までということになります。その次に、「第3 父母の離婚後の子の監護に関する事項の定め等に関する規律の見直し」及び「第4 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直し」という二つの項目、資料で申しますと11ページから32ページの途中までということになりますが、ここをまとめて2番目に御議論いただければと思っております。最後が「第5 財産分与制度に関する規律の見直し」で、32ページ以降ということになります。今御説明したように、大きく三つに分けて進行させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、まず部会資料24の「第2 親子関係に関する基本的な規律の整理」という部分に入りたいと思います。事務当局の方から部会資料24の第2の部分につきまして、まず御説明をお願いいたします。

3巡目に突入

○北村幹事

 事務当局でございます。部会資料24の第2では、親子関係に関する基本的な規律の整理を取り上げております。中間試案におきましては、父母は成年に達しない子を養育する責務を負うものとするという考え方を提示するとともに、子の最善の利益や子の意見に関する考え方を示しておりました。また、子に対する父母の扶養義務の程度については、他の直系親族間の扶養義務の程度よりも重いものであることを明らかにする規律を提示するとともに、成年に達した子に対する父母の扶養義務の程度について、複数の考え方を示していました。父母は、親権を有するかどうかにかかわらず、子との関係で特別な法的地位にあり、その根幹部分は子を養育する責務や責任であると考えられますが、現行民法にこのことが必ずしも明確に規定されていないため、例えば、親権者でない父母が子に対して何らの責任を負わないかのような誤解をされることがあるとの指摘があります。このような指摘を踏まえますと、親子関係そのものから生じる法律関係を明確化する観点から、子の養育に関する父母の責任や責務についての規律を設ける方向で検討する必要があるように思います。しかし、子の養育に関する父母の責務や責任についての規律を設けるとしても、父母がこの責務や責任をどのように果たしていくかは各親子関係によって様々であると考えられ、また、子の利益、子の意見、扶養義務の程度などの論点に関しても、どのような事案や場面を念頭に置くかに応じて様々な考え方があり得るところでありまして、パブリック・コメントの手続におきましても様々な御意見を頂きました。
 資料のゴシックの①から④までは、現行法の解釈としてあり得る考え方の一例を記載しておりますけれども、その解釈を具体的に規律するということは必ずしも容易ではないようにも考えられます。この部会の第23回会議でも部会委員から、子の意見の考慮の在り方についての具体的な規律を設けることには様々な困難を伴うことを御指摘いただき、一般的な規律を設ける方向での検討を示唆する御意見を頂いたものと受け止めております。こうしたことから、部会資料24では、本日の会議で御議論いただきたい検討課題として、子の養育に関する父母の責務や責任に関し、ゴシックの①から④までのような解釈の根拠となるような一般的な規律を設けるということを提示しているところでございます。
○大村部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの部会資料24の第2につきまして意見交換をお願いしたいと思います。どなたからでも結構ですので、御意見等のある方は挙手をお願いいたします。

順番どおりに検討かな

○窪田委員

 第2に関して少し意見を申し上げたいと思います。意見は2点ございますけれども、基本的には最終的に、この四つの方向を踏まえた上で、より一般的な条項を作っていくという方向だということですし、それ自体は十分考えられるものだと思っております。その点では今、①から④まで、余り細かいことにこだわるべきではないのかもしれませんが、一般的な規律を作る上で参考にしていただければという意味で、2点発言をさせていただきたいと思います。
 一つは、①の父母が子を養育する責務を負うことということで、基本的には非常に多くの賛成意見があったところだと理解しておりますが、私自身が気になるのは、養育する責務ということについて、これが扶養する義務あるいは扶養する責務では駄目なのかという趣旨の点です。この点について発言させていただくのは、基本的には3点理由がございます。
 一つは、このことの背景になったこととして、2ページの下の方に書かれていることですが、従来、未成年の子に対して親が扶養義務、生活保持義務を負うということについては、ほぼ異論がないのだろうと思います。ただ、法律上の根拠は明確ではないということで混乱していた中で、こうした規定を設けるということであれば、端的に扶養というふうな形でもいいのではないか、これが第1点です。
 第2点として、扶養というもの自体も実は非常に広い概念でして、様々な形での扶養があるということを考えるのであれば、扶養という言葉によってカバーされる範囲は十分に広いのだろうと思います。
 第3点に、これはひょっとすると一番実質的な論点になるのかもしれません。余り神経質に扶養という言葉ではなくて、養育でいいではないかという議論はあると思うのですが、養育に含まれるけれども扶養にはうまく含まれないものというのがあるのか、どうなのか。また、あるとすれば、それが適切なのかということがあるのだろうと思います。説明の方を見ていきますと、3ページの上から10行目ぐらいでしょうか、子と別居する親も、親子交流をする方法や養育費や扶養料の分担をする方法などによって子を養育する責務を果たすことが考えられるとあります。このうちの養育費や扶養料の分担というのは、恐らく扶養という概念の中に含めることができる。そうだとすると、そこに入ってこない親子交流をする方法というのが扶養の中に入ってくると読める可能性があるのですが、そうすると、親子交流をするということ自体について、まだいろいろな形での議論を抱えている状況の中で、養育という言葉を使うことによって、その中にこれが入ってくるというようなことは、基本的にはやはり避けた方がいいのではないか、その部分を明確に議論した方がいいのではないかと思います。そういう意味で、養育する責務ということで、一般的な表現としては非常に魅力的な言葉なのですが、もう少し単純に扶養ということでは駄目なのかという印象を持ちました。
 もう一つの点は、もっと抽象的なのかもしれませんが、②、③についてです。②、③なのですが、これは中間試案の段階では第1の1、子の最善の利益の確保という中で、養育する責務を受けるような形で(2)、(3)というものがあったものですから、何となくイメージがはっきりしたのですが、その前提をなくして②、③で、どの場面でかということが全く規律されないまま、子の利益を考慮しなければならない、子の意見等の把握に当たっては様々な事情を配慮しなければならないということが、どの場面でということが全くないままあるという規律は、これがどのような意味を持つのだろうかというのが、よく私自身には分からないということがありました。もちろん中間試案の段階の、民法その他の法令により、子について権利の行使及び義務の履行をする場合や現に子を監護する場合にはというのが狭すぎるとか、あるいはこれでも広いとかという議論はあり得ると思うのですが、こうした場面限定が全くない形で子の利益を考慮するというのは一体どういう規律なのだろうかと。人は正しく生きなければいけないという規律のような感じもいたします。このまま、もちろん場面を限定することについていろいろな議論があるとしても、全く場面を限定しないこの配慮義務というのは、少し観念しにくいのかなと思いましたので、一般条項として考える場合には、少し検討していただければと思いました。
 以上の2点です。
○大村部会長 ありがとうございます。窪田委員からは、一般的な規律を置くという基本的な方向には賛同いただいた上で、2点御指摘を頂きました。一つは、養育という概念と扶養という概念を整理する必要があるのではないか、この場面では扶養の方がむしろよいのではないかという御意見だったかと思います。それが①についてですが、それから、②、③については、一般的な書き方になっているので、より場面を限定する必要があるのではないかという御指摘を頂きました。

扶養?


○落合委員


 ここは一般的なことで、余り反対がないのではないかというようなことで、まとめでもそんなことも書いてあるのですけれども、しかしパブリック・コメントを読みますと、やはり反対とかその他というところもかなりありますよね。特に私が注目するのは、この責務というところを、父母の責務を強調することによって、社会的な支援を受けられるというようなことが後退するのではないかというような懸念です。それから、権利・義務といったらどうだというような提案をされている方もありますね。責務という言葉が元々出てきたのは、親権とかいう言葉ではなくて責任というのが適切ではないかとかいうようなことでした。それが責務という形で結局ここに入ったのだと思うのですけれども、責務という言葉だけ見ますと、やはり義務に似たところがありまして、そうすると、中間試案の第1の1の(1)と(2)のところで、少し齟齬があります。(2)では、権利の行使及び義務の履行と書いてあるのですけれども、(1)にはその言葉がないのです、責務になっている。この(1)と(2)の関係はどうなるのかというようなことも気になるように思います。ですから、いっそのこと、このパブリック・コメントで御意見いただいたような、子を養育する権利・義務を負うものとする、とした方が、まだ筋が通るように思うのです。それが一番言いたいことです。
 それから、やはり社会の責任とか国家による支援とか、そういうことが全く書かれず、父母の義務的なことだけを強調する文言にやはり見えます、この部分は。やはり私はこれは非常にまずいと思うのです。後で家族社会学的に歴史を振り返ったときに、時代に逆行する規定を作ったと言われると思います。これは20世紀的な規定ですよね。近代といいますか、20世紀になる前は、父母以外の人も子育てに関わるのが当たり前でした。親族も近所の人も、少なくとも何か縁のある人は。父母だけに責任を押し付けるのではないのがよい子育ての在り方だといわれてきたと思うのですけれども、それが近代の、特に20世紀の子育てになって父母に限定されるようになった。それをこの21世紀の段階で民法の中に改めてはっきり書き込むというのは、時代に逆行していると思うのです。
 ヨーロッパの国などでは、既に1970年代以降の家族政策の変化の中で、父母だけの責任ではない、社会や国家が支援すべきものなのだ、そうしなければ父母はその責務、義務を履行することができないのだというようなことがはっきり意識されて、いろいろな規定ができていると思います。その部分が全くなくてこれを言ってしまうと、世界からは、何というか、ガラパゴス化してしまいますし、それから、時代には逆行すると思います。ですから、私はここは非常に問題があると思います。
 ですから、例えば(1)のところを、父母は社会の支援を受けつつとか、国家の支援を受けつつとかで、養育する権利・義務を持つものとする、のようにする、あるいは、入れるのが前の方では何でしたら、権利・義務を負うものとする、父母はその遂行のために国家、社会の支援を求めることができる、というようなことを明記するということで、形がきれいになるように思うのですが、いかがでしょうか。
○大村部会長 ありがとうございます。落合委員からは2点御指摘をいただいたように思いますが、いずれも第2の①の父母の責務に関わる御意見であると受け止めました。父母の責務というのは、これでよいのかと、社会的支援との関係について一方で御指摘があり、もう一つは、権利・義務とむしろ書いた方がいいのではないかといった御指摘も頂きました。具体的な文言についての御提案も頂いたものと思いますが、しかし、規定を置くということ自体については反対されているということではないと受け止めさせていただいてよろしいでしょうか。

みんなパブコメがお手元にあるのね

○落合委員

 社会について書き込まれたのであればですね、社会や国家の義務について書き込まれるのであれば、ということです。父母についてだけ書くというのには反対です。
○大村部会長 分かりました。その点について、事務当局の方から。

国家にも養育責任

○北村幹事 

今御指摘いただいた点でございますけれども、むしろ社会的な政策であるとか理念的なところはこども基本法などでしっかりとうたわれているところもございますし、それ以外の部分、児童福祉法なども含めて様々な法律の中で全体として見ていただくものかなと思います。その上で民法として何を規律していくのかというのは、今頂いた御指摘も踏まえて、更に検討していきたいと思います。

こども基本法に逃げる


○赤石委員

 申し訳ございません。落合委員が、権利・義務がどこに位置付けられるのか、少し聞きはぐれてしまったので、もう一度、御提案の文案を教えていただけたらと思いました。私の意見はまた後で申し上げます。
○落合委員 (1)の責務のところを権利・義務にするということです。
○赤石委員 父母の権利・義務にする。
○落合委員 はい。父母は、その権利・義務を負うものとする。
○大村部会長 それが一つと、それから、社会的支援がどこかで係るような形の表現を盛り込んだらどうかという御提案だったと受け止めました。
○落合委員 はい、そうです。民法に書いていただきたいと思います。
○大村部会長 それについては先ほど事務当局の方から、他の法制との関係も含めて検討したいといったお話があったと思いますけれども、赤石委員、それに関連の御発言でしたら、続けてお願いします。
○赤石委員 そうですね、権利・義務とするということは、また違う意味合いを少し付与するのかなと思いますので、ここで書かれている責務というのは、本当に扶養なのか養育なのか分からないですけれども、責務の方だけが書かれているのかなと思いました。権利というのをどの程度のものとしてするのかというのは、また議論が必要になるのかなと受け止めました。ありがとうございます。
○大村部会長 ありがとうございます。

まー結局は、婚姻外の親は差別されておりますし

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弁護士古賀礼子
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