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第一東京弁護士会創立 100 周年記念研修会予習

近々、会内で、「家庭裁判所における子の監護者指定、面会交流の実務」をテーマにした研修会があって、なんとか、参加申し込みすることができた

大変興味深い、事案の紹介があったので、文献を探しに図書館に寄る

民事|(家事事件)
東京高裁令元.12.10決定
夫である相手方(原審申立人)が,別居中の妻である抗告人(原審相手方)に対し,抗告人が未成年者を連れて別居を開始したことが,別居開始前に当事者間で交わされた示談書中の親権者指定等に関する条項に違反する違法な子の連れ去りに当たるとして,未成年者の仮の監護者の指定及び仮の引渡しを求めた事案において,示談の経緯及び内容等に照らし,上記条項の存在をもって抗告人の別居開始が違法な子の連れ去りに当たるとはいえないとした上で,当事者の監護者としての適格性に関する調査の状況等に照らし,未成年者の監護を相手方に委ねることが抗告人の監護を継続するよりも相当であると認めることはできないから,本案申立てを認容する蓋然性が高いとはいえず,保全の必要性もないとして,原審判を取り消し,申立てをいずれも却下した事例……82

目次より

原審と抗告審の判断は異なるが、原審において、違法な子の連れ去りに当たるという認定があるものである

同書では、抗告審決定及び原審についても詳しく掲載されていたので、研究対象として議論されることが望まれる

解説を確認してみよう

1 事案の概要
 抗告人(妻・原審相手方)と相手方(夫・原審申立人)は、別居開始まで約6年間同居を継続していた夫婦であり、両名間には、長男である未成年者(別居開始当時満4歳)がいる。同居期間中、相手方が出勤している平日における未成年者の監護は、主として抗告人が担っていた。
 抗告人は、相手方に対して暴力を振るい、傷害を負わせたこと(以下「本件傷害事件」という。)により、逮捕、勾留された。相手方は、抗告人の勾留中、抗告人の弁護人との間で、本件傷害事件の示談について協議し、相手方と抗告人との間で示談が成立し(以下「本件示談」という。)、抗告人は釈放された。
 当事者間で交わされた示談書(以下「本件示談書」という。)には、①夫婦間の過去の経緯は全て清算済みとし、相手の意思、意見を尊重する平等な関係とすることを相互に確認する、②未成年者の育児方針、教育方針については夫婦間の協議の上で決定する、③今後の家事、育児については双方の事情、体調を考慮し、夫婦間で協議の上で無難、協力し合うこと(以下「本件協議条項」という。)、④相手方と抗告人は、将来離婚する場合、未成年者の親権者を相手方とすることを確認する(以下「本件親権者指定条項」という。)等の条項が定められた。
 抗告人は、釈放の約1か月後、相手方と協議することなく、また、相手方の承諾を得ることなく、未成年者を連れて別居した。相手方は、審判前の保全処分として、未成年者の仮の監護者の指定及び仮の引渡しを求めた。

傷害事件による逮捕・勾留もあるDV事案といえよう
DVの加害者が、釈放後、子を連れて別居してしまった

原審は、この保全処分を認容している

2 原審の判断
 原審は、要旨、以下の理由で被保全権利を認め、保全の必要性もあるとして、相手方の申立てを認容した。
(1)抗告人が相手方との協議及び相手方の承諾なくして未成年者を連れて別居したことは、本件協議条項に違反するものであり、また、本件示談の成立から別居に至るまで約1か月が経過したにすぎず、その間、未成年者の監護状況や監護環境に関し格別の事情変更があったとは認め難いことなどからすると、本件親権者指定条項を定めた趣旨に違反し、未成年者を違法に連れ去ったと評価するほかなく、かかる事情は重視せざるを得ない。
(2)当事者の監護者の適格性については、抗告人が未成年者を主として監護していたことを踏まえると、相手方による従前の監護は必ずしも十分とはいえない面もあるが、相手方の監護態勢や監護意欲等に関する家庭裁判所調査官の調査結果に照らし、相手方が監護者の適格性を欠くとまでは認められない。抗告人による監護養育は一部不適切な面があったことは否定できず、また、抗告人は相手方に対して暴力を振るっており、その一部は未成年者が近くにいる状況で行われていたものである。そうすると、同居中の主たる監護者が抗告人であったとしても、逮捕勾留の際、親権者や監護者について、相手方と指定する旨の合意をすること自体、格別不合理とまでいうことはできない。

子の連れ去りの違法性を重視するとともに、子の面前DVに対しても重く受け止めているもの!

しかし、この原審の判断を抗告審は覆し、原審を取り消し、申立てをいずれも却下している!!

違法な子の連れ去りに当たるとはいえない、ともしている・・・
何が起きているのか?


引き続き、解説を読んでいきたいが、今日はここまで


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弁護士古賀礼子
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