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立法不作為を問う

立法不作為の国家賠償請求アクションにおいて、やはり、直近の流れも無視はできない。



最高裁大法廷平成27年12月16日判決(平成25年(オ)第1079号)

女性の再婚禁止期間違憲訴訟だ。

国会(国会議員)の立法不作為が国家賠償法上違法となる場合について,以下のように判示している。


 「法律の規定が憲法上保障され又は保障されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては,国会議員の立法過程における行動が上記職務上の法的義務に違反したものとして,例外的に,その立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受けることがあるというべきである(最高裁昭和53年(オ)第1240号同60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁,最高裁平成13年(行ツ)第82号,第83号,同年(行ヒ)第76号,第77号


再婚禁止期間の定めは違憲となり、6か月の待婚期間は100日に縮小した。

今、その100日ですら、見直しされるという。


再婚禁止期間の定めは、誰もが適用される(当該女性、その女性と結婚しようという男性)とはいえ、いざ、再婚禁止の規定に抵触する状況にあるのは大変稀なケースだろう。

離婚成立後直ちに再婚するばかりではないし、離婚後6か月を経過した再婚は禁止されていないから、問題とならない。

そのため、古くから問題が指摘されていた論点であったが、最高裁の判断が出たということは、付随的審査制を取る以上、当該規定があることに現に困った当事者がいたということだ。

現に困っても、しぶしぶ待婚してしまえば、クリアできるし、支障も大きいものではない。でも、何か変だ、おかしい、という気持ちを素直に行動にしたということが世を動かしたのだ。

当事者の存在、そして、その「困った」を受け止めて伴走しようという弁護士の存在。ふたりが出会わなければ実現しない。

再婚禁止期間違憲訴訟を担当したのは、作花弁護士、その人なのである。

世にたくさんの法律があふれるが、家族法は、一般市民に身近な法律。

夫婦別姓訴訟・同性婚訴訟、家族の在り方が今問われる時代だ。

国民ひとりひとりが、ちょっと変だなという想いを無視せず、立ち止まり、そして、勇気ある一歩を踏み出すことが、日本を変える力になる。

気づいた人は行動しよう。

立ち止まるということだけでも、意味があるのだ。

声にするというのはもっと勇気がいるかもしれない。

でも、きっと縁と縁が重なって、大きな力の産声となるだろう。




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弁護士古賀礼子
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