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親権者変更1

親権者変更手続がある

日本固有といってもいい単独親権制は、親権者変更手続があることで正当性を担保されているともいえる

共同親権の諸外国でも、常に父母の共同親権というわけではなく、父母に不適切な事情があれば、親権停止や喪失等があり得るので、単独親権という現象はある

ただ、その時は親権者変更は考えにくい

日本独自の離婚後単独親権は、親としての適切性問わず、離婚を理由に一方親の親権を喪失させる制度であるから、どうして、親としての適切性があっても親権を失うのかという根拠として、いつでも親権者変更によって、立場を交代できる地位にあるから、という

親権者変更手続の条件は子の利益だから、親権停止喪失の条件と異なる

どちらも親としての適切性を満たす状況で、より利益を高めるための変更がありうるのだ

この親権者変更により親権者になりうる(親権停止や喪失の手続きで親権を失ったわけではない)という地位だから、離婚により、父母の間に親権者と非親権者という立場に差があっても不当な差別ではないと説明される

しかし、それは、親権者変更がいつでもしやすい環境でなければ、意味をなさず、結局、親権者と非親権者という格差を固定させることにもなりかねない

親権者変更が子の利益のために行われる意味で実はハードルは低い

私の実績としても、もう、3件親権者変更が実現した手続きに立ち会ってきた

特に、合意があれば、調停で成立する

ただ、その合意が子の利益に合致するか、押し付けあい、結果、子の利益を害する心配がないかを慎重に確認すべく、「必ず」裁判所に申し立てることを要する

これは、子の氏を変更するのも同じで、役所への届け出だけでは足りず、裁判所のお墨付きを添付しなければ役所の戸籍係は、届け出を受け付けない

そうやって、子の利益を守るという仕組みなのだ

一見、なるほど、とも思えるが、おかげで、親権者変更手続きへの印象がグッと高まってしまう

裁判所に行かなければならない

協議離婚で、裁判所に行かずとも役所への届出だけで済ませてきた父母にとっては、ぎょっと構えてしまうだろう

合意すればすぐ成立するという知識も周知されているとは限らず、申し立てが認められないのではないか不安がよぎる

合意していることを説明するにしても、事情の説明を求められ、お節介にも慎重に、もう一回期日、ということもありえる

合意できるだけ、協議できる関係であっても、あくまで離婚に至った元夫婦、そう長引くことは好ましいものではない

瞬間的な協力体制で事を進めたい

それを叶えるには、適切に事情を裁判所に伝え、準備を整えておくことが必要になる

無駄に緊張関係を煽ることもない支援が救いになる

そのサポートを得られるケースであっても、裁判所の都合で、申し立てから初回期日まである程度またされることもあるから、手続きの重みが共同養育の実践にネックになりかねない

期間の長さ、準備の負担が、やはり、親権者変更のハードルを高めてしまう

そのため、単独親権制における父母間の親権の有無という格差を決定づけてしまい、離婚時に指定すれば、めったなことでは変更しない空気感が漂い、結果として、親子断絶に至る

親権者変更の候補者として、立候補し続けるには、強靭な精神力とわが子への愛情を貫く覚悟を要するだろう

はなからその座から降りてしまう現象も実際あるだろうし、その現れとして、養育費未払いを招く

親であり続けようとする責任のある親は、払うべきものは払い続けるし、愛情いっぱいにわが子への関心を示していく

親権者変更手続きをより活用していくことが、単独親権制を維持するならば不可欠だし、その担い手としての弁護士もスキルを磨いておく必要がある

しかし、日本の司法は愚かにも、単独親権制を悪い方向へ運用させていく

つづく

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弁護士古賀礼子
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