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法制審議会家族法制部会第35回会議議事録読む10~原田委員・赤石委員・池田委員・菅原委員・水野委員

親権侵害の損害賠償請求を認める裁判例を見つける

あちこち話題になる共同親権

民法改正

共同親権離婚が増えていくものと思ってる

さて一区切りの議事録読み

○原田委員 

いや、私は、例示としてさっきの進学のことを挙げただけで、その一つ一つを決めないと駄目だと言っているわけではないのです。でも、私たちは日々、これはできるんですか、できませんかと相談を受けるのです。そのとき、どう答えるかというのはもう切実な問題なのですよ。なので、ある程度パッケージとしてきちんと決めてもらいたいということです。
○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員のおっしゃっていること、原田委員のおっしゃっていること、双方分かりますけれども、先ほど棚村委員がおっしゃったように、この問題は現状でも生じている問題で、そして規律の内容について様々な考え方が説かれています。だからこそ、実務家の方々が御苦労されているということなのだろうと思いますけれども、それを前提に詰められるところを詰めていこうということで、基本的な考え方について議論をし、先ほど原田委員が途中まで質問されたところについて、事務当局からお答えがありましたが、おおよその流れについてここで議論ができたということなのだろうと思っています。
 その先、なお残る問題があるということで、残る問題について、現段階でこうなるということが言える、皆さんが一致してそうだということであれば、ここでそういう解釈が出ましたということになるでしょうし、異論があるということであれば、将来の課題として残されるというようなことになる。こうしたことを両委員はおっしゃっているのだと思いました。ということで、今日のところは、この議論については引き取らせていただきたいと思います。

あ、まだ原田委員残ってた
長すぎて途中で切ってしまった

○赤石委員

 すみません。監護者のところで、赤石でございます。ちょっと言い忘れたので、DVが真摯な合意がなくても裁判所で決まるというようなことを共同親権で決めているということで、DVが共同親権を決めるときに紛れ込んでしまう危惧というのを先ほど言ったのですが、もう一つありまして、両親ともこどもに無関心であったり無責任であったりするケースにおいて、監護者が指定されていないと、こどもに大変な不利益が生じるのではないかという方の危惧の方を言うのを忘れたので、お伝えしておきます。
○大村部会長 ありがとうございます。それは赤石委員が以前にも御指摘になった点かと思いますけれども、そういう懸念もあるということを追加されたと受け止めました。
 第2から第7まで、更に御発言のある方がいらっしゃったら挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、残りの時間が限られているのですけれども、資料を用意していただいております。池田委員、挙手されていますが、第1についてですね。先ほど菅原委員も手を挙げておられたのですけれども、第1について、今日、御意見を頂いて、おそらく、皆さんの御意見を全て聴くことはできないと思いますので、御発言が残るようであれば次回に持ち越しということにしたいと思います。
 ということで、第1について御意見を頂きたいと思います。では、池田委員、菅原委員という順番で伺います。それから赤石委員。赤石委員までいけるかどうか分かりませんけれども。

両親無関心の場合の監護者指定の意味合いって、
責任の押し付け???
そういうときは、もはや児相では?
親権停止でよいよ

○池田委員

 すみません。池田でございます。第1の1につきまして、前回部会では、人格の尊重とは別に、こどもの意見表明権に関して明文化すべきという意見を申し上げ、その上で、どのような文言を用いるかということについても、意見という文言以外の選択肢も幾つか上げたところでございました。そのうちのいずれかであればよいというわけではなくて、こどもの意見表明に積極的な御意見をお持ちの委員の方々から消極的な方々まで様々ある中で、議論の対象として想定される文言の選択肢を複数挙げたということでございました。紛らわしい言い方をしたということであれば申し訳ありません。
 いずれにしましても、今回の補足説明におきましては、そのうちの複数のうちの「心身の状態」のみが取り上げられておりますが、他の文言を含め、改めて議論を尽くせればというふうに思っております。
 前置きが長くなりましたが、私の意見を申し上げたいと思います。
 まず、補足説明にピックアップしていただいた「心身の状態」ですが、これは、どちらかといいますと、心と体の健康状態といったニュアンスで用いられることが多く、ここにこどもの意見表明権の趣旨を読み取るということは到底できないという問題が指摘できると思います。
 次に、「心情」についてですが、これには気持ちや思いというものが含まれているとは言えますが、こどもの心の方向というのですか、向きというものが含まれていないように思われます。そうすると、こどもに決定させるわけではないものの、これに関与する権利を保障するという意見表明権の趣旨からは、やはり距離が遠いものと言わざるを得ないと思います。ただ、心情も意向とセットにして、「意向または心情」という定め方はあるのではないかと思います。
 家裁の実務では、家裁調査官がこどもの意思を把握するために行う調査を、こどもの発達段階に応じて、発達段階が進んだこどもの場合にはその意向を聞くという意向調査、幼少のこどもの場合にはその心情を聞くという心情調査というふうな形で行っていますので、それに平仄を合わせるという意味ではよいのではないかとも思います。
 また、「意思」ですが、これにはこどもの気持ちの向きを感じさせるニュアンスがありながら、必ずしも態度決定を迫るというふうなものとは解されず、決められないとか、表明したくないという気持ちも含むものと解されます。そして、既にそのようなものとして、家事事件手続法第65条で用いられているという前例もあります。また、民法第858条でも成年被後見人についても用いられているところです。
 そうしたことを考えますと、第1の1では、親が考慮すべき事項として、年齢や発達の程度に加えて、「意向又は心情」をセットにしたもの、あるいは「意思」を加えるべきもの等を考えます。
 現在の子育てにおいては、一昔前のそれとは違いまして、こどもの意見を聴くということはかなり一般化していると思います。どこの学校に進学するかですとか、どのような習い事をするかについて、多くの親はこどもの意見を聴きながら決めているはずです。
 また、もっと重要なこと、例えば養子縁組をするかどうかについてなども、こどもの意見を聴かずに決めることは適切とは思えません。ただ、既にこどもの意見を聴き、その主体性を尊重しながら子育てをしている親にとっては、わざわざこどもの意思を考慮するという規定などなくてもうまくやれるだろうと。むしろ、そういう規定を悪用する親もいるかもしれないから、そんな規定は設けるべきでないという御意見もあるかとも思います。
 しかし、それは、離婚後、共同親権も同じではないでしょうか。既にうまく共同している元夫婦はいますし、悪用される懸念があるからといって、共同親権をやめておこうという議論の流れには必ずしもなっておりません。それと同じではないのかなと思います。あるべき姿を想定できるのであれば、それにしっかり法的根拠を与えるというのがこの部会の役割ではないかと考えます。
 既にこども基本法や児童福祉法でこどもの意見の尊重という規定が入っている中で、民法においては、なぜ意思を考慮する、あるいは意向又は心情を考慮するという規定がそれほど回避されなければいけないのかということについて、改めて議論を尽くしたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。池田委員からは、第1の1の(1)に関する御意見として、こどもの意見表明権に関わる規定を置きたいということで、前回までに幾つかの文言を上げていただいたところです。
 今日の御発言は、その中で、資料の中では心身の状態という文言だけが取り出されているけれども、他の選択肢もあって、池田委員の御意見としては、他の選択肢の方が望ましいという御意見だと承りました。可能性は幾つかあるけれども、その中で望ましさに濃淡というのがあるという御意見であると受け止め方でよろしいでしょうか。
○池田委員 むしろ、「子の心身の状態」ということについては望ましくないということで、選択肢から私としては外していきたいということを考えています。
○大村部会長 分かりました。今のような御意見として承ります。
 水野委員は先ほどの池田委員に対する御発言ですね。分かりました。まず、菅原委員の御意見を伺って、赤石委員、すみませんが、水野委員を挟んで赤石委員という順番にしたいと思います。

仕組みの方が大事なはずなのだけど、子ども手続代理人の活躍をここでアピールできなかったのはなぜだろう

○菅原委員 

ありがとうございます。委員の菅原です。今、池田先生がおっしゃった同じ箇所なのですけれども、ここに年齢及び発達の程度に続いて、もう一つこどもの状況を加えるということに、まず賛同いたします。
 年齢及び発達だけですと、今、池田先生がおっしゃったこどもの心情やいろいろな思いというのがそこには含まれていませんので、どのような言葉を使うか慎重に考える必要はありますが、心情や思いに関する用語を加える必要があるのではないかという立場です。
 手続法の中でも使われてきている意向又は心情という用語を入れていただけるとベストと考えます。心情の方には、より低年齢の子の状況も入りますし、意向というところにも、意見の尊重は難しいということはよく分かるのですが、意向という文言がせめて入るといいなと思います。ただし、いろいろな状況の中でこれらの用語はやはり難しいということであれば、心身の状態、あるいは心身の状況でも仕方ないとは思いますが、ここに現在のこどもの状況に関連する言葉を入れていただきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。菅原委員からは、もう一つ、意見表明に関わる文言を入れるということに賛成である、文言についてはどうするかということで、心情ないし意向というのに賛成だけれども、しかし、心身の状態というものでも仕方がないといった御意見だったかと思います。

ここは叶わず

○水野委員

 申し訳ありません。池田委員がそうおっしゃると、自動的に発言することになってしまいまして、ごめんなさい、委員の水野です。
 先ほど、これは理想的なあるべき姿を目指してとおっしゃったのですが、私はこれは理想的なあるべき姿ではないと思っております。こどもの意見と明記すると裁判規範として機能してしまうでしょうから、両親を競りに掛けるようなもので、両親のどちらかを選ばせるというのは非常に重すぎる、残酷な選択をこどもに迫ることだと思います。
 また、このことの弊害も、実際にものすごく大きいだろうと思います。こどもは、その選択をしたことの責任を感じて、ずっと大人になるまで苦しんでしまうこともあるでしょうこどもに聞いて、それで判断すればいいということになると、親はこどもに働き掛けて相手方の悪口を吹き込み、自分を選ばせるだろうと思います。あらゆる意味で、これは望ましくない状態で、理想的なあるべき姿ではないでしょう。こどもがどういう状況であり、何をどう思っているのか、それはもう細心の注意を払って慎重に丁寧に調査をしなければならないと思いますが、こどもにどちらの親がいいのかと聞くことは、これは非常に残酷な問いであると思います。
○大村部会長 ありがとうございます。水野委員からは、今出ている案について反対であるという御意見を頂戴いたしました。
 赤石委員から先ほどからずっと手が挙がっていて、まだほかにも御発言の御希望の方がいらっしゃるかもしれません。
 第1につきまして、まだ御発言の希望ということが残っておりますので、今日の段階ではここまでということにさせていただき、第2から第7についても特にまとめをせずに、次回、引き続き第1について御意見を承った上で、整理をしたいと考えております。  
 途中でということで申し訳ないのですけれども、こどもに対する基本的な考え方に関わる部分ですので、第1の部分の部分について年を越して、引き続き御意見を伺うということにさせていただきたいと思います。
 ということで、本日の審議はここまでとして、あとは年が明けてから継続ということでお願いをしたいと思います。
 次回のスケジュール等につきまして、事務当局の方から御説明をお願いいたします。
○北村幹事 事務当局でございます。次回の会議は、令和6年1月9日火曜日、午後1時30分から午後5時30分までで開催したいと思います。場所は改めて御連絡いたします。
 次回の会議では、今、部会長の方から御指示いただきましたように、今、挙手いただいている方からということで、引き続き部会資料35-1について御議論をお願いしたいと思います。
○大村部会長 年明け、1月9日ということになりますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 1年間、熱心に御審議をしていただきまして、大変感謝しておりますが、年明け以降も、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 ということで、法制審議会家族法制部会第35回会議をこれで閉会させていただきます。よい年末年始をお迎えください。
 では、閉会いたします。
-了-

水野委員が反対したから、といおうことか
片親疎外を念頭にあるのかもしれない
赤石委員の発言が年越しされる


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