久保野でございます。私も子の意向、心情に配慮しという文言を挿入する点についての意見でございまして、今回は挿入することには慎重である方が良いという意見であります。
理由は今までの先生方と重なりますが、環境整備とともに、親子の関係に限られない、より広い適用範囲をもって法改正を行っていくことを今後目指していく方が適切なのではないかという気がしております。理念、権利として、先に法規定として入れた場合にどの程度弊害が起こり得るかということについて、実務界にいない私が具体的に明確に分かるというわけではありませんけれども、御議論を伺っていまして、自分のことを自分に知らされずに決められることなく、参加するプロセスを具体的に整えながら、セットで法制度にしていく方が、かえってしっかりした子の意向の配慮ということを実現していけるのではないかという印象を持っております。
法規定を入れない場合の現行法の解釈ですけれども、第821条の子の人格の尊重ということについて、佐野幹事、石綿幹事から指摘がありましたけれども、確かに第821条の子の人格の尊重というのは、私も佐野幹事がおっしゃるとおり、主には、支配被支配の関係ではなく、対等な個人と個人の関係であるという意味合いを実現していくということに意味がある規定であると捉えてはおります。けれども、この条文の中に、未成年のこどもとしての特性を踏まえたこどもとの関係での権利義務関係や、その意向の尊重といった趣旨を盛り込めないかといいますと、私自身はそのようなものも盛り込む意味を持つものとして第821条を捉えておりました。今後、より明確に区別して規定していった方が良いということがあり得ることについては、佐野幹事の御発言から教えていただいたような気がしておりますけれども、他方で子の人格の尊重という文言の中に現行法としては解釈で入れていくということは十分にあり得るのではないかと、繰り返しになりましたけれども、そのように思う次第です。
○大村部会長 ありがとうございます。久保野幹事は、子の意向あるいは心情という問題について、やはり慎重論ということでした。前の何人かの方々と共通の点があるということもおっしゃっていただいたのですが、特に、人格の尊重という文言で差し当たり運用できるのではないかという理解ないし解釈をお示しいただいたと受け止めました。ありがとうございます。
ほかに、第1について何かありますか。
それでは、池田委員、赤石委員という順番でお願いいたします。