グロウ(KOGADOの冒険ワークショップ vol.51)
北川:
まだちょっと手元はバタバタ忙しい感じですか。
水曜日:
うーん、そうですね。先日発売したワンタクについての話だと、細かなことが色々とあったりします。
例えば、開発者ノート用にトラ崎さんから「こういう小ネタとかあるよ」と情報提供いただいたりしているので、それをまた公開したいなとか考えています。
北川:
見ました見ました。
水曜日:
トラ崎さんもそういうものを出すことによって、よりゲームを楽しんでもらいたいと思ってて、ユーザーの皆さんもその情報を知りたいと思ってくださっていると思うので。
私も前向きには取り組みつつ、ただ、そのまま情報発信するだけでは行き届かない部分があったり、ちゃんと見ていただくためにはどうすれば良いのかなとか、タイミングとか、実は色々と考えることが多くて。
コミケとか別の案件も忙しいので、今今はそちらと調整しながら進めている状況です。頭の片隅には置きながら、何をどうしていくべきか、まだ考え中という感じですね。
北川:
なるほど。このワンタクのプロジェクトって、水曜日ちゃんはどのくらいやってましたっけ?いつから関わってた?
水曜日:
大体1年ぐらいだと思います。きっちりは覚えていないのですが、なんとなくそのくらいの印象です。
編成されて、徐々に圧を感じ始めながら(笑)、「いや、ちょっといまそこできません」という時間がそこそこ長かったと思いますね。
北川:
圧w
水曜日:
私の役割としては、宣伝や販売関係の施策や、それをドキュメントにまとめてプレゼンすることとかがあったのですが、ワンタク以外にもプロジェクトの進行管理だとか、オムニショップやイベントとか色々あって、なかなか手が回らない状況が続いていました。
北川:
あるあるだけど、「重要度は高いけど緊急度が高くない」みたいに割り振られちゃうやつね。
水曜日:
まさにそれです。いま振り返ってみても、当時の私には全てを同時にこなすのは厳しかったと思います。もし専属で1つの案件だけを担当できていたらもっと集中して進められたのかなあ、と。
北川:
時間的割り振りの限界という感じ?時間があってもっと集中できれば、もっとできたこともあっただろうと。
水曜日:
そうですね。本当はもっとやりたかったけれど、時間的な制約や他の業務の関係で、できなかった部分が多いです。もっと早く着手できていれば、とか、私が一人で抱え込み過ぎたところもあったと思うので、もう少し業務を分散できたかもしれないなとか。
北川:
まあ、誰に?って問題にもすぐなるんだろうけどね。
水曜日:
まあ(苦笑)。いろんなところがちょっともったいなかったかなとは思いつつ、というのが一つですかね。でも、これがやれてたらなって言えるのは、今こうして発売をして、想定してたよりいろんな人から反響をもらえて、ちゃんと数字にも出てっていうのがあるからなんだろうとも思います。
北川:
そうかもね。ただ、同じ条件で二度目ってのはないからね。販売方式とか宣伝施策とかも、これだからできた、今だからできたってことだろうし。
水曜日:
そうなんですよね、だからなおさら、この企画だからこれをやりたい、いけるんじゃないかって考えたものもあったので。
北川:
残念って気持ちは、よくわかるよ。
水曜日:
やっぱり専念しないとやりきれないくらいのものだったんだな、とも感じました。
前にぜんため(全国エンタメまつり/日本一ソフトさん主催のゲームを中心とするイベント)に出た時に、出展なさっていたメーカーさん同士で話をする時間が取れて、中打ち上げみたいなのがあったんですよ。
北川:
うん。
水曜日:
その時、とあるメーカーの広報の方から、企画したとある販売施策がめっちゃ大変だったけど成功したっていう話を聞いて。それにインスパイアされて考えた部分とかもあったんです。
ただ改めて考えると、お話してくださった方は私より経験も豊富だし、能力値も全く違うんです。その上であれもやってこれもやって、あれもやってこれもやって、お一人で24時間ずっとやってたみたいな。それぐらいしないと多分完遂できないものだったんだろうなとも、改めて考えると感じます。
北川:
甘く見積もってた、……いや違う。見積もりが甘かったってことね。
水曜日:
そうですそうです。
北川:
とはいえさ、これしょっちゅう言ってるけど、一番最初ってすごくカロリーかかるもんね。
水曜日:
ですね。
北川:
プロデューサーとしての立ち回り全般、実質初めてだったわけじゃない。
水曜日:
そうですね。果たして役割を全うできたのかって言われると、胸を張ってはなかなか言いにくいんですけど。
北川:
そんなものが実際あるかどうか別で、どこまでどのくらい見るのが適正なのか、全部見れてないんじゃないかって感じるところもあるんじゃないのかな。
水曜日:
正しく伝わるか分からないのですが。この企画に対して、私は後乗りなんです。こういうゲームが作りたい!というゼロから1のエネルギーというか、そういうモチベーションは持つことなく合流をしていて、そういう私がどこまでちゃんとこの企画を考えられるのか、というのは、なかなか苦しみましたね。
北川:
ああ、うん。どこまで自分にそういう気持ちを「降ろしてきて」っていうことだよね。
水曜日:
もちろん後乗りでも、企画としては面白いなと思って参加して、ならばこういうお客さんに、こういう表現で伝えられたら、とか考えることはできたと思います。むしろ私が関わった過去のうちの作品と比べると、早く合流できるから自分の考えをより投下しやすかったです。
北川:
そうだね。
水曜日:
ただ、やっぱりどこか主観的ではなくて。降ろそうと思っても降ろせない領域があるんじゃないか、とは感じましたね。
今まで取り組んだ宣伝の業務では、面白いなって自分でも思えるものがすでにそこにあって、それを伝え方や表現方法で膨らませる、遠くまで届けるということを考えればよかった。それは何となくできそうだなって思っていたんですけど、それをやるだけでは間に合わないところがあって、そこに足を踏み入れた印象というか。何かうまく言葉にはできないんですけど。
北川:
なんとなくわかる気がする。でも主観的に理解できないその人の価値観で、思いもかけないほうから来るってのが、難しさでもあり面白さでもあるなって思えたりするな。
北川:
発売日を迎えてひと区切りなんだけれども、今回やってよかった!って思った瞬間はいつ、どこでした?嬉しかったのか、安堵したのか。
水曜日:
私の役割的なところって、基本的に広報を軸に置いてあって、いろんな宣伝でいろんな人に伝えて、「これ面白い」とか「こういうのあるんだ」「楽しそう」とか、とにかく求めてくれてた人たちに伝えられて、その人たちが楽しいなって思ったり、発売楽しみだなってワクワクしてくれたり、そういう感情を作りあげることが一番喜びを感られるので、
北川:
うんうん。
水曜日:
実数として明確に、1日目のウィッシュリストと売上本数が出たときに、良かったなと思いましたね。
北川:
良かった。どう良かった?
水曜日:
それだけの人に声が届いてたんだなってわかってですね。それが感じられたときは嬉しかったです。
北川:
なるほど。
水曜日:
いわゆるバズるってことは世に多くあると思うんです。うちは何かがバズるっていうまではあまりありませんが、ちょっと話題になるというか、つぶやく人が多くなるみたいなレベルでも。
でも、にぎやかになるのと、購入まで行くのの間には結構ギャップがありますよね。
北川:
そうだろうね。
水曜日:
バズった○%しか買われないとか、リンクを踏まれないとか。
でも今回のワンタクでは、相対的にはどうなのかはわからないのですが、話題になって、行動にちゃんと移してくれた人がいたっていうのが感じられたのが良かったなと思ったところですね。
北川:
そこそこの乖離があんまりないように感じられたってのが、より一層嬉しかったっていうことだね。
水曜日:
そうですそうです。ただのお祭りになっただけじゃなく、ちゃんと中を見て、リストに入れてくれて、購入してくれて、もしくはつぶやいてくれて。いろんな人に伝わって、いろんな人が何か行動してくれたっていうのが、明確に数字としてわかったというのは安心したことではあります。安心する前の段階から、いろんな人が動いてくれたりしてるのが、なんとなく見る中で感じてもいたので、それもすごく励みになりました。
北川:
行動する、動くってのは?
水曜日:
もちろん購入行動というのもあるし、その手前の段階で、SNSでの皆さんのちょっとしたつぶやきだったり、あとは媒体さんが積極的に取り上げてくださったり。
北川:
能動的なアクションを取ってくださる方が多かったってことか。
でもトリスティアの時とかも、それなりに反応あったんじゃない?
水曜日:
もちろんトリスティアもありました!
ただ、何か、何が違うんだろう。
北川:
こちら側の要素として、関わりの度合いはひとつありそうだけど。
水曜日:
確かに。それはひとつあると思います。
あとはお客さんの層というかタイプが、今までの作品と重なる部分もありつつも少し違うだろうと想定していたので、私から違った見え方になったのもあるかもしれません。英語の記事を出していなくても、英語圏の方たちから英語のつぶやきがあったり。
PDとかシミュレーションゲームを普段やらない人たちが見つけてくれたり、逆にプラモデルから入ってきてくださった方とか。今までと異なる部分も多かったので。
北川:
積み重ねと、あとはなんだろうね。やり方も違ったかな?やり方と、出し先。
水曜日:
ワンタクはジャンルや内容からして、最近の作品とは違った層のユーザーさんに向けて発信をしないといけないタイトルだったので、私達に気づいてくれるのだろうかと不安だったのですが、反応してくださる方も多く、ありがたかったですね。自分たちの力だけじゃできない事、例えば、生配信で「レビューを書いてください」みたいに投げかけると、反応してくださったり。
北川:
今までどんだけディスコミュニケーションだったんだ、って話にもなるがw
水曜日:
もっとこちらから投げかけていいんだなと感じました。
北川:
というか、水曜日ちゃんていつからこの仕事してたっけ?夢現Re:Masterの時はいたっけ?
水曜日:
いないですね。10年以上居るような顔をしてますけど(笑)
あとは、こういった業務に関してはユメミの時からです。
北川:
じゃあ、今までと違うも何もないかw そもそも知ってたようで知らなかったみたいな話になるのかも。これを経験してまた違ったスタイルになるってことだ。
水曜日:
それはそうですね。パワーアップできたらいいなと思います!
人間の成長が一番楽しいに決まってる。
水曜日ちゃんが優しく語り掛ける新作、『One-inch Tactics』は、Steamで好評発売中。
●公式サイト
●Steam 販売ページ
今週はこの辺で。
また次回。
※「KOGADOの冒険ワークショップ」では、ソフトウェア開発部の北川がその時思いついた事柄を駄文にしたためております。取り上げて欲しい事柄などありましたらお気軽にリクエストください。
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