【事故紹介】運転したら大破した件 ~異世界を追放された無職からはじまる最弱パーティで世界最強だが?~
その日は雨がポツポツと降りしきっていた。
ハンドルに手を起きながら、窓越しに街に並ぶ木々を眺める。
ああ、誕生日の季節だ…
その日は姪っ子に会うために、姉の家に向かっていた。
実家から姉夫婦の家まで向かうところ、およそ一時間。
雨がしとしとと降っているため、運転は気が進まなかった。
ましてや、都内に住んでいて、普段は車など使わないのだ。
パラパラと降る雨の中、母を乗せて運転する。
他愛もない世間話をしながらアクセルを踏むと、そこは都会の雑踏…
高速に入るころには、ざんざんと降る雨で道路はびちょびちょに濡れており、更に車の大群がイナゴのように辺りを埋め尽くしていた。
またの名を、渋滞。
やれやれ…
これじゃまるで、飛んで火にいる夏の虫。
大富豪で言う所のクイーンボンバー。
そう苦笑いして見回すと、周りの運転者も苦虫をかみつぶしていた。
物思いにふけること1時間。
牛歩の進みで綱渡りのような渋滞を抜けると、ばらばらと降っていた雨は収まり、雲の隙間から光明がさす。
これが森羅万象か…
そう物思いにふけっていると、高速も抜け、姉の家の前に到着した。
そして後は、家の前の駐車場で、駐車するだガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
は?????????何の音???????????
センサー「ピーピーピー」
じゃかしいわ。
外に出て車の状況を見てみると、駐車で曲がりながらバックする時に、ボンネットが壁にバッチリ当たっていてゴリゴリ削れていたらしい。
雨の日に運転した疲労が祟ったのだろう。その惨状、まるでクイーンボンバー。
異常があった件を、助手席の母に話した。途端に崩れおちる母。
すまんな、もう高速は走れない。
今からJAFと保険会社に連絡する事、伝えます。
ペーパードライバーで生活している人もいるんです。
俺は渋滞を絶対に許さない。
その後の顛末
修理が終わり、車が戻ってきた。
保険会社にも入っていたので金銭的にはそこまで負担は大きくなかったが、事務処理や事故現場の検証などでクイーンボンバーのように忙しかった。
しかし、これも経験。
全てが終わり、やれやれというため息とともに、ベランダで一服する。
コーヒー牛乳と過ごす、こんな日常、21の夜。
(了)