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ベタの掛け合わせ

深く興味を持っているとは限らない人を相手に、パズルの話をする。近年、そういう機会が増えているものの、これほど難しいことはなくて、いまだに苦戦することが多い。

ためしに、なにか相手の知っている問題を持ち出して、そこからどうにか話を広げていこうとしても、結局、なんだか難しいですねえ、とか言われてしまう。こちらだって、知れば知るほど、自分の中でパズルの範囲が広がってしまい、何から話せばいいのかわからない。どだい無理な話なのだ。

よく、パズル通が一般人を相手にパズルを語るとき、たいていクロスワードかジグソーパズルを最初に登場させる。パズル界のツートップだ。

かと思うと、この二つだけがパズルではない、と切り捨てる。これが定番の流れ。その勢いでもって本題に移るわけだが、そんなに王道のイメージを否定しなくてもいいのでは、と感じるようになってきた。

たしかに、その二つはパズルの一端でしかなく、もっと奥の方に深くて広い世界がある。それは百も承知なんだけど、そろそろツートップから道筋を作る、王道の流れも考えてほしい。


ところで、ものすごく雑な物言いを許してもらえるなら、ひとまずパズルは問題玩具の二つに切り分けて捉えるといい。

問題というのは、何か物体がなくても遊べるパズルのこと。口頭で伝えたり、とりあえず形に残すために印刷したり、画面に表示させたりする。これの典型例がクロスワードパズルだ。

玩具というのは、特定の物体を使って遊ぶパズルのこと。単にパズルおもちゃのことだと思っていいし、不思議なグッズなども、これに入る。お察しのとおり、こちらの典型例がジグソーパズルなのだ。

そういうわけで、一般に向けてパズルを語る関係者のみなさんにおいては、自らの本題が問題と玩具のどちらに向かうのか、その流れを見極めて、ぜひともツートップからの自然な流れを作っていただきたい。

という業務連絡はさておき、自分の場合は基本的に「玩具」の方に頭が向きがちなので、その流れで使えるネタはないものか考えてしまう。せっかくなら、例のツートップを混ぜつつ、最終的には「玩具」ベースで気楽に遊べるものがいい。その結果、こんなものができた。やってみるものだ。

クロスワードのジグソーパズル

早い話、クロスワードのルールでジグソーパズルを完成させよう、という趣向である。ルールを簡潔に書くと、こんな感じ。

  • すべてのピースを使って、ジグソーパズルの要領で正方形を作る

  • 色のついたマスを上下左右に連続させない

  • すべて白いマスは上下左右につなげる(斜め方向にはつながらない)

  • ピースは回転させてもいいが、裏返しはダメ

この手の掛け合わせは珍しいものではないし、ジグソーパズルを組むとクロスワードの盤面ができあがって、それを解かせる(別に印刷物か何かが用意されている)なんて先行例もある。

でも、そこまでやるのは酷だし、ここでは「玩具」を主体にしたいのだから、クロスワードの成分はスパイスでいい。とはいえ、普通のジグソーパズルと同じく、純粋に形だけを見て完成できるものになると、それはスパイスの方が弱すぎる。もはや単なる形合わせですね。

まあ、実際に遊んでみればわかるが、単に正方形を作るだけなら、組み方は何種類かある。そこで遊び終えても構わない。ただ、その中で本当の答えを決めるには、クロスワードの要素が欠かせないようになっている。

作者としては、そこに妙味があるように思っているが、どうなんだろう。


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