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余談⑧:不健康を喰らいに

 ラーメンの美味しい季節になった。
 暑い時期に汗を垂らしながら啜るのも良いが、冷える身体に温かい物を入れるのもまた、特別だ。

 僕は基本、健康志向とまでは言わないが、身体に良いものを食べたり健康的な食事をしたいと思っている人間だ。
 だがら、例えば野菜ならなるべく無農薬やオーガニックの物を食べたいし、肉なんかは国産だと嬉しいし、ラーメンで言えば、無添加の淡麗系スープだったり、全粒粉の麺を好んで食べる。

 が、しかし、それでも。
 身体が無性に化学調味料という刺激を欲する瞬間があるのだ。

 所謂、二郎系と言われる暴力。
 人工的で強烈な旨味。
 高カロリーに頭が圧迫され、塩味で舌が痺れるような身体に良くないことは分かってても止まらない、麻薬的な味。

 何ヶ月かに1度摂取すれば、しばらくはもういいとなるが、定期的にこの欲求は襲ってくる。
 
 さて、健康とはなんだろうか。
 身体に良い物を食べ、医学的に良いとされる数値の中にいることは一つだと思う。
 
 しかし、知り合いで、健康的な食事を意識した結果、食べたいと思っても、そうした添加物が入っていると思うと箸が進まなくなってしまう人がいる。
 その人は最終的には好きなものを食べられる人だが、「健康に殺される」と、笑っていた

 健康の判断は数字だけではないと思う。
 食べたいものを食べたいように食べるという、数値にはない心の健康も存在すると、僕は思う。

 故に、この「健康に殺される」というパンチラインは言い得て妙なのだ。

 街中華というジャンルがが一時期流行っていたと思うが、中華屋の料理もまた、覇味を始めとした謎の化学調味料のオンパレードだ。
 人間誰しも、無意識に健康に殺されまいとしているのかもしれないと、そのブームを見て感じる。

 もちろんコントロールは必要だ。
 成人病には気をつけなければならないし、摂取のし過ぎは良くない。
 ただし、時折。
 そうした枷を外して、不健康を喰らいにいきたいと、僕は思うのだ。


皆様、健康には気をつけて。脳の栄養にこちらもどうぞ。


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