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父の大好物でわたしが大の苦手な食べ物。それは納豆。

在宅介護Uターン 介護編:7

文字数:1,233文字  2~3分で読めます。

父が要介護3でして、今はショートステイを利用し、月に一度くらいの割合で帰宅。その都度東京から実家に帰省しています。

今回、4度目の帰宅です。

食料は妹たちが買い出しに行ってくれるので助かっています。

土用の丑の日でしたので、うなぎまであります。
なんて贅沢なのでしょう。

野菜に、ジュースに、総菜に、パンと……

あ。

わたしの目がとらえてしまいました。

それは、

納豆。

そういえば父は納豆が大好きでした。

生卵とまぜてご飯の上にかけて、ズルズルっとかき込んで食べていました。

わたしは納豆が大嫌いで、食事の途中でも父が納豆をまぜはじめた瞬間に、ごちそうさましていました。

それは大人になっても変らず、人生で一度も納豆を食べたことがありません。

「 本当においしいから。栄養あるから 」と言われて納豆巻きを口元まで持ってきたことがありますが、どうしても口にいれる気になれず、チャレンジは失敗しました。

こればかりは臭くてダメなんです。

鼻をつまんで食べてみたらと言われて挑んでみましたが、臭いものは何をしても臭い!

そして、思いました。

こんな思いをしてまで食べるほど価値のあるものなのか?

思案するまでもなくNOです。

栄養のある食べ物は他にいくらでもあります。

高校を卒業して上京し一人暮らしを始めましたから、食材は自分の好きなものだけ買えばOK。なので四半世紀もの間、納豆をみることはなかったのです。

しかし、テーブルの上に納豆が置かれています。

「 父が食べたがってたから買ってきた 」そうです。

なんたる悲劇。逃げられません。

わたしが父の食事の支度をするので、納豆をパックからだして混ぜて、あったかご飯の上に乗せてあげなくてはなりません。

憂鬱です。

そして、晩ご飯の時間がきました。

意を決してパックから納豆をボウル小皿にあけて混ぜます。

くっさーーーーーー!

大嫌いなあの匂いがします。

なんとか耐えながら適度にまぜてご飯にかけると、あたたまったことで、あやつの匂いが強くなります。

なんとかこらえて父の前におき、わたしは極力離れて座ります。

とはいえ、何メートルもあるような貴族の食卓じゃないので、限界があります。

父、おいしそうに食しています。

さらに悲劇が続きます。

小さなタッパーに入れたまま出したお漬物や煮びたしなんかに父が箸を伸ばします。

糸も一緒に伸びます。そして、とりそこなったおかずが糸を引いてタッパーの中に落下します。

最悪です。

いくら親子でも、納豆の糸がついたおかずは食べられません。

オムツの交換はできても、こればかりはダメです。

次回からは面倒でもタッパーから小皿などに取り分けることにすると心に誓いました。

父から体を背けながらなんとか食事を終えましたが、それで終わりではありません。

お片付けが待っています。

納豆でネバネバのボウル小皿を洗わなければなりません。ため息がでます。

水を勢いよく蛇口から出してできる限り成分を流してから洗剤で洗いました。

いつもは節水モードなわたしですが、この時だけはふんだんに使いました。

あきろー

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