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まさかは現実にある。父がいきなり寝たきりに!
在宅介護Uターン 序章:1
ーー 本文1,036文字 2~3分位で読めます。
2022年12月
コロナが世間を騒がせてから初めての年末年始の帰省。
東京から山梨まで、特急『 あずさ 』だったか、『 かいじ 』だったかに乗って夜の甲府駅に降り立った。
改札前には妹と甥っ子が迎えにきてくれた。
そして、妹の旦那さんの車が発車してまもなく、妹が口を開いた。
「 今回は実家には泊まれないから。うちに泊まってもらうね。あと……覚悟しておいてね 」
突然のことで何を言っているのかまるで分らなかった。
だってわたしが帰省することを知らせてから何日も経っているのだ。
この数日間、わたしに何も言わずにいて、急に覚悟するようなことがあるのだろうか?
妹の旦那さんも会話に加わり内容が見えてきた。
父が寝たきりになってしまったそう――
83歳の父は、9月まで高齢者ドライバーながらも車を運転して仕事に行っていた。
妹がたまに食事を作っていたとはいえ、ほぼ一人で暮らしていたのだ。
三か月で一体何があったのだろうか?
6月にも一度、帰省したのだけれど、体力の衰えはあれど、寝たきりになるような予感はみじんもなかった。
仕事を辞めたことが影響しているのだろうか。そんな考えが頭をよぎった。
妹たちの話は続いた。
実家を訪ねたところ、コタツの脇に父が横たわって寝ていたそうだ。
寒いからコタツ布団を引っ張ったのだろう、リモコンやらミカンやらお菓子などが天板もろとも崩れ落ちていたそうで、息がとまるくらい驚いたそうだ。
事態のわからない妹が部屋を見回すと、畳のそこいらに茶色い汚れがこすったようについていたそうだ。
旦那さんの悲鳴のような妹を呼ぶ声がして廊下にいくと、畳についていたのと同じ茶色い汚れが引きずったようにしてトイレに続いている。
それを見て妹は確信した。「 これは父のウ〇チだ 」
恐る恐るトイレのドアを開けると、壁などにウ〇チがこすりつけられたような形跡がある。
「 トイレまで這ってきてなんとかしたんだな 」
そして、旦那さんの二度目の悲鳴がこだました。
脱衣場にいってみると、脱いだパンツの上に大盛りのウ〇チがこんもりとあったそうだ。
それを見て絶望したんだとか。
それから旦那さんと二人で、父の体勢を整え、汚れを掃除し食事を与えてきたそうだ。
大人用オムツ、お尻拭きシートなんかも買いにいったり、なにしろテンヤワンヤだったと話は結ばれた。
そんなこんなで、父はコタツに寝たきり状態。
じゃっかん痴呆もあるらしい。
妹をどなりつけたり誰かわかっていないようになったり、翌日行くとけろりとしていたり。
―― マジですか……
わたしは絶句するしかなかった。
続く。
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