ウォルトと流星群とマザームーン
一部、信仰心の強い顧客がいる
ある程度の人気ご商売をされている方なら、よくある話、自分にもそういう顧客がいる、で片付けたくなるところだろうが、話はそう簡単ではない
私の顧客は、社会的地位が高かったり、視座が高かったり、賢かったり、美人だったり、心が綺麗だったり、人格者だったり
とにかく私がトレーナーという職業でなければ1ナノも関わる事が叶わない、どちらかと言えば信仰される側の素晴らしい方々ばかりなのだ
そんな中のお一方、自らを信者と言ってはばからない美人ママさんが、お子さんをお連れになった先の話を始めた
何でも遊びに行ったディズニーリゾートでいたく感心したそうで、長時間待っていても老若男女が皆笑顔で、これだけの人数を全員笑顔にしてしまうとはディズニーってすごいな、と心底思った、と
別の日にはJAXAの見学に行き、列に並ぶ宇宙大好きなオタクたちのキラキラした楽しみな笑顔を見て
『あれっ?これ、どっかで見た様な…』
と思った彼女は
『そうだ!ディズニーにいた人たちと同じ笑顔だ』
と気付いたという
「で、この間が3回目ですよ」
「この間?」
「ここのスタジオの忘年会、参加してたみなさんがいかにも健康で輝いてて、みんなキラキラしてて」
「あ〜、恐れ入りますアハハ」
「本当に皆さん、御年代問わず、良質な健康的な人たち、って感じでした!」
「たしかに皆さん若々しくてお元気ですからねぇ」
「なので、私の中では
ミ ッ キ ー 、
宇 宙 、
ト レ ー ナ ー
です!」
おいおいおいおい
すげートコと並べるやないかい
どこかしらの大人から何かしらの形で怒られそうだが、今までで一番気に入ったキャッチコピーが飛び出した瞬間であった
因みに、別の私教の信徒(幹部、会計係)にちょっとした病院エピソードをラインしたところ
「名物的な存在になってるのが、らしくて笑ってしまいました🐕️
っていうかトレーナーのポテンシャルそんなもんじゃねーからって言いたい気持ちもありますが🐕️🐕️」
とのお言葉を頂戴した
みんな信仰心がエグい
因みに、長期入院していると、仲良くなったり、せっかく打ち解けた人も、意外とあっという間に退院してしまう
そんな退院時に、皆さんが、口を揃えておっしゃるのが
「П⊥ちゃんが居てくれて、本当に良かった!」
「最初に病棟に来たとき、一番始めに『こんにちは!!』って笑顔で話しかけてくださって、それで緊張が解けたの」
と
なんせ
ミッキー、宇宙、この私、である
オリエンタルランドのキャストよろしく大きな笑顔で
「こんにちはっ!」
なんて専売特許もいいとこ
しかも途中から気付いてしまったのだが“ワンこんにちは”のコスパの良さがヤバイ
基本、年寄りは同じ事を何度も言う
加えてここの看護師はみんな若くて可愛くてマスクをしている
若い子の顔の区別がつかない年寄りは、私から元気よく朗らかに挨拶された入院時の思い出を何度も何度も何度も何度も反芻して
見分けの付かない看護師相手に何度目だろうが言いまくるのだ
一回の「こんにちは」の経済効果ではない
無料の、“挨拶”という武器で、私はナースステーションでの好感度を極限まで上げることに成功した
また、退院時に、お迎えが病棟まで来ない患者さんとか、そもそも一人暮らしで、自力でタクシーで帰る人とかを、ナースステーション(ナースたちはここでバイバイ)からエレベーターホールまで見送る、ていうのも気が向いたらやっていて、それを見かけ、感銘を受けた看護師さんが
「皆さんの
最 後 の お 見 送 り
も、いつもやってくださっててねぇ、ほんとに」
と言ってたんだがw
流石に吹いた
相手老婆ぞw
出棺かよwwwww
「それでは張り切って、三途の川クルーズへと、い〜ってらっしゃあああ〜い!」
じゃねぇわww