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Eighth memory 06 (Conis)

「オービー、あれはなんですか?」

 ワタシはごろごろと寝転がりながら上空の光り輝く物体を指さしました。視線の先には暗がりの中でぴかぴかする何かが散りばめられたような場所が見えました。

 とても綺麗でワタシの胸はキラキラ、わくわくしました。

 「あれは……ほし、と呼ばれるものだな」

 ほし、オービーはそう言いましたがワタシは良く分からずに首を傾げます。
「ほ、し……ですか?」
「あぁ、詳しくは俺も知らない」

 これまでは全く気にしたことのなかったその光景からどうしてか今日は目を逸らすことが出来なくなっていました。

「不思議です……」
「気にいったのか?」

 そう言ったオービーの声はぽかぽかしていました。

「はい、ほし、とても好きです。気に入りました」
「そうか……」 

 オービーはワタシのその答えを聞くと、彼にしては珍しいどこかふわふわした表情を浮かべました。

「ほしのこともっと知りたいです! 教えてください、オービー」

 ワタシの中から次々に生まれてくる星についてのなぜなぜを抑えることはできませんでした。
 でも、オービーはワタシとは逆にとてもイヤにがした表情をワタシに向けました。

「……さっきも言ったろう、俺も詳しくは知らない」
「教えてください!」

 オービーにダメダメされましたが、ワタシの中のなぜなぜは止まることはありません。

 ダメダメされたことがワタシはとてもイヤイヤでした。

「知らないと言ってるだろう!」
「教えてください!!」

 いつも以上にワタシはこのなぜなぜを諦めることはできませんでした。
 オービーもワタシも決して譲らないそんな感じでした。

「ダーメだ! わがままを言うんじゃーー」
「なら俺達が教えてあげようかァ……?」

 振り返ったワタシたちの目に映ったのは、4人のギラギラしたお顔をした見るからにいじわるさんな人たちでした。
 オービーもワタシも彼らの出現に気を引き締めます。
 こんなことはいつも起こります。真っ暗な時間はとくに気をつけろとオービーはワタシにいつも言っていました。

「ほう上位ナンバーまでいやがる!! こいつは当たりだな!!」

 にまにました顔でいじわるさんな人達がワタシとオービーをじろじろと見ます。

「ワタシたちをどうするつもりですか?」

「決まってんだろ、バラしてそのままポイよ!! そうすりゃ大好きな、ほしとやらをここでずっと眺めていられるぜぇ」
「そうそう、ただでさえ、俺たち失敗作組がしんどい思いしてるんだからよぉ、上のやつらに報復でもしなきゃ話にならねぇよな!!」

 その人達の言葉にオービーはぐにゅぐにゅくしゃりとした顔をします。

「逆恨み……か……」

 オービーが懐からキラキラした何かを取り出すと、それが形を変化させ巨大な槍を作り出しました。

 いつも危険な事があるとオービーはこれを使って助けてくれます。

  ワタシが握っても何も起きないのに、オービーが握るとこのように槍のような形に変わるのです。

「下がってろ! エスケー、こんな雑魚まとめて片付けてやる」
「おいおい、正気かよ? たった一人で俺たち全員をーー」
 
 言い終わるより先に、オービーの槍が目の前の一人を貫き、やがてそれは動かなくなってしまいました。
 
「なっ、なんだこいつ!!」
「……エルムの使い方もしらない雑魚か……」
「ひっ、怯むな!! 相手は一人だ!!」
 
 残りの人達がそれぞれが持つエルムよって、見た目だけオービーの持つ槍のように変化したその不格好な武器を構えワタシたちに襲い掛かってきました。
 
「覚えておけ。喧嘩売るなら相手を選べ、ってな……」
「あっ、がっ、うっ……」
 
 オービーの突き出した三つ又に分かれた槍がそれぞれを貫き、やがて動かなくなりました。
 ……そう、一度は確実に動かなくなったはずだったのです。
 
「うっ、うっ、うー」
「んっ?」

 オービーがにがにがした表情を浮かべます。ワタシもなんだかイヤイヤな空気感を感じ取りました。

「イヤだ……まだ、生きていたいぃぃぃぃぃ!!!!!」
 
 その時、槍に貫かれた最後の一人の体が光を放ちながら、急速に変化し、突き刺された槍を吸収するようにその体を変えていきました。
 
「なっ!? 暴走だと!! っちぃ!!」

 暴走。

 それはワタシ達に時折、起きるイレギュラーな現象。

 そしてそれが、おわりのはじまりを告げる出来事であることを、今のワタシは知っています。



つづく


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