M-1グランプリ審査員コメント
M-1グランプリ2022(前半戦)
★2001年、初代M-1チャンピオン!兄弟漫才のトップランナー、中川家・礼二!
★2007年、M-1史上初、敗者復活からの優勝。今や国民的お笑い芸人、サンドウィッチマン 富澤たけし!
史上最年少の漫才協会副会長。老若男女を爆笑に包み込む、浅草の星、ナイツ 塙宣之!
★天才・立川談志のDNA。古典を改革し続ける落語界の風雲児、立川志らく!
★福岡の劇場からスタートし、漫才一筋32年。「先生」の愛称で誰からも親しまれる男が、5年ぶりの審査員。博多大吉!
★週のレギュラーは驚異の14本。お笑い戦国時代、唯一天下を獲った女芸人!今なお舞台に立ち続ける芸歴42年!東のレジェンド、山田邦子!
★漫才の歴史は、彼以前・彼以後に分かれる!お笑い界のカリスマ、ダウンタウン松本人志!
※登場順
1:カベポスター(草食系ロジカル)
邦子84 大吉94 塙92 富澤93 志らく89 礼二92 松本90 合計634
松本「いやまあ、本当に小気味がいい漫才っていうのかな、カベポスターはね。なんかずーっとこう気持ちよく聞いていられて、そしてちゃんと「お笑い」の量がちょうどしっかり4分間のなかに入っている? 素晴らしいと思いますね。うーん。・・・ちょっとあのー、点数で焦っちゃったんで、5点マイナスにしちゃったんですけど」
今田「いやいやいや!」(笑)
浜田「やり直してください!」(笑)
永見「絶対に許されない!!」(笑)
浜田「やり直してくださーーい!!!」(笑)
今田「(得点の)決定ボタンを押し忘れててん」
永見「えっ?人生なんやと思てんの??」(笑)
今田「冗談やん!あれは、まっちゃん特有の冗談やん!!」(笑)
松本「いやいや、凄かった。良いですねえ、ええ」
礼二「あの、ツカミも早かったですし、本当に時間をうまく使って、トップにしては全部ハマってたんちゃかな、と。変な緊張感もなく。僕はめちゃくちゃ良かったと思います」
志らく「やっぱり言葉選び、センスがもう天才的なんですよ。で、若干私がマイナス、ちょっと90(点)に乗せなかったっていうのは、ツカミの『糸電話』があまりにも私にとっては面白過ぎて、えぇ、(本編で)糸電話と大体(同じか)もっとこう越えてくれたら良かったと思ったんです」
二人「えっ、えっ、えっ」(笑)
浜田「僕ら、糸電話がピーク??」(笑)
永見「もしかしたら、僕ら、10秒で終わってたほうが良かった?」(笑)
志らく「私のツボ! ツボです。糸電話。もうズバーン!とハマってどれだけ凄くなるんだろう、下手するとこれは99点、100点くらい行くだろうと思ったところで、こう(平坦に)行ってしまったんです、私には」
富澤「いや、構成が素晴らしいなあと思って、途中からしりとりへ展開して、さらにその『ユリアへの愛』という(言葉が)前を見越してて言ってて、僕は金運と湯布院が好きでした」(笑)
浜田「金運と湯布院も、結構最初のほうですよね」
今田「気にしすぎや!」(笑)
塙「そうですね、本当、特にもう悪いところが無いというか、もう結成8年で一番脂が乗っている状態で。トップバッターのネタのチョイスも、このネタで凄い良かったんじゃないかな。『大声大会』という(題材も)割と永見くんの感情も出やすいし、すごい構成も良かったので、本当に素晴らしいなあと思いましたね」
大吉「本当に、悪いところが一つもないというか。まあ最初、同じような段組みだったので…ネタの構成が。どうなるのかなあ? と思ったらガラッと後半変えてきて、ツッコミも全部外さないし。うーん、ちょっと(94点は)トップには付けすぎかなあと思いましたけど、こんくらい行かないとなあ、と思いました」
邦子「とても面白かったですね。うーん。かわいらしいネタで、こういうネタが大好きです。で、私としてはすごい高い点数付けたと思ったら、一番、辛かったですね、私のね。アッハッハハハハ!!」
今田「わろてる!ごまかせません!!笑ってもごまかせませんから(笑)。でも今のネタの基準ですから」
邦子「いやあ、トップバッターってのはやりにくいと思うのですけど、とても良かったと思います」
今田「ここから邦子さんのなかでどうなっていくか、ということですからね」
2:真空ジェシカ(アンコントロール)
邦子95 大吉92 塙92 富澤92 志らく94 礼二94 松本88 合計647
邦子「大爆笑を何回するかなと思ったら、最後もうやめてくれっていうくらい可笑しくなっちゃったんで。笑いました!面白かったです」
礼二「いや去年もね面白かったんですけど、去年は何となく全体的に不安定やったんですけど、今回見たら2年連続ということで、何というんですか、度胸というか、安心して見れたなという感じがしました」
志らく「去年はギャグのフレーズに、出来の良し悪しが結構差があったんです。今回は全部が凄かった。特に『年金もらいすぎて卑屈になった』ってそのワードは、まず出てこないですよ。素晴らしかったです」
富澤「なんかもう、ツカミから全部完璧でしたし、拍手笑いもいっぱい出てましたし、なんか『知的でうらやましいなあ』と思いました。非常に良かったです」
塙「シルバー人材センターって、広がらないかな? って思っていたら、見事に広げたっていうのと。昔(真空ジェシカを)はじめ見たときに、どっちがボケかツッコミかちょっと見た目わからなかったんですけど、河北くんが、ずっと頭おかしいんでもう(笑)そのなんだろう、面白さが分かってきてるっていう強さもやっぱり今回あったんじゃないかな、と思いますね」
大吉「この、大喜利と漫才の融合したような感じのネタをやる方たくさんいると思うんですけど、もうズバ抜けて、真空ジェシカがトップランナーだと思ってて。途中まで、これカベポスターに点数高く付けすぎちゃった!と思ったんですけど、後半がね、うーん、なんかちょっと僕の中では失速したというか、ちょっと緊張して間がずれたような気がしたので、時間とかも見て点数を少し控えさせてもらいました」
松本「そうですね。ちょっとやっぱり緊張、が伝わってきたかなあ・・。うーん、あとねえ、うーん正直これは僕の好みなんでしょうけど、んーと、ボケに対してのツッコミがなんか大きすぎるというか、ツッコミとボケの声のバランスがむしろ逆ならいいんですけど・・どうなのかなあ、とちょっと思っちゃうんですね・・」
ガク「えっ、今からボケとツッコミを入れ替えるっていうことですか??」(笑)
今田「ちがう」
松本「そーですーー!!」(笑)
今田「いや、違いますよ!!そういうことは言ってなくて、正面から受け止めすぎ!」(笑)
3:オズワルド(敗者復活組)
邦子87 大吉93 塙90 富澤90 志らく95 礼二92 松本92 合計639
松本「まああの、オズワルドらしい、若干スロースターターっぽく見せといての、やっぱり後半ちゃんと取り戻していくなあって思いますね。『全然ネタ無い』って言うてたくせに、あるやん!!」
畠中「いやいやいや、頑張ったんです!はい!」
伊藤「どうにかこうにか、本当」
松本「あー本当!? いや、すごいなあ、うーん」
志らく「本来このサイコパス的なものは、漫才にすると、引く部分がたくさん出てくるはずなんですよ。でももはや最近は、引くところも面白くなってきた! だから私、かなり高得点ですね」
富澤「中盤からは、いつものオズワルドだなあって思ったんです。なんか前半が若干、緊張なのか、ちょっと、うーん・・・」
今田「いつものオズワルドじゃなかった?」
富澤「かなあ?っていう感じがしたんで、そこらへんが下がってしまいました」
塙「なんか『夢』っていうテーマが、どうしても(漫才の)比較対象にならないというか、何でもアリなので、絵がちょっと浮かびにくかったなっていうふうに思いましたね。まあただ、こう動かないで、やっぱり話芸をあそこまでやるっていうのは一番評価しているところなので、はい、90点でした」
大吉「敗者復活でやってたネタと同じかなあと思って見ていて、でもところどころアレンジ変えていたので、やっぱり1日で、同じネタでちゃんと2回お客さんを笑わせるのは凄いなあ、と思いました」
邦子「一番優勝候補と思っている2人なので、とっても大好きです。ちょっと辛めに付けましたけど(笑)」
伊藤「大好きな点数じゃないですよね」(笑)
邦子「残ってほしい!」
礼二「いや、面白かったんですけど、ちょっと前半が不安でした。後半のようなあの盛り上がりが、もっと最初から行けていたらもっと点数は高めに付けようかなとは思っていたんですけど、はい」
4:ロングコートダディ(ゆるハイブリッド)
邦子94 大吉92 塙94 富澤96 志らく96 礼二95 松本93 合計660
松本「いや良い根性してるよね! この大舞台でこのネタ放りこんでくる? ずっとこの「縦」で漫才を見せてくるというのが、うわ最後までやり切りよったなあっていうのと。ちょっと思ったのが、『競走』でコイツ「兎」やし、それもかかってんのかなって」(笑)
兎「(親指出して)かかってます!」(笑)
松本「(笑)」
今田「ホンマか??」(笑)
兎「さすが!すばらしい」
今田「それやったら、自分から言うたらいいのに!」(笑)
松本「いやでも、笑っちゃったねえ」
邦子「すんごい面白かったですね。はぁ、オズワルド・・・」
今田「いやいやいや」
上戸「まだ3位にいますよ」
邦子「あのねえ、特に兎くんなんて、声がいいですよね。優勝かも!すっごい面白いです」
礼二「特にボケとツッコミが無かったんですけど、このマラソンだけでやっぱり、全部ハマってたんじゃないですか。はい。一番、いまのこの順番で一番ウケているな、とは思いました」
志らく「衝撃の漫才だと思いますね。ええ。ただ私の好みから言うと、最後、こう肩を抱き合って『一緒に走るって言ったじゃないか!』でわあ!!と盛り上がったところでスコーン!と(ネタで)終わったらば、たぶん98点か99点くらい入れたかなあって。最後だけ、あそこでスコーン!と。これ私の好みですけどね」
堂前「すみません。兎が『もうええわ!』って言うの好きなんですよ」(笑)
兎「ごめんなさい。形だけはこだわりたくて(笑)」
富澤「マラソンっていうセリフのやり取りがないものを、どう持っていくのかなあと思ったら、こう持っていくんだなあと思って。さらに展開どうするんだろうと思ったら『太ってる人』というシンプルな(笑)。うわーやられた、と。そして最後にまた最初のヤツが出てくるという凄い構成だな、と思いましたね」
塙「全く同じで、やっぱり『大奥』とか超えるやつあるかな? って思ったら、今度は自分の見た目のやつを持ってくるのが凄いと思って、本当は95点とか付けたかったんですけど、少しだけ(4分間に)短かったんですよね。だから、それが1点マイナスにして94点というところでしたかね」
大吉「そうですね、全部のボケがハマってて大爆笑でしたけど、本当に塙くんと一緒で、ぶっちゃけ20秒残しだったんで、やっぱり期待しちゃいましたね、最後20秒なにやってくるんだろう?と思った時点で終わったんで、同じ大喜利系漫才の真空ジェシカと同じ点数にしちゃいました」
堂前「ちょっとあのー、ネタ合わせしすぎて、ふつうに2人の足が速くなってしまいまして・・」(笑)
5:さや香
(続く)