見出し画像

東条英機 遺言

https://x.com/111g0/status/1341556883065167873/

 開戦当時の責任者として敗戦のあとをみると ,実に断腸の思いがする。今回の刑死は、個人的には慰められておるが、国内的の自らの貴任は死を以て贖えるものではない。しかし国際的の犯罪としては無罪を主張した。今も同感である。ただ力の前に 屈服した。
自分としては国民に対する責任を負って満足して刑場に行く。ただこれにつき同僚に責任を及ぼしたこと、又下級者にまでも刑が及んだことは実に残念である。天皇陛下に対し、また国民に対しても申し訳ないことで、深く謝罪する。
元来、日本の軍隊は、陛下の仁慈の御志に依り行動すべきものであったが、一部過を犯し、世界の誤解を受けたのは遺悟であった。此度の戦争に従事して敗れた人及び此等の人々の遺家族に対しては ,実に相済まぬと思って居る 心から陳謝する。
今回の裁判の是非に関しては、もとより歴史の批判に待つ。もしこれが永久平和のためということであったら、も少し大きな態度で事に臨まかければならないのではないか。此の裁判は結局は政治裁判に終った。勝者の裁判たる性質を脱却せぬ。
天皇陛下の御地位及び陛下の御存在は動かすべからざるものである。天皇存在の形式については敢て言わぬ。存在そのものが絶対に必要なのである。それは私だけでなく多くのものは同感と思う。空気や地面の如き大きな恩は忘れられるものである。東亜の諸民族は今回のことを忘れて、将来相協力すべきものである。東亜民族も亦他の民族と同様この天地に生きる権利を有つべきものであってその有色たることを寧ろ神の恵みとして居る。印度の判事には尊敬の念を禁じ復ない。
これを以て東亜民族の誇りと感じた。今回の戦争に因りて東亜民族の生存の権利が了解せられ始めたのであったら幸である』列国も排他的の感情を忘れて ,共栄の心持を以て進むべきである。現在の日本の事実上の統治者である米国人に対して一言するが、どうか日本人の米人に対する心持を離れしめざるよう願いたい "又日本人が赤化しないように頼む。東亜民族の誠意を認識して、これと協力して行くようにされなければならぬ。実は東亜の他民族の協力を得ることが出来なかったことが今回の敗戦の原因であったと考えて居る。今後、日本は米国の保護の下に生活して行くであろうが、極東の大勢はどうであろうか。僅に三年にして、亜細西大陸赤化の形勢は斯の如くである。今後のことを考えれば、実に憂慮にたえぬ。もし日本が赤化の温床ともならば ,危険この上もないではないか。今 ,日本は米国よりの食糧の供給その他の援助につき感謝して居る。しかし一般人がもしも自己に直接なる生活の困難やインフレや食糧の不足等が、米軍が日本に在るが為なりというような感想をもつようになったならば、それは危険である。実際はかかる宣伝を為しつつある者があるのである。依って米軍が、日本人の心を失わぬよう希望する。今次戦争の指導者たる英米側の指導者は大きな失敗を犯した。第一は日本という赤化の防壁を破壊し去ったことである。第二は満洲を赤化の根拠地たらしめた。第三は朝鮮を二分して東亜粉糾の因たらしめた。米英の指導者は之を救済する責任を負うて居る。従ってトルーマン大統領が再選せられたことは、こ
は出来ぬ。
第 3次世界大戦に於いて極東、日本と支那と朝鮮がその戦場となる。此の時に当って米国は武力なき日本を守るの策を立てなければならぬ。"これは当然米国の責任である。日本を属領と考えるのであったならば、また何をか言わんや。そうでなしとすれば、米国は何等かの考えがなければならぬ。米国は日本ハ千万国民の生きて行ける道を考えてくれなけれぱならない。凡そ生物として自ら生きる生命は神の恵である“産児制限の如きは神意に反するもので行うべきではない。なお言いたき事は、公・教職追成や戦犯容疑者の逮捕の件である。今は既に戦後三年を経過して居るのでないか。従ってこれは速かに止めてほしい。日本国民が正業に安心して就くよう•米国は寛容の気持をもってやっていってもらいたい。我々の処刑を以て一段落として、戦死傷者、戦災死者、ソ連抑留者の遺家族を慰安すること。戦死者、戦災死者の霊は遺族の申出あらば、これを靖国神社に合祀せられたし。出征地に在る戦死者の墓には保護を与えられたし。従って家族の希望申出あらば、これを内地へ返還せられたし戦犯者の家族には保護を与えられたし。
青少年男女の教育は注意を要する・将来大事なことである。近時、如何がわしき風潮あるは、占領軍の影響から来て居るものが少くない。この点については、我国の古来の美風を保つことが大切である。
今回の処刑を機として、敵・味方・中立国の国民罹災者の一大追悼慰安祭を行われたし。世界平和の精神的礎石としたいのである。
勿論、日本軍人の一部の間に間違を犯した者はあろう。此等については哀心謝罪する。これと同時に無差別爆撃や原子爆弾の投下による悲惨な結果については、米軍側も大いに同情し隣惑して悔悟あるべきである。
最後に、軍事的問題について一言する。我国従来の統帥権独立の思想は確に間違っている。あれでは陸海軍一本の行動は採れない。兵役制については、徴兵制によるか、 傭兵制によるかは考えなければならない。我が国民性に鑑みて再建軍の際に考慮すべし。
再建軍隊の教育は精神主義を採らなければならぬ。忠君愛国を基礎としなければならぬが、責任観念のないことは淋しさを感じた。この点については、大いに米軍に学ぶべきである。
学校教育は従前の質朴剛健のみでは足らぬ。人として完成を図る教育が大切だ。言いかえれば、宗教教育である。欧米の風俗を知らすことも必要である。俘虜のことについては研究して、国際間の俘虜の観念を徹底せしめる必要がある。


 辞世
我ゆくもまたこの土地にかへり来ん国に酬ゆることの足らねば
さらばなり苔の下にてわれ待たん大和島根
に花薰るとき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?