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ガーシーこと東谷義和さんの民事訴訟待った無し〜参議院議員通常選挙ウォッチ 3〜

NHK党のガーシーこと東谷義和さんが参議院議員通常選挙で当選

 暴露系YouTuberであるガーシーこと東谷義和さんがNHK党公認候補として比例代表に立候補し、当選しました。ただ、この当選は茨の道となりそうです。

リンク法律総合事務所に所属し、米国・カリフォルニア州弁護士の資格も持つ、山口貴士弁護士が語る。
「海外に逃げていて住所不明だったとしても、公示送達という方法で裁判を起こすこと自体は可能なんです。しかし、こうした方法で裁判を起こし、勝訴しても回収は難しい。
ですが、彼が国会議員になったことで、議員歳費の差し押さえが可能になります。普通の給料と違い、議員歳費の場合は満額差し押さえることも可能です」

Smart FLASH「ガーシー当選に思わぬ落とし穴『議員歳費は差し押さえられる』と弁護士が指摘」

 山口貴士弁護士は、この記事の中で参議院議員の歳費が差押対象の債権となる可能性に触れています。ただ、参議院議員となったガーシーこと東谷義和さんの歩む茨の道はその程度ではないと思います。

参議院議員となるガーシーこと東谷義和の訴状送達先が明らかに

 参議院議員となるガーシーこと東谷義和さんは様々なスキャンダルをYouTubeで暴露しており、暴露された対象者が名誉毀損による不法行為を理由として民事訴訟を提起してくることは予想できることでした。
 ただ、これまではその所在が明らかではないため、公示送達による送達を経て裁判所で審理され、被告となったガーシーこと東谷義和さんが裁判所に出頭しないため、請求が認められるものの、支払いがなされず差し押さえるべき財産も見当たらないため、裁判所が認めた賠償額を受け取ることができないといった展開なのではないかと推察します。
 ただ、参議院議員となった後のガーシーこと東谷義和さんは、参議院議員会館に事務所を設けて参議院議員としての職務に従事することになりますから、民事訴訟法第103条第1項により参議院議員会館の事務所が送達場所となり、裁判所を通して訴状を届けることが可能となります。
 公示送達となった民事訴訟の判決においては、被告に対して訴状が到達したものとみなすという性質から判決文で仮執行が認められないことが多いわけですが、送達がなされた場合には仮執行が認められやすくなります。したがって、判決が確定する前においても財産に仮に執行して裁判所が命じた支払額を受領することができることになります。

資産等報告書等が差押リストに

 参議院議員は、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律に基づいて資産を公開する義務があります。参議院議員となったガーシーこと東谷義和さんもまた、資産等報告書等を提出して資産を公開しなければならなくなるわけですが、ガーシーこと東谷義和さんのYouTubeの公開によって名誉毀損を受けた者にとっては、参議院議員の資産等報告書が差し押さえることができる財産のリストにもなるわけです。
 参議院議員となることでガーシーこと東谷義和さんに対する民事訴訟及び民事訴訟の勝訴による財産の差押が非常に容易になることになりますので、民事訴訟が待った無しということになるのではないでしょうか。