こんにちは、デザイン思考|KOELができるまで #1
NTTコミュニケーションズのデザイン組織、KOELの池田です。お会い出来て嬉しいです。これから「KOELができるまで」を数回にわけてご紹介します。
今回と次回は、対談編にて語られたKOEL立ち上げの経緯をもうすこし詳しくご紹介します。
巨大な組織の中で、デザイン初心者がデザインを浸透させるには?
#1
chapter 1. こんにちは、デザイン思考 (2010~2011)
chapter 2. 旅行トランク (2011~2015)
#2
chapter 3. チャンスはピンチ? (2015~2016)
chapter 4. もうデザインとは、言わない (2016~2019)
chapter 5. 再開 (2019〜2020)
chapter 1. こんにちは、デザイン思考 (2010~2011)
遡ること10年。コードを書くのは楽しいけどしんどいから合わないかも…と思っている、ゆるふわエンジニアが、会社の新規事業創出コンペで優勝しました。
おめでとう!彼の名は、金さん。大学は芸術工学部 音響設計専攻。
入社後は新規事業開発の部隊に入り、エンジニアもしつつ、ずっと事業開発に携わっていたものの、行き当たりばったりな進め方が多くモヤモヤ・・・っとしていた頃の出来事でした。
コンペ優勝者として、予算500万(!)で新規事業創出を一任されることになった金さん。わーい、やったね!
ところが新規事業を立ち上げるにあたり、早速、壁にぶち当たります。
ごつん。
巷にあふれるビジネスフレームワークは、絵に描いた餅感があり、しっくりきません。
個人プロジェクトだったため、一緒に取り組んでくれる人もいません。加えて、まわりに新規事業を軌道に乗せた人はおらず、アドバイスを求められそうにもありません。本来の業務も持ったままなので、時間も取れません。
うまく進められない、進捗している実感がもない中、時間だけが過ぎていきます。不安や悩みが溜まり、自問自答で激しく苦悩する金さん。
「いったい、どうすればいいんだ…?うわああ!」
重い泥の中を歩いているような、苦しみの日々が続きます。
ヒントを求め、手あたり次第に本を読み漁る中、『ペルソナ作って、それからどうするの?』『デザイン思考の道具箱』『発想する会社』という3冊の本に出会います。
そこには、初めて見る ”人間中心設計” や ”デザイン思考” について記載されていました。
書かれていたプロセスは論理的で理解しやすかったので、藁にも縋る想いで実際に書かれていたことをやってみると・・・
進んでいる実感もあるし、分かりやすく、やりやすく、
なにより楽しかった。
「そうか・・・俺に必要なのは人間中心設計とデザイン思考だったのか!」
こうして救われ、感銘を受けた金さんは、本に書いてある通りに自身の新規事業アイディアをブラッシュアップしていきました。
chapter 2. 旅行トランク (2011~2015)
デザインの素晴らしさに目覚めた金さんは、
考えます。
「ずっと事業開発一本でやっていたけれど、行き当たりばったりな進め方が多くてモヤモヤしていた。個人プロジェクトだけではなく、
全社的にHCDとかデザイン思考を使えば、もっと自信を持って、楽しく働けて、力を発揮できるはず!」
有言実行の男、金さん。
部門内のUI検討会に参戦、UXを盛り込み、あれよあれよという間にUI/UXデザインユニットのユニットリーダーに就任!
ユニットの立ち上げを、リーダーとして任されたのです。
リーダー就任後の5年間は、年間約20件のプロジェクトを回しながらの草の根活動。
例えば、サービスのゲリラユーザビリティテスト(使用者の行動を観察するテスト)。旅行トランクに表情観察用や手元観察用のカメラを詰め込み、さまざまな部署を行脚。なかなか楽しそうです。
他にも専門家評価、コンセプトデザイン、新規事業検討などなどを実施していきました。
どんなプロジェクトでも、できるできない関わらず受け、学びながら対応することで、実践的に幅広く力をつけていったのです。
正に、崖から飛び降りながら飛行機をつくるメンタリティー。
のちに共にKOELを創っていくことになる、石川俊祐さんと東京大学のi.schoolというワークショップで出会ったのも、この頃のことでした。
しかしここでも壁にぶち当たります。しかも今回は2つ。
ごつんごつん!
第一の壁は、デザイン活動がなかなかスケールしないこと。
プロジェクトが終わってしまえばそれまでという、焼畑農業的な活動になりがちでした。
メンバーのスキルセットも追いつかず、学びと実践を同時並行していたため、スケールさせる仕組みにまで手が回らず。
第二の壁は、人的リソース。育ったチームメンバーが異動でいなくなったり、はたまた転職してしまったり・・・。原因は明白で、社内にデザイナーが生きていく組織とキャリアパスがないことでした。
金さんは原因を冷静に分析し、対策を立てます。
「これまではボトムアップ的な活動に終始していたけれど、なかなかスケールしない。やはり、トップダウンアプローチも視野に入れよう。組織とキャリアパスは、うーん、ないならこれから作っていこう!」
次回予告
これまでのモヤモヤに対する答えを、デザインに見出した金さん。
実践を通して学びを深めながら、もっと活動もメンバーもスケールさせていきたい!と考えていた頃、とあるチャンスに恵まれるのですが。。。
次回に続きます!
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