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フルリモート中途入社の不安感を払拭する鍵は “入社前” にあった

こんにちは、KOELの小堀田です。
私は2021年1月、コロナ渦のフルリモート真っただ中に、KOELへ中途入社しました。フルリモートで仕事をした経験はなく、漠然とした不安を抱えての転職でした。しかし、入社して3ヶ月、その不安は一気になくなっており、色んな人と幅の広いコミュニケーションをしながら実務に集中している、そんな実感をしながら仕事を進めています。

では、なぜそれができているのか、客観的に捉えるために、デザインリサーチャーの山本さんと一緒に、同じくフルリモート中にKOELへ参加した中途入社メンバー8名へ調査を実施しました。

中途入社メンバーの入社前に抱えた不安がどのように変化したか、実際に何が効いたのか、中途入社メンバーへのアンケートとインタビューを実施した結果、組織をデザインする人たち、言わば、マネジメントの「プロ」たちの、「入社前」の仕掛けに鍵があることがわかりました。

中途入社の場合、新卒入社とは異なり、一般的にはこれまで培った知識や経験を「与える人」として採用されるため、そのフォローアップが手薄になったりしないでしょうか。

KOELはフルリモート中に組織が立ち上がり、かつ、中途入社メンバーが一度に複数人入った珍しい組織です。だからこそ、試行錯誤がなされているとも言えますが、ここで行われている工夫は、他の状況であっても適用できるのではないかと思い、記事にしました。こちらの記事は特に、フルリモートでの中途採用募集を考えている方、受け入れ側のマネジメントの方にお読みいただけると嬉しく思います。

KOELフルリモート中途入社メンバーの実態

フルリモートでの組織立ち上げから中途採用者受け入れまで
KOELは2020年4月、コロナ渦の緊急事態宣言中に、NTTコミュニケーションズのイノベーションセンター内のデザイン部門として組織が立ち上がりました。

KOELは、2021年4月現在30名が在籍し、うち中途入社メンバーは、7月〜9月の夏入社4名(内NTTグループ内移動者1名)、2021年1月冬入社4名の合計8名です。尚、夏入社メンバーの受け入れから、冬入社メンバーの受け入れまでの間には、オンボーディングのやり方や環境セットアップの進め方が大きく更新されています。

入社前に抱えた不安はどのように変化したか
中途入社者の、入社前の不安の種類を調べたところ、1. それぞれの実務に関すること、2. リモート下での入社、3.カルチャーマッチング、4. チームワークのはかり方、5.スキルマッチング に分類されました。
しかし、これらの不安の多くは、入社時期にかかわらず既に解消されていました。その理由は、「チームの雰囲気」や「個人の人柄」、「顔を合わす様々な機会」など、KOEL内で一歩踏み込んだコミュニケーションを行った結果によるものが、突出して多いことがわかりました。

入社前後のプラスのギャップが組織そのものに対する素地形成に
中途入社メンバーへのインタビューを進めたところ「思ったほど」という発言が多く聞かれました。「思ったほどガチガチではなく、むしろ動きやすかった」「もっと受け身の人が多いかと思っていたけど、みんな向上心が高い」など、マイナスのレベルを覚悟していたが、実際にはプラスの印象である、というように組織全体のイメージとして語られるケースが多く見られました。

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またこのギャップの中には、「ベテランメンバーばかりだと思っていた」といった、マイナスと捉えられる発言もいくつかみられました。しかし、それは入社後に印象が悪くなったというより「これからの伸び代に期待」「自分の新たな役割として設定する必要がある」といった、前向きな発言で補われていました。

こうしたプラスのギャップや、伸び代に期待する前向きなギャップは、KOELという組織全体の健全な印象を特徴づけ、これらがコミュニケーションをとる上での素地になっているのではないかと考えられます。

入社前の3つの仕掛けが鍵に


仕掛け1. 採用面接でのコミュニケーション
さらに、中途入社メンバーの不安が解消されている理由として、入社前からデザインされている、3つの仕掛けが鍵になっているのではないか、とインタビューの内容から考察しました。

ひとつめの仕掛けは、採用プロセスです。
KOELの採用プロセスには筆記試験がありません。その代わりに書類選考後、多くの日本企業が採用する、平均回数2.2回の面接 に対し、KOELでは内定前に面接が、3〜5回行われていました。

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また、面接の内容も、採用する側の都合だけではなく、採用される側の要望でメンバーとの懇談が設定されたり、積極的に知りたいことに答えてくれていたりと、採用される側に寄り添う内容がもりこまれていました。

採用する側、採用される側、双方で徐々にKOELで働くイメージの解像度をあげていく、面接の場がそのようなコミュニケーションの場として機能したため、不安解消に効いていたのではないかと考えられます。

仕掛け2. 段階に応じたフォーメーションと立て付け

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次に、現在中途入社メンバーが、誰とのコミュニケーションを行なっているのか、KOEL内、社内、社外、それぞれプロジェクトの関わりの有無に分けて、その割合を聞いてみました。その結果、夏に入社したメンバーと冬に入社したメンバーでは、コミュニケーション相手の幅が異なっており、このことから、少しずつKOELの外とのコミュニケーションが行われていることが示唆されました。

また、入社直後の冬入社メンバーが、プロジェクトメンバーとコミュニケーションを多く行っていることから、入社時にはすでにKOELでのフォーメーションや立て付けがおこなわれていることがわかります。他のメンバーと一緒にプロジェクトへ参加し、徐々にKOEL外の人たちとの接点をふやしていく、こうしたプロジェクト体制を含めたフォーメーション設計が、業務に関する直接的な不安解消につながっていたのではないかと考えられます。

仕掛け3. リモート下での「場」と「ノリ」がすでに用意されている

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KOELでは、リモートありきで作られた組織ということもあり、様々なオンラインツールを活用した「場」があります。特に中途入社メンバーが、入社直後に使っていたのは、オンラインコミュニケーションツール、NeWork™です。

3つめの仕掛けは、こうしたNeWork™のようなツールの運用の仕方にありました。

NeWork™では、バーチャル空間上に存在するデスクに、自分たちで名前をつけることができます。このデスクの名称とともに、自分達でなんとなく設定したゆるいルールが、「場」と「ノリ」をつくり出しています。

例えば、「朝の会/帰りの会」のデスクは、朝の30分、帰りの30分に来れる人はきましょう、といった、ゆるいルールと共に存在しています。社内システムの設定をしていて困った時、特に何も用事がないけど人としゃべりたい時など、なんとなく集まれるゆるい場が存在することは、入社後すぐに自分から何かを始めるのことに抵抗がある中途入社メンバーにとって、日常的なコミュニケーションを自然と始めるのに、非常によいツール、よい運用となっていました。

まだまだ、これからでもある

フルリモート中途入社の調査で、本質的な課題が浮き彫りに
これまで、KOELで不安を解消する仕掛けについてお話をさせていただきましたが、課題はまだあります。そのひとつに、組織を超えたコミュニケーション、といった課題が見えたので紹介させていただきます。

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上図は、今回実施した、現在抱える孤立感についてのアンケート結果です。こちらで示すとおり、8名中1名がやや孤立感を感じている、といった結果となりました。この孤立の理由をインタビューしたところ、「KOEL内では感じていないが、他の組織の土地勘がないため、対応する相手と他の人との関係性や性格的なことを含めた判断が難しく、また相談することもできない」ということが、マネジメントレベルの中途入社メンバーに発生していることがわかりました。

たしかに、フルリモートという状況を考えると対面よりも相手の人となりが見えづらく、また、周囲へ耳打ちをして相手の様子を探る、といったことも困難です。

しかし、このような状況は中途入社、プロパー社員にかかわらず、また対面/リモートかかわらず、非常に繊細かつ高度なコミュニケーションであり、より本質的な課題が表面化したと言えるのではないでしょうか。

変えられる余地、実験的フィールドとしての面白み
最後に、調査を行った私自身の所感ですが、KOELでは前述のとおり、通常の組織でも起こりうる難題に直面することが想定されます。しかし、現在のようなフルリモートの状況であっても、不思議と不安に感じていないのは、「変えることに対して非常に前向きな組織」であるからだと思います。

それは、すでに中途入社メンバーのオンボーディングが試行錯誤されていたり、プロジェクトの体制面や進め方について「どうしたらよい?」というディスカッションがカジュアルになされていることから、「自分で変えられる余地」を日々感じています。

私自身は、こうした「自分で変えられる余地」や「どんなことでもみんなで試行錯誤できる」といった安心感が不安の解消に至っている、そんな気がしています。

今回、中途入社メンバーの不安の解消について調査を行いました。KOELの働き方についてはこれからも記事にしていきたいと思いますので、どうぞお楽しみに。

KOEL note

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