自分と社会を結びつける力
司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでいる。江戸幕府が瓦解し明治維新が起きると日本は世界の潮流に晒されていくことになるのだが、大国と言われて恐れられていた清とロシアを戦争で打ち破るまでの物語だ。
物語の中心となるのは秋山好古、秋山真之の秋山兄弟と正岡子規だが、読んでいて当時の人達の探究心というか愚直なまでの勉強意欲に驚かされる。
明治になり政府が推し進めた政策として教育がある。それまでは寺子屋のような格藩の個別の教育機関で学ぶことが多かったが、国として教育機関を設立し勉強というものを広く浸透させようとしていた。そうした背景もあり秋山兄弟や正岡子規も学ぶことに対して貪欲になっていたのかもしれないが、国の政策だけでそこまで意欲が湧くかといえば疑問もある。
勿論当時と現代では全く情勢も違うし、秋山兄弟なんかは陸軍と海軍に所属していたので自分達が頑張らなければ日本が侵略されるという危機感がより強かったのかもしれない。ただそうした時代背景があるものの、更に勉強意欲を駆り立てていたものが世の中との結び付きだと思う。つまり自分が社会の一部に属しているという意識がモチベーションに繋がっているのだ。
これは現代でも研究されていることで、タスクに対する粘り強さを調べた研究では、自分が社会と繋がっていたり団体に所属していると認識することで、認識しない人と比べて粘り強くタスクに取り組めたという結果が出ている。
秋山兄弟でいえば、自分達が日本防衛の一部であると強く認識していたことで、騎兵や海軍への研究意欲が増していたのだと思う。
僕も社会インフラを提供する会社に勤めているので、仕事の中に動機を見出すことは出来ると思っているし、そもそも会社という団体に所属してしていることで団体への所属感を強めることも出来る環境にいる。
明治を生きた人達のように常に探究心を持って人生を充実させられるように行動したいと思っている。