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ナレ録り後のMAミキサー②
ナレーター、そしてMAミキサーの小枝です。
(このnoteは個人的な意見ですので、チラシ程度に留めてくださると嬉しいです。また、誤情報などないように気をつけてはいますが、間違いなどがありましたらご指摘して頂けると幸いです。)
〜前回のリップノイズの続き〜
<カ行やサ行のノイズ処理>
カ行の音などは、音量を上げると耳が痛くなるような音になる時があります。「〜したそのとき、」などの文で使う「し」「き」は特に多いです。
これらの音の特徴としては、小さめの音量で再生していても耳が痛くなるようなバチっとしたノイズに聞こえることがあげられます。(特にイヤホンやヘッドホン)
そこでよく使われるのは、ディエッサー(De_esser)と言われるプラグインです。耳になじまない子音の部分を削る処理をしてくれます。
使い勝手はさまざまですが、ひとつ挟むだけで十分効果的です。使用する場合は、これもちゃんとモニターして削り過ぎていないかを確認してみてください。
と、まあ紹介したものの、歌の収録ではよく使われるそうですが、ぶっちゃけるとテレビではあまり使わないです。
理由は色々あるのですが、手数が増えてしまう割にはそこまでクオリティが変わらないのと、テレビだとさほど音量を上げないため気にならないからです。どうしても目立って気になる!という場合は、
1.気になる点だけボリュームを下げる
2.もしくは、気になる箇所の波形の直前でクリップを分割し、2〜3Fくらいでフェードイン
して上げると、いい感じに聴こえる筈です。きちんとした処理ではないですが、効果的な方法です。
それでも無理な時は、録り直した方が早いです!
2.NAズラシ(上げ下げ)
テレビ番組などではよくありますが、収録時、ナレーションが、映像の尺に対して若干こぼれてしまうことや、逆に余ってしまう場合があります。その際に、ミキサー側で適切な位置に調整します。これをやらない現場はないといっても良いくらい、よくある作業です。MAの作業の中でも、かなり重要な作業です。何故かというと、音づくりよりも誰が聴いても分かるポイントだからです。
この「上げ下げ」ですが、ミキサーは収録中に判断します。カット内に収まるのか、それとも余白がなくてキツいから収録し直すのか。原稿に印をつけて、後で調整します。判断に困る時は、一度確認します。
ただし、この作業は番組によって解釈が変わってくることもあって、「なんでもかんでもカット内に収めたら良いというものでもない」というナレーターさんもいらっしゃいます。特にドキュメント番組なんかはありうるケースです。
<ナレーションのカット合わせ>
経験上、ベテランのナレーターさんになるほど、この時間管理を完璧に当ててきます。G.Bさんはあのお年で逆算して完璧に時間ピッタリに合わせますし、H.Yさんは「Dのキューなんかいらねえ!映像みりゃわかるから!」と仰っていたとかなんとか。
この辺りは、本人の経験値、原稿の正確さ、制作との信頼関係がモノを言うかと思います。
あと、ひと昔前は一回VTRを流してテストしてから本番、というのがセオリーでしたが、今はもうほとんどがテスト本番で収録されてます。(但し、CMなどは除きます)
(よりよいモノを作るのなら、時間をかけて然るべきですが、現在は、製作費の圧迫や、それぞれが掛け持ちしてる案件…etcを考えると、なるべく早く終わらせた方が皆がハッピーになると僕は思います)
ちなみに、型が決まってる番組は、ナレーションが必要なところだけを収録し、ONが長い箇所は飛ばすことが多いです。
ですがバラエティなどのアバンは、あえて最後に録るケースもあります。番組の顔となる部分なので、ざっくりと内容を見てもらってから収録すると、印象がグッと良くなるからです。
今回はここまでです!
次回はいよいよ、EQコンプについて書こうかと思います。それでは。
小枝真也