デザイン料などにかかるお母さんのようなシステム、源泉徴収税額
こんにちは、FP2級プログラマのかじひろきです。
会社員時代の感覚のままフリーランスとして独立すると、実は会社が色々な面倒ごとを代わってくれていた、という罠が自営業には潜んでいます。源泉徴収税もその一つではないでしょうか。
フリー1年生だった筆者も、請求した分はもらえるもんだと思っていたので、請求書を出した金額よりも振り込まれた金額が、なんか少ない…振込手数料って金額じゃないし…と困惑していました。
ここでは個人事業主が引かれる源泉徴収税の制度とその計算方法について解説し、最後にシミュレーションサイト「Koeda」を使った計算の実例を紹介していきます。
そもそも源泉徴収って?
ここでは会社員が給与から天引きされているものとは別の、主に個人事業主が報酬から引かれている源泉徴収税額についてお話します。
実は源泉徴収税とは、最終的には所得税として納められるものであり、源泉徴収税という税金の種類はありません。所得税は1年間の所得から一定の割合を年明け頃に納めるものですが、その税率は5%〜45%と、稼ぎによってはかなりの金額になります。
当時の筆者のようにどんぶり勘定している人がいると、お金もう使いました!払えません!となり税務署が税金を※取りっぱぐれる可能性があります。そこで支払者である企業などが前もって税務署に所得税の一部を収めておいてくれる仕組みがこの「源泉徴収税」です。
※本当に払えないです!となった場合は申請した上で利子を乗せて支払うことになる事もありますので、税金のお金はしっかりプールしておきましょう…
源泉徴収の対象となる報酬
分かりやすいものでは原稿料や講演料、弁護士や公認会計士など士業の方への報酬などが挙げられます。
対象となる報酬はその他にもいくつかあり、国税庁の以下のページで確認できます。馬主への賞金なんかも含まれるそうです。
引かれる金額の計算とシミュレーション
では実際いくら引かれるのか?というと、税率はそれぞれ以下の通りです。
100万円以下の部分…10.21%
100万円超の部分…20.42%
もともとは10%と20%でしたが、所得税については復興特別所得税が各税率の2.1%上乗せされるようになったため、このような割合になっています。
例えば請求金額が165万円(税込)だった場合は、一般的に以下のようになります。
100万円以下の税額 : 1,000,000 x 10.21% = 102,100円
100万超の税額 : 650,000 x 20.42% = 132,730円
実際の支給額 : 1,650,000 - (102,100 + 132,730) = 1,415,170円
100万円を超えない部分、超える部分でそれぞれ税率を計算したあと、請求額から源泉徴収税額を差し引く…というまぁまぁ面倒な計算をします。「請求書に源泉徴収税額を記載してください」という会社もあるので、毎回計算するのは大変ですよね。
Koedaでは報酬を入れて税込み・税抜きを選択するだけで源泉徴収税額の一般的なシミュレーションができますので、ぜひご活用ください。
消費税は含む?含まない?
175万円の計算では請求額を税込みとして計算しましたが、請求書に税抜価格を掲載し、消費税部分が明確にわかる場合には、税抜きの価格のみを源泉徴収の対象として良いとされています。
165万円から消費税を除くと150万円になるので、最終的な手取りは144万円強となり、少し手残りが増える形になります。一見お得に見える計算ですが、最初にもお伝えした通りこれはあらかじめ納めている所得税のプール金のようなものなので、最終的には確定申告によって納める額は変わらないことに注意しましょう。
源泉徴収は「お年玉とお母さん」
源泉徴収のイメージは掴めましたでしょうか?所得税の流れを知らないとなぜか引かれる理不尽なお金にも思えるかもしれません。
ですが「お年玉は預かって貯金しとくから」みたいな、所得税の納付時期にお金が足りなくならないようあらかじめ引いておいてくれるお母さんのようなシステムだと思うと、多少身近に感じられるのではないでしょうか。
感じられる必要があるのかはさておき。