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バイリンガル育児 アメリカに住んで思うこと

英語教育。子育てをしている世代なら多くの方が関心があると思います。私も、その一人です。

今日の記事では、8歳の息子が最近バイリンガルっぽい感じになっているなと思ったことから、今、彼の中でどんなことが起きているのか、そして、これから親として子供たちの語学教育にどう関わっていきたいと思っているのかをまとめます。


英語と日本語の切り替えが完璧な息子

8歳の息子は日本語の方が得意な日英のバイリンガルです。
アメリカ在住歴5年。日本在住歴3年。両親は日本人です。

小学2年生になり、最近、英語の読み書きが定着してきたように思います。日本人の私が聞く限りですが、発音もかなりきれいです。
そりゃアメリカに住んでいればそうなるでしょ。という感じだと思うんですが、私が感心しているのは「英語が流ちょうになっても、毎日小学校で英語を使い帰宅した後でも、息子は家では絶対に英語を話さない」という点なんです。

そりゃそうでしょ、日本語の方が得意なんだから。と思うかもしれませんが、それがそうでもないんです。

というのも、私は最近、アメリカの小学校で働くようになりました。そうすると、たった3時間英語環境で過ごしただけでも、帰宅した後に英語で家族に話しかけてしまうことがあるんです。
なぜ私は英語を話してしまうのに息子は一切英語を話さないんだろう?と不思議に思い調べたら、以下の記事にたどり着きました。

あなたが日本語の話者で、英語を学んだとしましょう。あなたが英語で話している最中、脳は日本語が出てこないようにするためにかなりの努力をしています。そして、日本語に「戻ろうと」した場合、脳は、日本語抑制モードを「解除」するために、かなりの努力をしなければなりません!このようなわずかな遅れ(多くの場合、数百分の1秒以下)は、言語を切り替える際の「切り替えコスト」として知られています。

出典:バイリンガルの脳はどうや⁠っ⁠て言⁠語⁠を使⁠い⁠分⁠け⁠て⁠い⁠る⁠?

私:日本語の方がずっと得意なのに仕事で英語を話すために、日本語の脳内音量を目いっぱい下げている
⇒家庭に戻って日本語に切り替えるときの「切り替えコスト」の負荷が高い。
息子:英語も日本語もバランスよく習得している。
⇒「切り替えコスト」が低いのかもしれないという結論に至りました。

単に、年齢による反射の速さの違いという可能性も感じています。

切り替えコストの低さの恩恵なのか、反射の速さによるものかわかりませんが、とにかく息子は家では英語を話さないことは、今後の日本語力の維持においてとてもメリットがあると感じています。

少数派言語が先に発達するように意識する

アメリカに住むようになって、たくさんの日本人のお母さんと知り合いました。そして、配偶者が日本人かアメリカ人かにかかわらず、みんなが口をそろえて言うのは「アメリカに住みながら我が子に日本語を身に付けさせることの難しさ」でした。

そして、私が知り合った、日本語が得意な子供たちのお母さんがやっていたことは次の二つでした。

1.「お母さんは英語が分からないから、絶対に日本語で話して」と子供に伝えて、実践すること
2.義務教育が始まるまでは幼稚園や保育園に通わずに日本語を話すお母さんとできるだけ時間を長く過ごすこと

つまり、とにかく義務教育に入るまでは、そして家庭では徹底的に日本語を優先させるということです。
調べてみたら、以下の記事に大学の先生がエビデンスを交えてこのことを話されていました。

子どもが小さいころは社会の少数派言語(例:日本社会における英語)のインプットを多くして、その言語が先に発達するようにする、という取り組みは、バイリンガル子育てが成功している家庭でよく実践されています。

社会的の多数派言語(例:日本社会における日本語)のほうがいずれ優勢になる可能性が高いからです。

出典:ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所

我が家も、もうしばらくしたら、子供たちが英語で話しかけてくる未来を想定しています。
だけど、これまで培ってきた日本語がなんとかこのまま彼の家庭での言語として少しでも長く残ってくれたらいいなと思っています。

思い切って1年単位で住む場所を変えてみる

なぜ、息子はアメリカに長く住んでいるのに日本語の方が得意なのか?
単に両親が日本人だからという理由だけではないと思っています。

息子は、2歳から年中までをアメリカで過ごし、そのあと、年長の4月~小1の7月までの約1年間を日本で過ごしました。

日本で過ごしたこの1年ちょっとの間に、ひらがなとカタカナをすべて覚え、日本の友達や親戚とたくさんの時間を一緒に遊んですごしました。
この期間に、彼の日本語力がぐっと伸びたことは明らかです。

最近知り合った日本とアメリカの国際結婚のご家族は、お子さんの日本語力の維持、伸長のために昨年9か月間ほど、日本に住んで日本の公立小にお子さんを通わせたと聞きました。

かなり大胆な決断ですし、実践できる家庭は限られると思います。が、バイリンガル育児をする上では、数か月から1年単位で住む場所を移して多数派言語の環境を変えることは、とても効果的だと実体験から感じています。

受容バイリンガルとは。下の子の日本語力に要注意

上記の記事に、こんなことも書かれていました。

受容バイリンガリズムとは、二つの言語のうち片方しか話さないけれど、両方の言語を理解できる、ということです。

日本に住む日英バイリンガルの場合、ひとりっ子よりもきょうだいがいる子のほうが英語を話さない傾向があります (Yamamoto, 2001)。特に、下の子のほうが受容バイリンガルになりやすいです(Noguchi, 2001)。下の子どもの言語能力のほうが低い理由は、すでに就学した上の子どもが社会の言語を家に持ち込むことによって下の子どもと母親の言語使用に影響を与えるからだ、ということがアメリカの研究からわかりました(Bridges & Hoff, 2014)。

これもまた、これまでアメリカで知り合った友達のご家族を見ていて体感していることの一つです。
どうやらきょうだいでは、下の子の方が少数派言語を身に付けにくいようです。

前述のように息子は家庭に英語を持ち込んでいませんが、今後息子が家庭でも英語を話すようになったら一番大きく影響を受けるのは下の娘だと考えています。
息子は8歳になる現在まで、家庭では日本語環境で過ごしましたが、もしかしたら娘が8歳(息子が12歳)のときには、息子の影響ですでに家庭にも英語が持ち込まれているかもしれない。そうすると生涯を通してみたときに、圧倒的に娘は息子よりも日本語に触れる時間が短くなってしまうんですよね。

そのため、4歳の娘の日本語に関しては息子の時よりもよくよく観察し、今時点で英語が堪能でなくても全く気にせず日本語で話しかけ続けることにしています。

まとめ

アメリカに住む日本人家族の我が家が、子供のバイリンガル教育のために意識していることは以下の通りでした。

  • 少数派言語(アメリカ在住時の日本語)が先に習得されるよう意識する。そのために家族同士の会話ではとにかく日本語を使う。

  • チャンスがあれば長期間、多数派言語の環境を変える(日本への長期一時帰国など)

  • 下の子は特にきょうだいから受けて多数派言語が優勢になりやすいことを念頭に置く。

この先どうなっていくか、全く分かりませんが、今のところこんな感じです。

どなたかのお役に立ちましたら幸いです!


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