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大食い特番


『有意義な人生を送りたい』とか『無駄に人生を過ごしたくない』とか逆に『人生に無駄なことなんて一つもない』なんて言葉を聞いたりするけど、テレビの大食い特番を観ていると、すごく無駄な時間を過ごしているなと実感する
ただ観るのが好きだ

ここ何年かの大食い特番はだいたい観ている
元旦から世界一を決める国対抗の4時間くらいの長丁場の特番から始まり、春には大食い女王を決める戦い、夏には新人戦、どれも3時間を超える長時間特番
こないだやってたのは3時間45分くらいあって、だいたいいつも予選が事前番組として組まれて1時間半くらいの番組もあったから、一回の大会で放送時間は5時間を超える
年間15時間は大食いを観ている計算になる

番組内容はシンプルで、毎回、優勝を目指す大飯食らいの人が数名出てきて、ラーメンなりステーキなり、丼飯なりをとにかく食べて、食べた量が多い人が勝者とされる
優勝する人はだいたいラーメンを1時間で20杯くらい食べている

ただ食べるだけだと無駄性が際立つのを避けるためなのか、出場者に個性を持たせるためなのか、この番組では出場者にあだ名をつける
風貌や食いっぷりなどの特徴から司会者があだ名をつけるのだが、いつの間にかついたあだ名を司会者は叫び、何杯目突入かをコールしては隣の出場者も追い付いた、抜いたなどとデッドヒートを演出する

他人が食べている、しかも尋常ではない量
その様子を観てるだけなのに、観ていると後半は誰が勝つのか気になってきて、むしろ全員頑張れ、もっと食べろという気持ちになってくる
いまだに何故だかわからないけど、番組の最後には涙したことも数回ある

人間は食べることで生きていける動物だ
だから食べるのは当然で、むしろ食べないのを競う方がエコだし、驚異的なのに、バカみたいに食べる様を観て熱くなるのはただただ無駄な事だ

人生に無駄がないように生きる事を考えると、大食い特番を観ることはかなり無駄な部類に入るだろう
しかしそれは、きっと、サッカーや野球、マラソン、音楽、映画を観ていることと大差はない
所詮人がなんかしているとこを観ているだけのことだから
ただそれらを観て、心を動かされるのは大事なことで、何を観て動くかが人によって違うだけのことなんだろう

ここまで書いて、大食いのことを、感想ならまだしも、こんな文章を書いてる自分は大食いを観るより無駄な事をしている
そしてこれを読んだ人も無駄な時間を過ごしただろう

ちなみに大食い特番より無駄なのは大家族ものの番組を全部観ることだと思っていて、この文章はそれより少しだけ無駄ではないと思う

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