「言葉のナイフ」
ある日、電車の中での誰かが発した言葉がきっかけとなり、ストーマを装着している方の人生が大きく変わりました。「臭い」と言われたその一言が、深い心の傷となったのです。
この経験は、単なる悪口以上の影響をもたらします。その方は周囲の視線を恐れるようになり、人とのかかわりそのものに恐怖を感じるようになってしまいました。ストーマを装着していることで、常に周囲の反応を気にしていた彼にとって、この言葉はナイフのように心を切り裂くのです。
その結果、自分の価値を疑い始め、人との接触を避けるようになり鬱状態に陥りました。
その後しばらくして私たちは出会います。
創傷管理を学んでいた私は、その方とじっくり向き合い、一緒に過去の辛い経験を振り返り、ストーマを装着している自分を受け入れ、自信を取り戻せるようケアをおこない徐々に彼は強くなりました。
この経験から、言葉が人の心に与える影響の大きさを改めて実感し、心のケアとは、症状への対処だけでなく、その人が抱える心の痛みとその背景にある原因を探ることが重要と再認識しました。
特に、身体と心のケアこれら両者をバランスよく行うことが大切だと。