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全力で2曲作ることを(もっと)甘く見ていた話

M3

音楽自主制作の世界にもコミケの様なイベント、「M3」がある。

このM3には毎年とてもたくさんの音楽制作サークルが参加し、自分たちで作った音楽を頒布して楽しむ。いわば作曲の文化祭だ。

M3は東京流通センターで開催される。地理的に遠いので自分は参加しにくい。
ということで、コンピレーション(コンピ)に参加する。

コンピレーションとは、あるテーマで曲を制作して持ち寄って、それをメディアとしてまとめて頒布する企画だ。
自分の様に参加の難しいDTMerにとっては、とてもとてもありがたい

ちなみに主催の人は、コンピの方向をとりまとめて、募集して、スケジュールを管理して、寄せられた楽曲をマスタリングして、ひとつのメディアにまとめて、M3で頒布してくださる。本当に大変だと思う。ひたすら感謝!!

空想世界コンピ

2024春のM3向けには2つのコンピに参加することにした。

ひとつは空想世界コンピVol.2。

魔法と科学が共存する世界を表現する音楽をじっくりと作った。

ふだん深夜の2時間DTMで、一発芸の様に楽曲を作っている自分。
ちゃんとした企画・構想に合わせてじっくりと進める制作は、とにかく大変だった。(甘くみていた)

どんなに良い音色があっても、どんなに長く鍵盤を弾いても、イメージがまとまらないと全然曲にならない。悩む悩む…。

2時間DTMならそのまま公開してもよさそうなWIP(作りかけ)をいくつも捨てる。3曲は全消ししただろうか。

イメージ作り

曲作りはイメージの世界だ
イメージできない曲は作れない

「葬送のフリーレン」のセリフから受け売り

空想世界コンピは世界観を重視する。
綿密に練られた設定資料を読み返して、その中で自分の楽曲がどう位置づけられるか。ひたすら考える。

どんなキャラクターがいるのか。
どんな事件が起こるのか。

コンピ世界で起きた出来事をイメージして設定をつくる。
もともとSFが好きなので、がっつりしたSF味のある物語を考える。
その物語の雰囲気を音楽で表現する。

曲作り

押し寄せる奔流のようなリズム
80〜90年台のシンセ
ボーカロイドによるスキャット

使える武器を全て投入した。
自分の普段の曲調に比べると、当社比200%くらいに攻めた曲になった。
超自信作だ。(乞うご期待!!)

Ambient Carnaval

ふたつめの参加コンピはこちら。
アンビエント&ミニマルミュージックのコンピレーション。

「アンビエント・カルナバル」と読む。
通称「アンビエント祭」。

アンビエント・ミュージックは、伝統的な音楽の構成やリズムよりも音色や雰囲気を重視した音楽のジャンルである。

Wikipedia より

「アンビエント」というジャンル。簡単な様でむちゃくちゃ難しい。

ヒーリングミュージックの様な「ふわああっとした音楽」だと思っているが、あまり定義にこだわるとよくわからなくなるヌエの様なジャンル。

自分が今まで作ってきた楽曲は、けっこうふわああっとした曲が多いので、アンビエント寄りかもしれない。
自分の方向性とも合っているから楽勝。
そう思っていたが、これが甘かった。

スランプ

まず空想世界コンピで燃え尽きたせいか、しばらく魔力切れで曲がつくれなかった。
2時間DTMにも参加する元気が出てこないしnoteも書けない、残念なスランプ状態に入ってしまった。

そもそも自分が今まで作ってきたアンビエント風の曲は、自分自身がちょっとしたトランス状態に入って気分だけでふあああっと作ったものが多い。
こういった、気分に直結した曲はメンタルに左右されやすい。
あんまり元気の出ないときに、気分で作る様な曲を意識的に産み出すのは逆に難しい。

それでも、メンタルのよさげな時に気分にまかせて作ってみたWIPが4曲。
そこそこ美しい曲もあったけど、とっちらかっていた。
全部捨てた。

宝石商のメイド

そんななか、たまたまSNSに流れてきた「宝石商のメイド」を読んだ。

すごい。圧倒された。

ストイックで美しい宝石商のメイドさんが語る宝石の物語。
思わず電子本を衝動買いしてしまった。

これだ!!
宝石の物語を音楽で語ろう。

魅力的なストーリーがインプットされたら、あれほどびくともしなかった曲想が動き出した。

曲作り

テンポの揺らぎにこだわった
転調の繋がり具合にこだわった
音の響きにこだわった

宝石の輝きの様な曲が出てきた✨
自分の普段の曲調に比べると、当社比200%くらいに美しい曲になった。
やった、やったよう!

ところが!

なんと、コンピの趣旨と合っていないことがわかって、主催者共々びっくり! 
アンビエントがよくわかっていなかった不勉強。。。ごめんなさい。
無理言ってお願いしてもう一曲作らせていただきました。

今度は2曲捨てたのち「かいしんのいちげき」な曲が産まれた。

なんと、頭をほとんど使わないで感性だけで作った。
正確には過去に捨てたWIP曲のフレーズをリサイクルしてミニマルミュージックにしてみたのだった。

できるだけほんわりと
できるだけ美しく
急流をさけてゆったりした流れを作って

意外にいい感じに緩くて、疲れ果てた自分の頭もゆったりと撫でてくれる優しい曲になった。

自分の普段の曲調に比べると、当社比200%くらいに柔らかい曲になった。
こちらも自信作。(乞うご期待!!)

教訓

じっくり曲を作ってわかったこと。

  • じっくり作るためには、もっとイメージ作りが大事

  • じっくり作るのは、とても大きなエネルギーが要る(甘く見てはいけない)

  • でもコンピの趣旨は大事にね!

今回参加したコンピレーションは以下になります。

  • 空想世界コンピVol.2(M-11b)

  • Ambient Carnaval (サ-31a)

お暇があれば、ぜひ2024春M3までお立ち寄りください。
ものすごい熱量で作られた同人音楽がたくさんあります。

ボツになった2曲目について

6月1日の「音けっと」という別のイベントで、なんと初CDを手焼きして頒布します。

今回作った3曲は、後ほどこちらのnoteでも公開します。

長文お読みいただき、どうもありがとうございました。

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