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「Particles」 聴きたいチップチューン

愛せる自曲をめざして

前回、「自曲が愛せなくなった」と書いた。

ということで、少しペースを落としながら「愛せる自曲」を作っている。
大事なことは、「自分が聴きたい曲」をつくること。
「作りたい曲」じゃないし、ましてや「聴かせたい曲」でもない。

とはいえ、「自分が聴きたい曲」って簡単に掘り起こせるものでもない。
むずかしいーーー!

今回、深夜の2時間DTMのお題に沿って、それなりに時間をかけて(6時間!)聴きたい曲を作ることができたので、どうやって聴きたい曲を見出したのか、将来の自分に向けた備忘録として残したい。

今回のお題(むっちゃ難しい)

今回のお題は「ジャンル:チップチューン」。

チップチューン (英: Chiptune) は、コンピュータ音楽の黎明期において厳しい制約のある音源チップのみで作られた音楽のスタイルを志向した音楽ジャンルである。

Wikipediaより

あ、ゲームボーイとかファミコンとかで鳴らす音楽だ。
小さな搭載チップに搭載された、基本的には矩形波中心の音色、同時発音が3とか8とか、とにかく無茶苦茶に制限が厳しい中で作られた名曲。。。

いやいやいや…
ふだんの自分の方向性からは、かなり遠いお題ではないですか。
2時間でムキになって作ると、絶対不完全燃焼して自家中毒するやつだ。
やっぱりやめとこうかなー(と逡巡しきり)

ガチの人はファミコン音源を使って厳しい制約をきっちり守って作るけど、自分はそこまでのスキルはない。 だったら、せめてチップチューン風味があれば良いのでは?
ということで拡大解釈することにした。

FM音源

昔、アーケードゲームやMSXパソコンには、FM音源チップが搭載されていた。
そう、ゲームセンターにはFM音色が鳴り響いていたのだ。
ということで、今回はFM音源縛りで作ってみよう。 これならなんとかなりそう。

FM音源といえば、やっぱりDX7。
もう実機はないけど、今はとてもよいプラグイン、Dexed がある。 これを使いまくることにしよう。

Dexedを鳴らすと、最初は「あれ?素っ気ない」ととまどう。
実はリバーブはおろか、コンプも何もエフェクターは付いていない。
生の音はすっぴんで味気ない。

でも地の音がとても良いので、エフェクターの乗りがむちゃくちゃいい。
少しコンプやリバーブをかけるだけで、とんでもない美音に化ける。
おまけにDexedは回路レベルでクローン再現しているため、とにかくレスポンスがいい。
まるで本物の楽器を弾いているみたいだ。 これはとんでもなくすごいことだ。

曲想

さて、FM音源を使うことに決めたはいいけど、自分はどんな曲が聴きたい?
プラック音が乱れ飛ぶ曲とか、プリンセスなゲームの曲とか、いろいろと考えてはみるものの、どれもピンとこない。

普段なら2時間の縛りがあるから、その辺で妥協してあとは手グセでなんとか捻り出してしまうところ。
でも、それをやったら今までと何も変わらない。
また『愛せない自曲』が出来てしまう。それはもうイヤ。

本当に聴きたい曲ってなんだろう?

…あった。
FM音源からイメージするもので、頭にへばり付いて剥がれないくらい『聴きたい曲』があった。ずっと聴きたい音。

FMシンセと言えば坂本龍一教授。
教授といえば「Riot In Lagos」というむっちゃカッコいい曲がある。
1980年のYMOのワールドツアーのオープニング曲だった。

あんな空気感の曲が聴きたい。
うわー作れるかどうか分からないけど、とにかく聴きたくなってきた。

曲作り

朧げな記憶をたよりに、Riot In Lagos風味のリズムを作る。
リズムマシンはさすがにDX7音色では難しいので、別音源を使う。
ハンドクラップが心地いい。

そこにオルゴール風のDM音色で、16ビートのミニマルなリフを重ねていく。
チップチューンといえば矩形波音色なので、そんなリードも入れてみる。
途中で少し転調する。

いったん盛り上げておいて、元の調に戻す。
YMOの東風のように『戻ってきた』感を出す。

ふんわりFMパッド音を被せて、かたいFMピアノで盛り上げて。
おおー、いい感じになってきたーーー!
Riot In Lagosとは似ても似つかない曲だけど、これは好きだ。

Particles

出来上がった曲がこちら。(画像:u_8t3emw1yia (Pixabay))

使ったFM音色は8つ。
DX7を8台分。考えてみたら、とんでもない贅沢。

オルゴール音が粒子のように感じられるので、題名は「Particles(パーティクルス)」とした。
小さなチップが舞い飛んでいるようなイメージだ。

時間がないからと言い訳はせず、ミックス&マスタリングも一応ちゃんとした。

うん、やっぱり時間と手間をかけただけはある。
この曲は愛せる!

長文お読みいただき、どうもありがとうございました。

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