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涼しくなってきた気候とPC事情
※本掲載記事は2019年9月18日時点のものです。
9月も半ばをすぎ、段々と涼しくなってきました。窓を開けたまま睡眠を取るとちょっと寒いかな、くらいの感じです。とはいえ、PCヲタクが気にするのは自分の体調ではなく、PCの発熱具合だったりするわけで。
4月頃から、NZXTが公開しているモニタリングツール「CAM」を使用して、主にCPUとGPUの温度計測とクロックやロードレベル、ファン回転数を常時モニタリングしているのですが、6月末~8月末くらいまでの間、CPU、GPUともにアイドル時にも40度を超えていました。CPUに関しては現時点でも40度を超えていますが、AiO水冷のポンプスピードを見ると50rpm程度落ちているので、「安全域で騒音防止」といった動きをしているのかもしれません。BIOS上から設定が出来る「ケースファン/ポンプ用4ピン端子」に関しては「パフォーマンスモード」に設定していた為、ほぼ常時フル稼働してくれるかと思いきや、多少回転数を落としてくる動きを見せています。ちなみに上記期間の間は温度は40度台と変わらなかったものの、ポンプ回転数が1050rpmとほぼフルスピードで回っていたようでした。
一方、GPUに関しては9月に入った頃から40度を下回るアイドル時の温度になっており、ファン回転数も(おそらく)50%程度で安定しています。使用しているVGAがRadeonVega64のリファレンスモデルで、ブロワーファンによる外排気タイプの為、複数ファンの吹き付けによる内排気タイプに比べてどうしても温度が上がりがちなのですが、少なくともアイドル時点ではかなり安心できる値になっています。VRやベンチ等で負荷をかけると、流石にフルロードした際はファン回転数も倍増し、GPU温度も70度を超えるレベルまであがりますが、負荷の軽い場面等で一気に10度以上冷えるなど、リファレンスクーラーもなかなかの性能を持っているなと、改めて実感しました。
さて、そんな実感をした所でまるで話が逆転するのですが、「VGAも水冷化したい」という考えは実は7月に入った頃からずっと考えており、大掛かりなDIY水冷ではなく、パーツを組み合わせたAiO型で組みたいな、とパーツを模索していました。一時期、EKWBがそういった製品を出していたのですが、Vega向けのウォーターブロックがあっさりと生産終了してしまい、ガッカリしていたりします。本記事冒頭の画像はAlphaCool製の「各パーツにクーラントが封入されており、ジョイントを接続する事でAiOタイプに近い環境で水冷化できる」という製品で、現状でもVega向けブロックが手に入る為、10月に入った頃にでも入手しようかと考えている所です。現在使用中のVega64は、メインPCのVGAがRX5700番台に移行した際にVR用のサブPCへ持ち込む予定の為、ケースサイズに合わせてラジエターも240mmサイズで「欲しい物リスト」に入れてあります。流石にMicroATXサイズのミニタワーだと、ブロワーファンでの吸い込みが窮屈になることと、VR動作中の安定稼働化、及び水冷化による電源OFF時のアフタークーリングが主な目的で、場合によりそれに合わせてCPU側もAiOクーラーで水冷化しようかなと考えてはいます。
一方のメインマシンに関しては、様々な検証やトラブルサポート時の環境構築、ゲームの実況配信等でフルロードの時間がさらに長くなる傾向にある為、ケースもせっかく大型にしたので、本格的にDIY水冷での稼働を検討中です。ハードチューブを使いたい所なのですが、いかんせんヒートガン含め加工器具を持ち合わせていない為、当面はソフトチューブでの稼働になるかとは思います。ケース自体が天面だけで480mmラジエターを2つぶら下げる事が出来るほど巨大なので、リザーバやポンプも2系統用意して、CPUとGPUを別個の水路で冷却する予定です。
この水冷化のタイミングでX570系のミドルハイなマザーボードと、RyZenの3000番台に載せ替えたい気もするのですが、なにせ高いという事と、16コアで登場する予定のRyZen9 3950Xの価格予測としてThreadRipperとほぼ同価になりそう、という点もあり、いっそTR系にフルチェンジしてしまいたい気もしています。TR2000番台で32コア載せていた2990WXに関しては、RyZen3000番台で採用された「チップレットスタイル」に近い構造であったものの、I/O接続が4ダイ(1ダイ=8コア)のうち2ダイのみという構造の為、Windows上での各種ベンチスコアや実効率の面ではコア数が半分の2950X(コンピュートダイ2つ)に遅れを取っていた、という事もあって、とりあえず様子を見ていた感じでした。RyZenの3000番台が「7nmのコンピュートダイ2つを、14nmのI/Oダイひとつに直結させる」というスタイルになったので、TR3000番台も同様か、「2つのコンピュートダイに対して一つのI/Oダイを直結させる」スタイルになるのではないか、と予測しています。2000番台までのTRでは、その上位モデルとなるサーバ向け「EPYC」が全ダイに対してI/O接続を行っていた為、その差別化という意味でI/O接続を半分に切り捨てたのではないかなー、と思っている所ですが、RyZen3000番台で内部接続類が大幅に変わった事で、TR側の第3世代にも影響が出るだろうと思っています。
他、メモリコントローラの関係で8スロット対応、PCIeレーン本数も潤沢、オマケに石もM/Bも3000番台の16コアとTRの16コアでほぼ同等と考えると、「TRのほうが抜群に良いではないか。何を悩む必要がある?」となりそうなのですが、実はちょっと悩みどころがあります。
通常型RyZen系は今まで通り、ソケットとしてAM4を採用しており、BIOSのROM容量の関係から第1世代などの一部は非対応となったものの、CPU側の互換性が非常に高く、今後第4世代などが出た際にも即座に対応出来たり、M/Bを交換して別環境向けPC用として使用する際にも、安価な旧世代CPUが使用出来るメリットがあります。現状で言えば、NASとして稼働させているBSDサーバのM/Bがあまりにも古い(まさかのnForceチップセット)為、ここにAM4を持ち込んだ上で、NASのみとして動かすのであればAthlon等の安価なCPUを、仮想マシン等を走らせて複数処理を行わせるのであればRyZen5や7の第1~第2世代が選択可能なのですが、これがTR向けM/Bになると、CPU側は何があってもTRから選択する必要があり、そのTDPなども計算すると、電源や冷却周りのコストが格段に上がってしまいます。ついでに言えば、「M/Bはそのままに、石だけ新世代品に変えた」という時にも、当然AM4のボードには刺さらないので、完全に浮いてしまう、というネガティブもあります。TR向けのマザーボードは相応にコストもかかる為、同時交換というのもなかなか難しいのです。
AMDは以前からそうでしたが、同一ソケットを比較的長い間使い続けて、その上でCPU側のスペックアップを行っていく、という戦略である為、古いM/Bと新型の石を組み合わせても、(チップセット等の新機能は使えないものの)そのまま動かせてしまう、というのが大きなメリットでした。アップグレードパスとして現行、もしくは1世代前で安価になってきたハイエンド系M/Bを載せておけば、とりあえず順当にスペックアップが出来るというのは、Intel系ではなかなか見られない強みです。そう考えると、同じ価格帯であってもAM4系で続投しようかな、という気にはなったりします。
それと同時に、作業内容や処理項目によってはやはりHEDTクラスのパーツ構成のほうが安定して処理を行える、というのも現実だったりするわけで、どうしたものかと悩みに悩みつつ、「とりあえず第3世代TRを待ちつつ、Radeonは水冷化させる」という順番で行こうかな、と考えています。私がPCの構築をする際、コストパフォーマンスもさることながら、「必要と思われる処理をフルロードで行っても安定して稼働する」という方針で組んでいる事もあり、瞬発力よりも持久力のある構成を好むタイプなのです。そういう意味では、現段階でも充分な性能を持っているTRに乗り換えてしばらく使い続ける、というのもアリなのですが、そうなると「自作PCなんだし、無駄にちょこちょこいじりたいよね」という、理屈ではなくただの欲求でパーツをいじったり入れ替えたりする事が(若干ではありますが)難しくなるだろうと思っています。
いやぁ、自作PCって難しいですね。一度完成させてしばらく使い続けるだけなら大した難易度ではないのですが、無駄にいじりたいなどと思い始めると、途端にパーツ選定が難しくなります。でもそれが楽しいんですよね、自作PCって。
……このnoteやVtuber活動を応援してくださる方、こちらの欲しい物リストにあるラジエターとウォーターブロック、プレゼントしてくださっても良いんですよ……?(チラッ