システム移行だけでなく、一時バックアップや外付けケース代わりにも?:Groovy SATA&M.2 CLONEアダプタ
全世界1000000000000人のストレージ中毒の皆様こんにちは。かくいう私もいい感じに中毒傾向が出ていて、お買い物の際には中毒のせいか意識を失うことが多いですが、中毒のせいだから仕方ないね! 香月です。
さて、今回はストレージのクローンキットについて。こちらは株式会社タイムリーさんより提供頂いた製品になります。
SATAとM.2が一本ずつ、双方向でクローン可能
本製品はSATA端子とM.2端子をそれぞれ一本ずつ持っている製品で、クローン元・先はスイッチで切り替えられるようになっています。PC上で行うクローンとは違い、ハードウェア単体でクローンが行える為、誤操作という点に関しては可能な限り防ぐことが出来る仕様です。
また、実際のクローン時にも「ボタン長押し→ボタン単押し」という2段階を踏む仕様の為、最悪でもこの点で設定ミスに気づけば、データ喪失を防ぐ事が出来るようになっています。
このように「可能な限りミスを減らす」という工夫がされているのが本製品で、お手軽ながらデータ損失(クローン元・先を逆に指定した等)が起こりづらい設計。これは初心者のみならず、散々PCを弄り倒してきた方も、安心して使用出来るものと思います。
パッケージとしては、キット本体、USB-AtoCケーブル、ACアダプタ、USB-AtoC変換アダプタ、M.2SSD固定ゴムといった具合。必要最小限のものが揃っているので、購入後すぐ使用可能です。
唯一残念だったのはACアダプタ。単体動作時の電力供給には必須なものの、リムーバブルデバイスとしてPCとUSB-Cで接続した際にも、ACアダプタがなければ動作しません。アダプタもそこそこ大きいので、これはできればUSB-Cにして欲しかったなと思ったりもします。せめてリムーバブルデバイス時にはPC等からの給電のみで動くとか。
ただ、そのUSB-Cによる電源供給も必ずしも安定しているとは限らない、と考えると、本製品のようなACアダプタ付属のほうが良いのかもしれません。最近はUSB-C対応の充電器でもかなり小型のものが出ているので、せめてそういった製品に置き換えてもらえれば……今後に期待です。
クローン速度はそこそこ。1分間で12GB程度の転送速度
さて、実際にクローンを試してみる事にしましょう。今回は環境とテスト内容の関係から、先にM.2→SATAのクローン作業を実行。それぞれのデバイスを接続し、ACアダプタもしっかり挿した状態で「Clone」ボタンをまずは長押し。青いLEDが4つ点滅したら、今度は「Clone」ボタンを単押し。これでクローン作業が始まります。進行状況は4つのLEDで確認できます。
という事で、今回はM.2側が500GB、使用率は90%以上という内容物を、完全にデータが入っていない960GBのSATAドライブに移行させます。事前にどちらもエラーが無いことは確認済み。
実際にクローンにかかった時間はおよそ40分程度。単純に500GBで割ると12.5GB/分という事になります。これに関しては、いくらM.2SSDが高速と言えど、組み合わせられるのはSATAのSSDなので、こちら側でボトルネックになっていると見て良いでしょう。
さて、今回のクローンはシステムドライブ、Cドライブに割り当てられたものを使用したのですが、それを接続して起動したのがこちら。なんのエラーも出ずにスパッと起動してくれました。ドライブ状態を確認すると、クローン元SSDのパーティションサイズそのままにクローンされ、クローン元より大きかったSATA SSDでは未割り当て領域が発生。「クローン元のほうが小さいなら当然余った部分は未割り当てだろう」と予測していましたがその通りになりました。
起動後にいくつか操作を行いましたが、エラー等は発生せず、クローン機能はしっかりしているようです。
ちなみに、この後で逆手順、つまり「960GBのSSDをクローン元に、500GBのM.2SSDをクローン先に」という設定を試しましたが、こちらはクローンが始まる前の時点で弾かれました。青色LEDが交互点滅し、クローン処理に進まないようになっているようです。この点に関して、メーカーとしても「クローン先ドライブはクローン元より大きなサイズで」と注意書きされている事もあり、何らかの方法でゴリ押しするような事がなければ(実際の手法が思いつきませんが……)不意のデータ損失などは防ぐことが出来るようです。
外付けデバイスとしての機能:地味に転送速度が速く、2台同時使用も可能
さて、ここまではクローンモードを紹介してきましたが、もう一つの使い方として「PCと接続して外付けデバイス化」の内容に入ります。
クローン時と同じようにデバイスを取り付けた状態で、本製品にあるUSB-Cポートを使ってPCと接続。エラー等が発生しなければ、この時点でリムーバブルデバイスとして認識されます。前述の通り、この時はUSB-C側から給電が無いため、ACアダプタを使用する事になります。
どの程度速度が出るかと思ってテストした結果が本項冒頭の画像。リード・ライトとも980MB/s台となっていますが、本製品の対応状況、使用したUSBポートの仕様がどちらもUSB3.2Gen2(10Gbps、1250MB/s)という環境ゆえの数値。1000MB/sを超えなかったのは惜しいものの、数値としてはかなり優秀に見えます。ちなみにこの時テストで使ったのは、KIOXIAの最大リード7300MB/sの製品。フルスピードが出ないとはいえ、USB-A端子も使えるデバイスとしては充分な性能です。
本製品は都合2台のデバイスを同時に取り付ける事が出来る為、その状態でPCと接続したらどうなるだろうか? と試した結果がこちら。結論から言ってしまえば2台それぞれが別ドライブとして同時に認識されます。転送速度が遅くなる等は見られず、本製品単体のバックアップ以外にも、ドライブ内のデータを参照したりする際には便利な機能です。
なお、デバイスの装着が不十分(完全に接続されていない等)な時にPCへ接続すると、ディスクエラーが発生し、該当ドライブが認識されない、あるいは認識されても途中で切断してしまうという現象がありました。SSDをしっかりと装着した状態から、Windows標準で勧めてくるディスクエラーチェックを走らせた上で再接続すると、エラーや不安定な動作は消えたので、この点は改めてチェックをしてから使用すると良いかと思います。
SATA SSDからM.2へ「再インストールせず、まずは移行したい」といった用途にも対応可能、ACアダプタ駆動が惜しいところか
そんなわけで、今回は 株式会社タイムリーさんより提供頂いたドライブクローンキットの紹介でした。
率直な話、最初に製品仕様を確認した時には「双方向とはいえ、ユーザ側としてはSATA→M.2が圧倒的じゃないかな」と考えたりもしたのですが、いざ使ってみると「M.2側のデータを一時的にSATA側に退避させる」といったメンテナンス、あるいはレスキューでも使用可能、リムーバブルデバイスとしてもイケるという事で、なかなか良い感じだなといった印象です。「友人知人、職場等で『PCなおしてー』と呼び出される事が多い」といった便利屋さんも、本製品は持っておいて損は無いでしょう。そのくらいにはメンテナンスやレスキューに向いた製品です。
Groovyブランドは本製品のような「使える時はすげぇ便利」みたいな製品が多く出ており、本製品はちょっと値がはるものの、だいたいはお手頃ラインでのラインナップだったりするので、本製品も含め、PCメンテを普段からご自身で行っている方は検討してみるのもよいかもしれません。