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逆噴射小説大賞2022。ワシも投稿デキタヨ&ピックアップ(10/26時点)

今年の8月9月あたりはアレコレありすぎてタイム&パワーがピコンピコン赤点滅して……皆勤賞の逆噴射小説大賞に参加できないかも……みんながドンパチやってる荒野の決闘場……そのヨコを通り過ぎるときにワシは……マブシイ彼/彼女たちを見て小さく溜息をつき……などと覚悟していましたが、なんやかんや2作品、投稿できました。

●1作目:魔道
●2作目:
ジオラマの境界線

なんでこの内容にした、とか、こういうこと意識した、苦労した、みたいなハナシは横っちょに置いといて……他の人の作品で、いいな、これ好きだなぁ、ゴイスーだなぁ、と強く記憶にのこったものを勝手にピックアップしたいと思います。

※注)
これは大賞予想云々ではありません。
個人的に「好きだな」と思ったものや、「こういう物語を発想できるっていいなぁすげぇなあ」と憧れたもの、「文章がスルスルと頭に入ってきて滑らかに絵が浮かびまくるフデチカラがSUTEKI」など、ワシの嗜好と志向にブスリと刺さったものを選んで(さらに絞り込んで、絞り込んでも21あった……)おりますんで、これ最終選考行きじゃね……? みたいなワザマエ作品がピックアップから漏れていたりもします。


1.罪喰らうけだもの

毎年、逆噴射祭りスタートと同時にぶっこんでくる作品はパンチ力が高い傾向にありあり、なかでもこの作品にヤバミを感じた。
第1回から常連のしゅげんじゃさん、これまでの作風と少し違う印象だけれど、そこがまた(ワシが勝手に思い描く)パルプ小説の方向性に近く、個人的にストライク。食べ応えのある文章……芸術家である友人の死(と遺作)の異常さ……主人公が「罪を喰らう」とは……そしてタンクローリー……特攻燃料爆発ではなく樹脂ときたか……!などなど。この1年の読書(仕事忙しいはずなのにめっちゃ読んでいてスゴイ)や長編執筆などの経験を確実に血肉にしまくっていて脱の帽……ッ!

2.しなやかな不死

ネコネコちゃんの物語、ホンワカではなく、重く、暗く、どこか物悲しい感じも伝わってくるので、あと4人やらねばならんこの先のミチノリが決して楽なアレじゃないことを想像させ……ワシ心配……! このネコちゃんは何者なのか、なぜFU-SHIなのか、飼い主との関係は、など物語の全体像が気になり、続きが読みたくなる。

3.「DISARM」

撃つも斬るも唱えるもケルナグールもあたりまえの逆噴射小説大賞に、ありそうでなかった(はず)のオーバー・ザ・トップ・パルプだもんで、スタローンもニッコリ(するはず)。ストイックで肝の据わった主人公だと一発で伝わってくるし、肝心のアームレスリング部分も短文のなかでキレがあって一瞬の勝負感がステキ。銃を握りつぶしたのはびっくらこいたけど、そんな化物が挑む協会とは……裏試合とは……どんなものなのか気になってしかたがない。

4.「おうちはどこなの」と少女は問うた

主人公(小6)の「フフフン私は~」感が、(ちょっと鼻につくというか、面倒くさい子かもしれん……)などと、ダイのダイオトナであるワシが思ってしまった時点で、ワシの負けでありますし、その後、主人公(小6)が一瞬にして大ピンチになった瞬間、(大丈夫かな、チビッコがこんな状況に陥ったら……夢野さんだから夢の中だといいね……)などと、心配してしまった時点で、ワシの2度目の負けでなのであります。キャラ立てや転換による物語への引き込みが上手いなあ……と。

5.百刃封じ [Forge a hundred blades]

大好物のジャンル。タイトルも好き。当たりアニメの第1話の冒頭みたいなテンポとパワー、まったく違和感なくするすると頭に入ってくる構成と文章力がゴイスーで、”筆がノッてる感” がBIN-BINに伝わってきた。連載が宣言され、すでに冒頭800字+αバージョンも公開されているのがすごい。若い女性のバディものだけど、このさき武骨なジジイや悪辣なババアもでてきたらいいな……(個人の勝手な願望です)

6.ジャヤバヤの使徒

2021に奨励賞を勝ち取った電楽サンの1発目は、ジャヤバヤ王にまつわる? インドネシアパルプ! 冒頭、アリが蟻のことだと一瞬思ってしまったのはワシだけ……ですすみません。最初から最後まで(ヤバイ状況なんじゃないですかこれヤバイですよね)という不穏な場面、心臓をアレする行為、ほか計算されて散りばめられた動作やキーワードやで正面からガチっと作り込まれていて、おそらく800文字の先もヤバさが堪能できるんだろうなという安心感と期待がありまくり。ちなみにこういうときのチンパンジーってワシ、ゾワゾワするんですよね……。電楽さんはタイトルセンスも画像センスもすごくてソンケイ。

7.石川ダイナマイト!

選考の突破力でいえば1発目『吾輩は擬態猫である。仇はまだ見つからない。』の方が強いのかもですが、ワシはダイナマイトが大好き。勢いがハンパないし、思わずツッコミたくなるポイント(センスの塊……台詞や描写)がありまくりで、読んでいてワクワクニヤニヤするし、この勢いの続きも気になる。もし何人かでこの800字を語ったら確実に盛り上がること間違いなし。

8.蒼穹は孤独に通じ、

海の上パルプ、船パルプは過去にもいくつかあったように思うけれども、本作の自然な冒頭や、船団のスケールの大きさ、主人公と爺のキャラや立ち位置などなど、ワシ的にグッと心を掴まれる本作特有のポイントが多くてSUTEKI……。それに加えて、どんな場面で、何が起きて、誰が喋って、何をしている、がめっちゃ伝わる文章力は、非常に勉強になります……!

9.ほろびん様

つのサンの真骨頂、得意分野の完成度が高まりまくり、キマりまくり。短く切られた文章による独特のリズムが心地よさ、それに、海の彼方から来る ”ぜったい見ちゃダメなヤツ” を迎える場の空気、耐えている人間たちの恐怖、ついに来たヤツらの描写、すべての一体感がありまくり。尋常でないものをカチっとした文章で表現しても、読みづらさ、わかりづらさがぜんぜんない。ゴイスー。

10.でも違うじゃん、偽物じゃん、とあなたは子供みたいに。

ふたりの会話(ひとつの場面)で800字の多くを使っている、という作品は2022もいくつかあったように思うんだけども、この作品はヒト味もフタ味もミ味も違うな……と。短いヒトコトから垣間見える、発言者の性格や背景。ヒトコトに対する”わたし”の自然な心の描写。……などによってふたりと物語のイメージを勝手にパンパンに膨らませたワシは、ラスト数行で勝手に車のエンジンをスタートさせてアクセル踏みまくっていた。あと普通でない九歳児の書き方が真似できない感じでゴイスーでした。

11.人の形のブーケ

土砂降りの日にワシがこの生物を見つけたら、たぶん失禁して(雨でよかった)とか考えつつ見なかったことにしてゴーホームする。
だがこの作品の世界はどこか普通ではないのが自然であって、優しさもあって、この生物がどうしていくのか、主人公たちはどうするのか、違和感なく、シンプルに続きが読みたくなるワザマエに脱帽した。冒頭、肝心要の生物……の描写も、独特かつ丁寧で、引き込む力がゴイスーでした。

12.創造者最期の夜

”俺” に見えているもの、考えていること(いまのこと、昔のこと)、それを表現するための文章や構成がワザマエで、まったく躓くことなくこの世界に入り込めた。ワシは、”俺” のいまの立場、喪失の悲しみや、諦めの感情などを共有してもらいながら、”俺” がまったく想像していなかった出来事に一緒に驚き、わずかな希望に心が動かされ……。このあと、どんな「最後の夜」が待っていて、どんな感情を抱くのか……続きがとても気になる。

12.【デスメタル乳首破壊光線】

ピックアップ記事を書く人のほとんどは、この作品を外さない(外せない)のではないか……。すごいのがきた!とコーフンしながら読んだのはこれがイチバンかも。タイトルは語呂も音感も最高。本文にチョケてる感は一切なく、主人公が完全に真顔でやっていることが明確に伝わって来る。笑ったら消し炭にされるんじゃないか?とこっちが気を引き締めて読まねばならない。ちょっとした一文にもデスメタルを題材にしていることを忘れさせない仕掛けがあり、文章そのものもレベルがチョー高くて、これは上位に食い込んでもまったくおかしくないのでは……と震えた。

13.剣と魔法と義体の世界

忠義にアツイ騎士(義体だ!)と、部下を友と呼んで見捨てぬ真王のコンビ。大好物です。大騒ぎの場面からスタートするも、誰がいて、何が起きているのか、状況はすんなり理解でき、世界のルール的な部分も自然に頭に入ってくるので、ピンチ&アツイ展開をグイグイと楽しめる。こういうシーンをサラっと違和感なく伝える文章力……! なお同じジョンの名を持つ者として、主人公を応援したい。

14.ティターニア

復路鵜さんの文章力はMAJIでスゴく、今回もスゴイので、まず文章を読んでいるだけでウキウキする。本作は主人公(佐々)の内心の表現がワザマエで、(冒頭で知りたい範囲で)どんな男なのかがばっちりインプットされる。状況説明ではない、こういう「人を書く」みたいなのがワシ上手くないんだよな……小説にダイジなのに……勉強になります……と拝みながら読み、少女のアレを知り、こりゃこのあとふたりにはツライ展開が待っていそうだな……と震え、それでも続きが読みたい……という欲求を持った(それだけ気になる絶妙なスタートだったのです)。

15.泥と鯨のワルツ

26日時点で、一番(こりゃあやべぇのが来たな、ワシ、ワクワクすっぞ(ガクガクガク…プルプルプル…))となった一作。居石サンの作品は、毎年ゴイスーな世界観で、発想力とそれを文章にするチカラがスゴイ……とワクワクするんですが、今年のこの一発は、過去最高に自分に刺さりました。800字? と疑うほどギュッと魅力的な物語が詰まっていて、それでも急ぎ足な印象はなく、読み進めるにつれこの独創的な世界の沼にズッポリはまりまくっているワシがいる……。

16.黄色の谷 世界の縁

独特な世界、風景や、そこにいる生き物、など、などを、まったく違和感なくバチンと伝えてしまう、とーまサンの想像力と表現力……! 厳しい境遇の幼い主人公は個人的に好物(変な意味じゃないです)で、感情移入しまくり、そして男との出会いがどう作用していくのか、この男は何者なんだ、ロクはこの先どうなるんだ、と、気になりまくり。この先に物語が続いていく、その冒頭として、すごくいい800字だなぁと思いました。

17.CLASS-KJ

ノリや勢いで勝負のヒーロー/怪獣ものではなく、物語の人物たちがみんな真顔でやっているし、テンポも文章もワザマエでグイグイ進む、そしてKJや、怪獣を育てる輩までいる世界……この先の展開がすごく面白くなりそうだ! とワクワクしまくり。ビヨンドマン(響きがよくて好き)がどう絡んでくるのかも気になる。

18.箱のハコは歯

え? え? と、何度か行ったり来たりしながら読んだ。それがマイナスということではなくて、(どういうものを食べたらこういう作品が出力できるのだろうか……ヤバイもの読んじゃったな……タイトルもやべぇな……)とゾワゾワする感覚が凄すぎて、何度か行ったり来たりしながら読んだのです。正直言うと、前半は個人的に苦手な感じ(恐怖症をくすぐられるような……)で、二度三度読んではいけないと思いながらも、二度三度と読んでしまう……そういう、スゴイ・チカラのある作品でした。ヤマグチどうなるんだろう……。

19.葬斂者 つま先立ちから歩みにて

2022、こういう文章書いてみたい! 憧れる!(でもワシには書けない!)的な作品の筆頭。一文一文がとにかく渋くて、カッコイイ。このジャンルは台詞も描写も硬くなりすぎたり、なんとなく雰囲気はいいけど小説としては読みづらい……ものも世の中にたくさんありそうですが、本作は足腰がガッシリしていて、頭に場面、台詞……絵がバチっと浮かぶ。もちろん登場人物も、小物も魅力的で、続きをこのまま読みたいと強く思った作品。

20.C-Food

ネタも、それを料理する文章力も一級品の、グルメパルプ! 
冒頭、雷鳴エントリーの3、4行だけで、個性的な文章&面白い話になりそうだ、を感じ、期待させてくれた。物語の舞台はどこで、登場人物は誰で、どんな人物で、その関係、(親父の)ヤバい感じ、当面の目的、それぞれが超ワザマエの文章力と構成によって自然に小説として組み立てられていて、ワシは完全に物語の中に没入した。親父はどうしちまったんだ、タコとかイカみたいなアレが果たして何で、このあとのクッキングがどうなっていくのか……あとサムネイルうどんですよね……などなど、めちゃくちゃ気になるし、続きが読みたい。

21.アッシュレインエアー株式会社

準備…会話…いざ出撃! で終わらず、ディッグサンならではの練られたギミックはこの後の展開でも活きて楽しませてくれる予感がBIN-BINに伝わるし、物語の環境の普通じゃないところも「説明臭さ」がまったくないのにプンスカにおってくる……ワシが書けば「ここでこういうことが起きて……日本は……そして俺たちが……」みたいなことまで入れちゃいそうなんだけど、考え抜かれて「無くてもいいこと」がカットされているような気配、それでいて、読者に期待させる部分を残しつつ……てな引き算が絶妙だなぁと勝手にソンケーしている。タイトルも、この物語の先がほんのり伝わってきて、好き。


以上です。
残り数日、ギリギリにぶっこんでくるヤバイ人たちもまだまだいそうなので、楽しみです。

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