見出し画像

感性が呼び起こされる時

子どもの創造性に大人は到底かなわない

少し前に、小学生数人に向けて、写真のワークショップを行った。プロのカメラマンに直接指導を受けられる機会。みんな意欲的に楽んで参加してくれた。

普段遊んでいる場所を、カメラを通して眺めて見る。小学生高学年だとスマホを持ってInstaをやっている子もいるけど、デジカメを日常使いすることはない。最初はカメラの機能やイメージと撮影された写真の違いに戸惑ったり、何をどう撮ればいいのかキョロキョロ、ウロウロしていたが、そのうちみんな撮影に没頭していった。

海での撮影実習。波打ち際で、波がくる瞬間のしぶきを、カメラを低く持って襲ってくる波にぬれそうになりながら、何度も撮影に挑戦する子。海でカヌーやセーリングを楽しむ大人たちを背景に、自分の手をカメラにかざしてその間から、背景の風景を撮ろうとする子。砂浜の砂を上に投げて、落ちる瞬間を撮ろうとする子。砂浜に桜貝で文字を書いてそれを撮ろうとする子。

大人はあざとく、知識がある分、良い写真を撮ろうとすると身構えてしまうが、子どもたちは素直に被写体に向かっていく。

「ねぇ!面白いのが撮れた!」と、初対面の私に嬉しそうに話しかけてくる。楽しい、面白い、不思議。探求する気持ちが創造につながり、それを写真でどんどん具現化していく。

12_撮影実習海⑩

たくみ②

はぐみ①

もん③

かいと③

そら①

あさひ③

*1枚目:当日の様子 2〜7枚目:子どもたちが撮影した写真(掲載に関しては保護者様に同意をいただいております)

物事の切り取り方が学べる写真

広い海岸、海の向こうに広がる景色、足元には多種多様な砂や貝、休日を砂浜で楽しむたくさんの人々。海と一言にいっても、たくさんの情報がそこには散らばっている。その中から、何に注意を向け、どんな情報を選択するのか。選択した情報のどの部分を切り取るのか。それはなぜか。誰になにを伝えたいのか。

写真を撮る行為は、情報編集そのものだ。砂浜の砂や貝が混ざり合っているところをズームして撮れば、その近くで親子でビーチバレーを楽しんでいる人がいることはわからない。快晴の天気、水面に反射する美しい光とその隣を漕ぐカヌー。それらを引いて写真を撮れば、足元に誰かが忘れた水筒が海から流れ着いて落ちていることは伝わらない。

それぞれの子どもたちの写真には、無意識であっても、何らか情報編集の意図があり、その結果の写真には、その子らしさや、その子にしか表現出来ないものが写りこんでいる。それを取り出し、言語化して子どもたちに伝えることが、コドモタイムの役割なんだと思う。

講師であるカメラマンが、撮影した写真を1人1人と振り返るフォトレビューの時間に子どもたちに優しく語りかけていた。

「これ、どうやったら、ここがもっと際立つと思う?」「これいいねぇ。どうしてこれ撮ったの?」「どの写真を選ぶ?これがいい?そうだね。これにしようね」「こういうときは、どう撮ったらいいかわかる?」「少し光の加減を調整すると、ほら、良くなった」

撮影した写真に対して大人が評価を与えるのではなく、子どもたちと対話し、子どもたちの言葉を受容し、不足があっても否定せず可能性として手渡す。そんなカメラマンの言葉を、子どもたちは真剣な表情で聞いていた。


コドモタイムのプログラム

コドモタイムの学習プログラムでは、子どもたちは記者として様々な社会体験を通じて学んでいく。

Webメディアというネット媒体の新聞の記者として活動するために必要な能力。例えば、文章を書いたり、写真を撮ったり、デザインをしたり、動画を編集したり。そうしたスキルを学ぶ場がコドモタイムであり、その学びの先に、実際の大人が働く現場への取材活動がある。

4月からの教室では、まず、「写真記者コース」を開講する。新聞社に所属する写真記者は以下のような仕事だ。

「災害や事件・事故の現場から、政治、経済、文化、スポーツ、芸能まで、新聞に掲載されるあらゆるジャンルの写真を撮り、撮影のための事前取材を行い、グラフ紙面などの記事も書くことがある」(読売新聞社採用サイト引用 https://saiyou.yomiuri.co.jp/interview12.html)

教室では、写真の実践的な授業だけではなく、文章の書き方やインタビューの仕方についても学ぶ。

記事を作るという、創作過程を体験することで、創作過程を体験することで、もっと知りたい、もっと○○したい!という意欲がわくのではないか。新発見、気づき、感動、刺激。

普段眠っている感性が呼び起こされる、そんな機会をコドモタイムで作り出していきたいと考えている。


今日の起業ものがたりはここまで。

つづく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?