子どもの居場所★にぬふぁぶし(那覇市)
沖縄県でも子ども食堂は増えましたが、学習支援を行っているところはまだまだ少ないと感じます。
今回は、沖縄県那覇市で学習支援も行っている、子どもの居場所「にぬふぁぶし」を運営する上地さんと、居場所をサポートする方々にお話を伺いました。
にぬふぁぶしプロフィール
団体名:子どもの居場所 にぬふぁぶし
代表:上地京子さん
所在地:沖縄県那覇市泊3-12-14
運営経験:コロナ禍あと〜3年目
対象者:小学生〜高校生まで
活動日時:毎週金曜日 17:00〜19:30
活動内容:食事提供・生活指導・学習支援・ひとり親家庭の支援
活動をはじめたきっかけ
上地さんが「子ども食堂 にぬふぁぶし」をはじめたのは、コロナ禍のあと。
最初は、他の居場所でお弁当配布などを手伝っていましたが、子ども達と接することができないということで、昼間は食堂をしている「うちなぁ家」の場所を使って、3年前に会食スタイルの子ども食堂をスタートしました。
「にぬふぁぶし」とは、沖縄の方言で「北極星」のこと。
世界中どこにいても、輝く北極星を目印に進むことができるようにという願いが込められています。
大切にしていること
にぬふぁぶしでは、17時から子ども達を受け入れます。
「ばぁちゃん、ただいまぁ!」と入っている子たちを「おかえりなさい!」と笑顔で迎える上地さん。
「まずは手を洗って、宿題をしようね」
「畳に上がるときは、脱いだ靴は揃えてね」
次々と入ってくる子ども達に、優しく声をかけます。
「今は核家族やひとり親家庭、共働きの家庭も多く、親も子も忙しい日々を送っている。一般家庭で行うようなしつけが身についてない子もいるので、にぬふぁぶしでは、基本的なしつけも大切にしています」
ばぁちゃんと呼ばれる上地さん。
異学年のメンバーと自然に交流する子ども達。
まるで親戚のおばぁの家に遊びに来たような感覚で過ごしています。
お子さんの様子を見ながらお話を伺っていたところ、パティシエを目指すお子さんがカットしたフルーツを差し入れてくれました。
上地さんの娘さんやお孫さんも、提供する食事の支度を手伝っています。
それぞれができることをして、にぬふぁぶしを支えているのを感じました。
「しつけも大事、学ぶことはもっと大事。子ども達のできるところを褒め、成せばなることを伝えたい」
子ども達をあたたかい目で見守りながらそう話す上地さん。
宿題や勉強を終えた子は、おやつや食事をいただきます。
にぬふぁぶしでは、挨拶や礼儀も大切にしています。
食事の前には「くわっちーさびら」、お礼の言葉「にふぇーでーびる」など、ウチナーグチの挨拶も積極的に取り入れています。
利用のルール
にぬふぁぶしのサポートをしている、琉球大学の学生ボランティア・與儀さんに居場所のルールを教えていただきました。
にぬふぁぶしに来たら、まず挨拶。
手を洗って宿題や勉強を済ませたら、自由時間。
食事の用意が整うまで、にぬふぁぶしのすぐ隣にある公園で遊ぶこともあります。
スマホでゲームをしたら止まらないし言うことを聞かなくなるので、一応持ち込み禁止のルールになっています。
そして、子ども達の安全のため、にぬふぁぶしを利用するときには保護者の方に利用登録書を記入してもらっています。
お伺いした日は、15名のお子さんが利用していましたが、多いときにはお店がいっぱいになる30名くらい集まることもあるそうです。
お互いが快適に過ごすためにも、利用のルールは必要だと感じました。
困りごと
利用するお子さんが、言うことを聞かないときに困るなぁと感じるそうです。
「ご飯前の片付けをしてね!」といっても、散らかしっぱなしで食事を取りにいちゃう子や、食事の前に終わらせるはずの勉強をまったくしない子など。
また、禁止されている行動(スマホゲームなど)をし続けたり、悪ふざけがすぎてやめるように伝えても改善しない子の中には、出禁となったお子さんもいるそうです。
子ども食堂として提供する食材に関しては、那覇市社協やランチサポートなどから物資提供を受けているので、食事に関しては困りごとはないそうです。
一番必要としているのは、学習支援をしてくれるボランティアさん。
近くの高校や大学のボランティアセンターなどにも募集を出しているそうですが、無償だとなかなか集まらないし、かといって有償ボランティアを募集するのは予算が厳しい。
「任意団体だと助成金の申請も通りにくいが、子どもの居場所を維持するために、費用と人材の確保が課題」とお話されていました。
地域との交流
取材中に、にぬふぁぶし近くにある、団地の自治会長さんの訪問があり、お話を伺いました。
団地の子も通ってきているので、子ども達の様子を見に、時々来ている。
小学校の学区が違う子も多く、団地の公園で遊ぶ子どもも少なくなっているが、にぬふぁぶしでは団地の子ども達も集まりやすい。
団地でも少子高齢化が顕著で、75歳以上の高齢者は増えるけれど、子どもは少なくなっている。
コロナ禍前は、自治会で敬老会と子ども会も一緒にカラオケ大会などもする大きな祭りを行っていたが、今はなくなった。
今年は中学生以下の子ども祭りを開催して、花火大会や抽選会などを行い、にぬふぁぶしの子達も参加していた。
にぬふぁぶしは地域に必要とされるコミュニティとなっている。
(自治会長の安座間さん、貴重なお話をありがとうございました!)
磨けば光る子ども達
再び、上地さんに話を伺いました。
沖縄には貧困問題があります。貧困からの脱出するにはキャリアが必要で、それには学ぶことが不可欠だと思う。
なぁなぁな教育だと……基礎力がつかない子がいる。小学生の内容も身についていないのに、中学になって数学など追いつけるわけがない。
夢に向かって動こうにも学力がないので、諦めてしまう。
子どもは原石、磨けば光る。
そのきっかけを作ることが大切。
うちなーんちゅは発想力が豊富。
子ども達を引っ張ってくれる人との関わりを持ちたいと考えています。
「まくぅとぅそーけーなんくるないさー」
自分の将来を信じてがんばることが大切だと、子どもに伝える場にしたい。
未来を担う子ども達の教育に、手を差し伸べてくれる人が必要です。
ボランティア募集中
にぬふぁぶしは、毎週金曜日の17:00〜19:30に活動しています。
学生さんから社会人まで、子ども達と関わる方や学習サポートをしてくださる方を募集中です。
今は核家族化・少子高齢化が進み、子ども達が年配の方のお話を聞く機会が少なくなっています。
「自分にはお金も学歴もない」と言う方でも「経験」はお持ちだと思います。
未来を担う子ども達に、あなたの持つ経験や知恵をシェアしませんか?
ボランティア希望の方は、下記までご連絡ください。
上地さんとご家族の皆さん、にぬふぁぶしのサポーターさんとお子さん達、お忙しい中ありがとうございました!
これからの「子どもの居場所・にぬふぁぶし」の活動も、琉球のタネ一同、応援しております。