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年齢に関わらず学び続ける、糸洲さんの姿勢に感銘

年齢に関係なく、興味を持ったことには、いつでも学ぶことはできますが、実践される方はそう多くはありません。
「70代で定時制高校に通っている方がいる」とお聞きして、「お話を伺いたい!」と、弊社代表と一緒に取材をしてきました。


プロフィール

糸洲朝光さん(撮影:新オフィス 新垣孝和

糸洲朝光さん(満71歳)、古宇利島出身
沖縄県立那覇工業高校 定時制2年生
沖縄で生まれ、10代を神奈川で過ごし、22歳で沖縄にUターン。

糸洲さんが高校に在籍するのは3校目です。
高校は、科が違えば何度でも入学できると教えていただきました。

1校目:川崎の定時制高校で普通科(4年生で退学)
2校目:沖縄県立北部農林高等学校の定時制(26歳で卒業)
3校目:沖縄県立那覇工業高等学校(69歳で入学)

※2校目の北部農林高校を卒業後、琉球大学の農学部に進学。
  

糸洲さんの経歴

糸洲さんは15歳のころ、銀座でカメラ修理の仕事をしていました。
1万円が30ドル、1000ドルで家が建つ時代に「銀塩カメラの時代は先がない」と感じていたそうです。

16歳から一人暮らしをはじめた糸洲さん。
働きながら川崎の定時制高校に通っていましたが「本気で勉強したくなったとき、高校卒業は妨げになる」と思い、4年生の3学期に退学しました。

糸洲さんは「都会ではお金はあってもコミュニティがない」と感じ、22歳のとき単身で沖縄に戻ってきます。
その後、沖縄県立北部農林高校定時制の2年次に編入学し、高校卒業後は琉球大学の農学部に進学、アルバイトをしながら学業に励んだそうです。

大学卒業後は、太陽の花(沖縄県花卉園芸農業協同組合)に就職をした糸洲さん。
沖縄中をまわり花卉に関わる仕事は充実していましたが、32歳の時に結婚し、子どもが生まれ上の子が幼稚園に通うタイミングで退職することを決めます。

当時の幼稚園は午前中のみの開園で、フルタイムで働く人には厳しい状況。保育士の奥さんの仕事を優先にしたいと、糸洲さんは子どもを見ながらできる仕事に切り替えたのです。
イクメンの最先端である糸洲さんは、5人のお子さんを育てながら、区長など地域の活動やPTA会長などにも注力し、与那原町の議員として5期(約19年)も務めました。
 

高校入学の目的

子育てが落ち着き、仕事をしようとハローワークへ行った糸洲さんは、資格や技術がないと良い仕事に就けないことを実感します。
お子さんにも「大学を卒業して資格がない人と、短大でも保育士など資格を持つ人では、給料にも活躍できる場にも違いがある」と伝えたそうです。

建築現場で働くようになった糸洲さんは、電気工事士の資格が取りたいと考え、那覇工業高校の定時制に入学することを決めます。
受験をしようと那覇工業に連絡をした際、69歳の入学希望者の受け入れに関して先生方も戸惑い話し合いを重ねたそうです。

無事、数十年ぶりに高校生となった糸洲さんは、仕事を終えた後、那覇工業高校へ登校します。
定時制は授業の前に給食がありますが、それも高校生活の楽しみのひとつになっているそうです。

工業高校ではさまざまな資格が取れますが、糸洲さんは第2種電気工事士・ボイラー技士・溶接などの資格試験にチャレンジをしたいと、平均10代の生徒と一緒に学んでいます。
そんな糸洲さんの姿に、同級生も刺激を受けているそうです。
 

賞状を持つ糸洲さん


 

学業も陸上も

「70代の高校生」というだけでも十分にスゴイと思いますが、糸洲さんは陸上部にも所属しています。
若いころにも陸上をやっていたそうで、「2024年、もう一つのインターハイにも出場した」とお聞きし、とても驚きました。

出場した大会では、ほとんどが10代の選手。
そんな中、70代の糸洲さんは最年長選手で、800mと1500mの競技に出場し、見事完走しました。
 

令和5年度・全国定時制通信制体育大会で理事長賞を受賞


生活体験発表

定時制高校で行われた昨年の生活体験発表で、糸洲さんが発表した作文をシェアいただいたので、ご紹介します。
 


生きがいや進路を考え中の方へ

糸洲さんより、生きがいを模索する高齢者や、進路を考え中の学生へ向けてメッセージをいただきました。

戦時中に学べなかった年寄りが、夜間中学校へ通うことに注目を浴びているが、定時制高校に通うことをオススメしたい。

年寄りの中だけでなく、若い人と交流しながら強制的に学ぶことができ、生きがいにもつながると思う。

最近は通信制高校が人気のようだが、自分で勉強して卒業するのは難しい。
人と関わりながら学べる定時制高校は、良い環境だと思う。

とにかく挑戦すること。
「できるかな?」と頭で考えるだけではなく、「こうなりたい!」というものがあったら、調べて動くことだ。 

糸洲さんよりメッセージ


以上、70代の高校生、糸洲さんにお話を伺いました。

とてもパワフルな糸洲さんは、昼間は建築現場での仕事、夜は勉強と陸上、そして奥さんの介護サポートも行いながら、資格取得にも励んでいます。

いくつになっても向上心を持ち、目標に向かって動く糸洲さんに感銘を受けました。
私も「できるかな?」と臆せず、やりたいことに取り組んでいきたいと思います。

糸洲さん、素敵なお話をありがとうございました!
今後のご活躍もお祈り申し上げます。
 


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