記憶はどう処理されて固定化する?
先日、ベビーバスからメッシュタイプのバスチェアーに変えました。
シャワーを背中からもババーっと掛けられるのでアワアワ石鹸で体や頭を洗っても洗い流すの楽だなぁと…しかし結果は惨敗。シャワーが怖かったのか、バスチェアーが気持ち悪かったのか、ギャン泣きして暴れて大変でした(-_-;)
翌日、お風呂場でシャワーを出すだけで緊張して顔も体がこわばりました。昨日のシャワーの怖さを覚えているのか…ということで、今回は記憶のメカニズムについて調べたので書きたいと思います。
1. 記憶は段階処理で固定化されていく
短期記憶:
保持期間は数十秒程度。一度に保持される情報容量にも限界があります。新規に記憶できる情報容量は情報単位で3〜5(マジカルナンバー4±1)。
例えば09098761234という数列あったとして、1つ1つ数字を覚えようとすると11単位となり難しいですが、090-9876-1234とハイフンで区切って3単位に情報を圧縮すれば私達は覚えやすくなります。なお、日常的なことに限定すれば記憶容量は少し増え情報単位5〜9になるそうです(マジカルナンバー7±2)。より詳しく知りたい方はリンク先の英語論文をご参考ください。英語が難しい方はグーグル翻訳等につっこんでみてください。
長期記憶:
短期記憶からその一部が長期記憶へ移行されます。数分から一生にわたって保持され、記憶容量に制限はありません。記憶が安定して固定化されると年単位にわたって覚えていられます。
2. 行動はすべて前頭前野から始まり、記憶の固定化は海馬で判断される
前頭前野(前頭葉の前方部分)は最も新しい脳領域で、20歳頃まで成熟するため完成までに時間がかかります。主に抽象的な思考や作業に必要な集中力、短期記憶のためのワーキングメモリとしての役割があります。
また、精神制御の役割もあり、衝動的な思考や行動を抑制しています。前頭前野が正常に働くことで僕たちは計画や判断、意思決定、洞察、想起などができるわけで、この前頭前野が未発達で段階である幼子は本能や欲望にブレーキをかけられず行動してしまうと思われます。
赤ちゃんが反射ではない主体的な行動をしだすと前頭前野が活性化し、その情報を大脳辺緑系である海馬が受け取り、長期的記憶として残すかどうか判断されていきます。
3. 記憶は情動と連動、快・不快の処理はルートが異なる
海馬や扁桃体がある大脳辺縁系は古い脳領域で、前頭前野からの刺激で海馬では記憶が、扁桃体では情動や情動記憶が扱われています(上図の水色、紫色部分)。扁桃体は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、内臓感覚や体性感覚など外的な刺激を嗅球や脳幹から直接的に受けており、恐怖や不安と言った不快感情と関連性が強いとされています。
また扁桃体で沸き起こった情動情報は視床下部(上図中心の薄黄色部分)にくだり、自律神経系や内分泌系や免疫系に作用して、疼痛、ストレス反応、不安反応や恐怖反応といったさまざまな身体症状へとつながっていきます。こちらも興味深いですが、お腹いっぱいなので今回はおいておきますね(苦笑
なお、扁桃体は不快感情だけでなく、報酬系システム(快感や満足感の処理)にも関与しており、扁桃体や視床下部を経由した情動の刺激①や中脳の腹側被蓋野を経由した快感や満足感を引き起こす刺激②が側坐核でドーパミンの放出を促し、脳内に心地良い感情が生じさせているそうです。
・・・覚えることが多くて混乱しますね。脳の神経系の繋がりや刺激によって分泌される脳内物質など複雑。より詳しく知りたい方は日本神経科学学会監修の脳科学辞典をご参考ください。
4. 記憶固定化のメカニズム
記憶固定化の判断は海馬で行われると上述しましたが、具体的に細胞レベルでは記憶固定化にともないタンパク質が合成されているそうです。記憶の消去や再固定化については非常に難しいですが、面白いので脳科学辞典 記憶固定化を是非読んでみてください!
参照:脳科学辞典 記憶固定化より一部抜粋
記憶は、学習時に一部の細胞が活性化し、細胞内の分子機構のスイッチがオンになることで遺伝子発現やタンパク質合成を誘導することで短期記憶から長期記憶へと質を変える(固定化)。長期記憶は、想起にともない不安定化と再固定化を経ることで強化されると考えられている。
5. 今後の実験について
記憶固定化が起こりやすいのは快刺激なのか不快/恐怖刺激なのか・・・情動を伴う出来事のほうが記憶されやすいらしいのですが、それ以上は情報をうまく探せませんでした。そこらへんのメカニズムを大まかに抑えてから観察をしたかったのですが、挫折しそうなので今回はいったんおいておこうと思います(苦笑
さて、次回のnoteでは実験ではなく、この1ヶ月間であった赤ちゃんの長期記憶に関するエピソードを書き、それに対してあれこれ考察をしたいと思います。