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読み聞かせあるある質問 Q:淡々と読む方がいいんですか?
お家の読み聞かせと、わたしたちが公の場で読み聞かせるのはちょっと違います。読むことには変わりませんが、我が子に読むのと、いろんな子どもたちに読むのでは、選ぶ絵本や、絵本の見せ方も違います。今回は家での読み聞かせについて、よくある質問をまとめることにします。
質問 淡々と読む方がいいんですか?
講座でよく聞かれるのですが、「どこかで淡々と読んでください、と言われたので、淡々と読んでいます。でもそれでいいんでしょうか。」
”淡々”の意味を調べてみる
まず”淡々”について辞書で調べてみました。
①あっさりとしたさま。執着のないさま。淡泊なさま。「ーと語る」②水の静かに動くさま。
①感じがあっさりしたようす。「-とした色調」②ものごとにこだわらないようす。「-と(して)語る」
読み比べてみると見坊先生が編者として連ねている『三省堂国語辞典七』がいちばんしっくりきます。
この①で使われている”あっさり”
①あまみ・脂肪(シボウ)などが少なくて、しつこい味がしないようす。「-した味」②あまりこだわらないで決めるようす。「-許す」③手間がかからないようす「-勝った」
次に②の”こだわる”
①そればかりを(いつまでも)気にする。「おかねにー」②[自分なりに]こまかいことがらについて主張をおし通す。自分の好みを追求する。「ビールは銘柄(メイガラ)にー」
ここで、広辞苑で出てきた執着と淡泊も引いてみましょう。
執着 強く心がひかれて、はなれられないこと。しゅうじゃく。「おかねにーする」
淡泊 ①味などがうすくて、特別の刺激(シゲキ)がないようす。「-な味」(⇔濃厚(ノウコウ))②欲が少なくて、こだわらないようす。「-な人がら」
調べてみて読み聞かせにおいての”淡々とは”
これらをまとめると、自分の好みに執着せず、こだわりの主張を押し通すような読みではなく、”あっさり”と読む。ということになります。
淡々と読むと言われて、これまでの質問者の多くは「抑揚を大袈裟につけず、強弱もなく、ただ淡々と読んでいます」と答えていました。
でも、この淡々というのは、表情乏しく、表現もなく、抑揚もなしで読むという意味ではありません。その本が描かれている空気感というものがそれぞれにあるので、その本の持ち味をそのまま、個人的な主観ではなく、その本のありのままでよいのでは、という”淡々”だと受け止めて、わたしは普通に感じるままに読んでくださいと伝えています。
ただし、怖い本だからと言って、怖く良む必要もないし、陽気だからといって、テンションあげなくてもいい。悲しいからといって、わざわざ泣きそうな声で読まなくもいいです。そういうのは必要なく”淡々”と読んでください。という意味で多くの方はお答えしているのではないでしょうか。
淡々だからと能面のように読むのも変ですし、そもそも淡々=無表情でもありません。淡泊の意味の”欲がなくて、こだわらない様子”が一番わかりやすいのでは。
お家の読んであげると、公での読み聞かせはまた別の話
今回はあくまでもお家で読んであげる場合でお答えしていますが、公の読み聞かせも同じ、派手なリアクションやトーンダウンやお涙頂戴の読み方もいりません。ただ家の場合、お父さん、お母さんの持ち味というものもあります。どの本でもオーバーリアクションで読むと、それはそれで、「うちのおかあちゃんやおとうちゃんの読み方おもろいねん」となりますが、せっかくのストーリーは入っていかないかも、と考えるともったいないですね。
例えば、お母さんは普通だけど、お父さんはいっつも大袈裟に読む、これはこれでその家族の形でよいのではないでしょうか。まるで、スーパーに行くと、お母さんは絶対お菓子は滅多に買わないけど、お父さんはいっつも買ってくれるみたいな、それに似てると思います。(笑)
結論 いつまでも読んであげたいのであれば・・・
大好きなお母さんやお父さんが読んでくれてるのだから、子どもはいつでも楽しんでくれます。ただ小さいうちはいいですが、年齢があがって”聴く”ことの喜びを知りだすと、聴くことに集中できない読みは、もういい、ってなるかもしれませんねぇ。
結局はなんでも”ほどほど”が良いと思います。
でもね、読んであげる時間を作ってあげてることが、なによりも財産だと思います。これからも読む時間作ってあげてくださいね。損することはなにもなくて、得することばかりが未来に待っていますよ。