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江戸川乱歩賞受賞作『遊廓島心中譚』『小説 ドキドキ!プリキュア』『書くなる我ら』など、2024年10月「ダ・ヴィンチWeb」記事まとめ

本記事では10月にダ・ヴィンチWebにて紹介された講談社作品関連の記事をまとめました。


【レビュー】 『遊廓島心中譚』

幕末に存在した遊廓島を舞台にした、切ない愛のミステリー。江戸川乱歩賞受賞作『遊廓島心中譚』の魅力をレビュー

 名だたるミステリー作家を輩出してきた「江戸川乱歩賞」が、今年、70周年を迎えた。過去には「受賞作なし」の年もあったが、今年の受賞者としてスポットライトを浴びたのはふたりの新人作家だ。ひとりは筋トレとミステリーを掛け合わせた異色の作風ですでに話題を集めている『フェイク・マッスル』の日野瑛太郎さん。

 そして、もうひとりは、10月23日に受賞作である『遊廓島心中譚』(ゆうかくじましんじゅうがたり)でデビューした霜月 流(しもつき りゅう)さんだ。本作を巡っては選考会でもさまざまな意見が飛び交ったという。あの有栖川有栖さん曰く、「候補作中、この作品が最も大きな小説になりたがっているように感じた。できるだけ大きくして読者に届けていただきたい」とのこと。この言葉だけで読む前からワクワクしてたまらない。一体どんな作品なのだろうか――。

文=イガラシダイ 出典:ダ・ヴィンチweb

【 激論4時間半!! 】レジェンド選考委員たちが選考会で最も議論を尽くした作品!
孤島となった遊郭で明かされる遊女連続変死事件の謎。
犯人は愛人か、憎悪か!?

■ 内容紹介 ■
幕末日本。幼いころから綺麗な石にしか興味のない町娘・伊佐のもとへ、父・繁蔵の訃報が伝えられた。さらに真面目一筋だった木挽き職人の父の遺骸には、横浜・港崎遊廓(通称:遊廓島)の遊女屋・岩亀楼と、そこの遊女と思しき「潮騒」という名の書かれた鑑札が添えられ、挙げ句、父には攘夷派の強盗に与した上に町娘を殺した容疑がかけられていた。伊佐は父の無実と死の真相を確かめるべく、かつての父の弟子・幸正の斡旋で、外国人の妾となって遊廓島に乗り込む。そこで出会ったのは、「遊女殺し」の異名を持つ英国海軍の将校・メイソン。初めはメイソンを恐れていた伊佐だったが、彼の宝石のように美しい目と実直な人柄に惹かれていく。伊佐はメイソンの力を借りながら、次第に事件の真相に近づいていくが……。

■選考委員の選評■

< 綾辻行人 >終盤に至ってすこぶる本格ミステリ的なクライマックスが待ち受けている。この展開には驚いた。
< 有栖川有栖 >ミステリでしか描けない夢想とも言える物語だろう。
< 真保裕一 >読み進めると、構想のスケールが実に大きく、魅力を感じた。
< 辻村深月 >私たちから言葉を引き出す魅力を十分に持った志の大きい作品。
< 貫井徳郎 >一番の高評価でした。
< 東野圭吾 >選考会の議論が楽しかったのは、秘めた魅力に惹かれたからだろう。
< 湊かなえ >骨太な本格ミステリに挑んでおり、読みごたえがありました。

『遊廓島心中譚』霜月 流

後半を迎えたところで、本作はミステリー小説としての牙を剥く。一見、なんの関係もないと思われる「遊女殺しの噂」や「心中箱」などのギミックがひとつにつながっていき、非常に壮大な計画が明かされるのだ。まさかの展開に、「やはり江戸川乱歩賞受賞作だ‥‥‥」と息を呑んだ。

 文=イガラシダイ 出典:ダ・ヴィンチweb

【レビュー】 『小説  ドキドキ!プリキュア』

『小説 ドキドキ!プリキュア』は実質2期!? 『ドキプリ』と「小説 プリキュア」シリーズの歴史を確認せよ!(全3回)

■「プリキュア」ガチファンによる
全3回、10000字超えのアツいレビュー!!■
その一部をご覧ください!

 2024年9月17日、待望の小説プリキュアシリーズ第7弾・『小説 ドキドキ!プリキュア』がついに発売を迎えた。
 著者は『ドキドキ!プリキュア』でシリーズ構成およびメイン脚本を務めた脚本家の山口亮太氏。そして表紙・本文イラストは同作でキャラクターデザインを務めたアニメーターの高橋晃氏。すなわち、お二方ともそれぞれ『ドキプリ』生みの親のひとりである。
 しかも、描かれるのは『ドキプリ』TVシリーズ最終回の「その後」である。こんなの実質2期でしょ!! 俺たちの『ドキプリ』が、また始まった!!
『ドキドキ!プリキュア』ってどんな作品?
 今や説明不要の国民的アニメ、「プリキュア」シリーズ。女児向けアニメとしてスタートし、広く老若男女に受け入れられてきた作品である。そのうち『ドキドキ!プリキュア』は、2024年現在21作品あるTVシリーズのうち10作目にあたる。放送は2013年2月3日に始まった。
“読むプリキュア”、小説プリキュアシリーズとは
 講談社キャラクター文庫から刊行されている小説プリキュアシリーズは、“読むプリキュア”として番組本編の主要ターゲット層よりも上、中学生以上の世代に向けて刊行されてきた。小説ならではの表現で世界観やキャラクターを掘り下げたり、TVシリーズでは描けない展開を盛り込んだり、様々な試みでプリキュアの新たな魅力を発掘し、世界を広げてきた。
 アニメとは多少異なる印象や雰囲気に戸惑いを覚えるかも知れないが、そのシリーズを大好きな人が読めば、きっとますます作品やキャラクターが大好きになることだろう。
気分は新シリーズ!? 次々と押し寄せる告知!
 『ドキドキ!プリキュア』本放送最終回から、ぴったり10年を迎えた瞬間のことだった。Xのプリキュアシリーズ公式アカウントより、キャラクターデザイン・高橋晃氏の描き下ろし表紙イラストとともに、「『小説 ドキドキ!プリキュア』出版決定」が告知されたのだ。
 その“公式のひと声”は瞬く間に、全世界の『ドキプリ』ファンの“心(プシュケー)”に火を付けた――“幻想(ユメ)”じゃねえよな…!?

 そう。『小説 ドキドキ!プリキュア』は、プロモーションの時点で従来とは一線を画していた。まるで映画や新シリーズの情報がじわじわと明かされていくように、様々な節目ごとにファンの期待を盛り上げる情報解禁が公式SNS他で次々と畳みかけられてきた。

 これはもはや、「関連書籍」や「スピンオフ」といった次元を遙かに超えている。アニメにとどまらず舞台など様々な形態で本格的なメディアミックス展開を見せ始めたプリキュアシリーズが、今度は小説というフィールドで「『ドキドキ!プリキュア』の5クール目以降」という新たなラインを立ち上げようとしているかのようにさえ思える。

文=祥太 (SHOWTIME) 出典:ダ・ヴィンチweb
『小説 ドキドキ!プリキュア』山口亮太

【レビュー】 『書くなる我ら』

物語を書くのは小説家、では編集者の存在意義とは?「文芸誌の編集者」のリアルを描く漫画『書くなる我ら』

 誰の心にだって、もてあましている言葉がある。もがき苦しみながらも、それを物語にするのが小説家という職業。小説家が身を削るように文章を紡ごうとするのだから、編集者だって、それと全身全霊で向き合い続けなければならない。そんな小説家たちと、それに伴走する編集者の姿を描いたコミックが『書くなる我ら』。静かにアツく働く者たちの群像劇に、心揺さぶられずにはいられないお仕事マンガだ。
 
書くのは小説家だというのに、編集者の存在意義とは何なのか。

地味に見える「編集者」という仕事に、これほど、熱い思いが隠されていただなんて。

文=アサトーミナミ 出典:ダ・ヴィンチweb

■ 内容紹介 ■
芸誌「群青」で働く天城勇芽は「小説界に熱い風を吹かせたい」と望む女性編集者。理想のラインナップで新文芸誌を作るべく、勇芽は作家のスカウトに奔走。女優、ミュージシャン、そして前科者に酪農家などなど。さまざまな人生を送り、ひと癖もふた癖もある「書く人」たちと出会い、物語を世に送り出していこうとするが…。物語を紡ぐ人と編んで送り出す人が正面から向き合う熱きお仕事群像劇、開幕!

『書くなる我ら』北駒生

■ あわせて読みたい ■ 著者 北駒生インタビュー


【その他10月に公開された記事】

・『フェイク・マッスル』江戸川乱歩賞受賞作/レビュー

「あの筋肉は本物? 偽物?」筋トレ×ミステリーが豪華選考委員たちをも唸らせた! 「江戸川乱歩賞」受賞作 | ダ・ヴィンチWeb

・『イクサガミ  天』 『イクサガミ  地』/レビュー

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・『そして5人がいなくなる 名探偵・夢水清志郎事件ノート』/レビュー

発売から30年経っても夢中になれる、はやみねかおるの「名探偵 夢水清志郎」シリーズ。読者を子ども扱いしない名作推理小説 | ダ・ヴィンチWeb

・『書くなる我ら』/著者インタビュー

「編集者の私が物語を左右してしまったのではないか」文芸誌編集者の漫画を描く中で見えた、彼らの謙虚さとは【北駒生インタビュー】 | ダ・ヴィンチWeb

・『毎日アン ミカ』/著者インタビュー

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