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かこさとしさん未発表の原稿『くらげのパポちゃん』、孫が絵を描き絵本に。テーマは戦争。2/5発売

『からすのパンやさん』や『だるまちゃんとてんぐちゃん』など、今もなお読み継がれているベストセラー絵本を数多く残したかこさとしさん。2018年に亡くなるまでに出版した作品はなんと600冊以上にのぼります。

かこさんの、戦争をテーマにした幻の遺作が見つかった――そうNHKが報じたのが2023年のことです。その原稿のタイトルは『くらげのパポちゃん』。しかし、見つかったのは原稿のみで、絵はついていませんでした。

長女の鈴木万里さんによると、晩年、かこさんは「戦争の本をつくりたいが、なかなかできない」と話していたということです。

『くらげのパポちゃん』あらすじ
舞台は終戦後しばらくたった頃の日本。ちいさなくらげのパポちゃんは、とある少年の父親が、戦地に向かう途中船が沈没し、亡くなったことを偶然耳にします。亡くなったまま行方知れずになっている父親を探す旅に出たパポちゃん。初めての大海原で海の生き物たちに出会いながら、最後、目にしたこととは……。

かこさんが約70年前に書いた原稿に、かこさんの孫・中島加名さんが絵を描き絵本化

かこさんの遺志を継いだのは、かこさんの孫である中島加名さん。奇しくも、かこさんが『くらげのパポちゃん』の原稿を書いたときと同じ年齢でこの作品に出会い、絵を描くことになりました。

加名さんは幼少期よりかこさんの側で育ち、かこさんの作品のモデルになったこともあります。そんな加名さんが、今度は祖父の軌跡や想いと向き合いひとつひとつの場面を描いていきました。

『くらげのパポちゃん』をかこさんが書いたのは1950年〜55年。もう70年も前のことです。600冊以上の作品を残したかこさんが、「なかなか描けない」と言っていたテーマが戦争でした。

『くらげのパポちゃん』に描かれているのは、戦争を二度と起こしてはならないという、かこさんの強い思いです。そのかこさんの思いを想像しながら絵を描いていくことは、孫と言えども簡単なことではなかったはずです。

出版に向けて奮闘した中島加名さんの姿は、NHKに取材されています。その記事は下記のリンクよりお読みいただけます。

記事内で、かこさんが書き残したパポちゃんのイラストが新たに見つかったエピソードからは、『くらげのパポちゃん』がかこさんにとって思い入れのある作品であることが伝わってきます。

2025年は、終戦から80年。「戦争を語り継ぐ」ことはたいせつなことですが、同時にそれはとても難しいことなのだと、かこさんと加名さんのエピソードから気づかされます。

『くらげのパポちゃん』はトランクを持った男の子を連れた母親が、桟橋で船を待っているあいだに、次のように語り、遠い海の向こうを見ているシーンから始まります。

「(男の子が)おかげでこんなに大きくなって、働きにでかけてくれることを、お父にひとこと知らせてあげることができたらねぇ」

その様子を見ていたパポちゃんは、お父に知らせに南の海に出かけます。

今、多くの人に伝えたい絵本です。

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