公認会計士が税理士登録する場合の提出書類について(所属税理士の場合)

私は現在、税理士法人に勤務しています。

入社後に税理士登録をするように法人から言われ、書類を取り寄せてもらったものの、どの書類に何を記載すればいいのかよくわかりませんでした。

公認会計士が開業税理士(後述します)として登録する場合の提出書類や記載方法の記事は検索するとある程度ヒットするのですが、所属税理士(これも後述します)として登録する場合の提出書類や記載方法についてはヒットしませんでした。

上記のようにネットで探しても見つからなかったこと、以前Twitterでアンケートを取ったところ一定程度の需要があったことから、実際に私が所属税理士として登録する際に提出した書類と記載上の留意点をまとめることにしました。

ただ、いきなり提出書類のことを記載するとわからない方もいらっしゃると思いますので、まとめの前にいくつかの前提知識の確認から始めようと思います。

1.前提知識その① 公認会計士は税理士登録が可能

公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)は税理士登録が可能です。その根拠は税理士法にあります。

税理士法
第3条 税理士の資格
次の各号の一に該当する者は、税理士となる資格を有する。ただし、第1号又は第2号に該当する者については、租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるものに従事した期間が通算して2年以上あることを必要とする。
一 税理士試験に合格した者
二 第6条に定める試験科目の全部について、第7条又は第8条の規定により税理士試験を免除された者
三 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
四 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)

2 (略)

3 第1項第4号に掲げる公認会計士は、公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了した公認会計士とする。

公認会計士となる資格を有する者についてはこちらの記事で書いてますのでご参照ください。

なおこの記事では公認会計士が所属税理士登録をするケースに限定して記載としようと思いますので有する者の方は悪しからず。

2.前提知識その② 公認会計士は税理士登録をして初めて税務業務が可能となる

公認会計士は税理士登録をすることによって税務業務を行うことが出来ます(ここ重要)。その根拠は税理士法に書いてありますので、確認してみましょう。

税理士法
第52条 税理士業務の制限
税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならない。

税理士業務(税務代理、税務書類の作成、税務相談)を個人で行う場合は税理士登録が必要、法人で行う場合は税理士法人を設立して業務を行う必要があることが上記で謳われています。

ちなみに私は税理士法人に所属していますので、私個人の名称で申告書を提出することはありません。すべての申告書に税理士法人名と代表社員の名前が記載されます。これは税理士法人として税理士業務を行っているからです。極端な話、私は税理士登録しなくても業務上支障はありません。

ところで、個人が公認会計士資格のみで税理士業務を行った場合、何か罰則はあるのでしょうか。税理士法を見てみましょう。

税理士法 第59条
次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 税理士となる資格を有しない者で、日本税理士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして税理士名簿に登録させたもの
二 第37条の2(第48条の16において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三 第38条(第50条第2項において準用する場合を含む。)又は第54条の規定に違反した者
四 第52条の規定に違反した者

2 前項第3号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

個人で税務業務を行う際は気を付けましょう。

3.前提知識その③ 開業税理士、所属税理士、社員税理士の違い

税理士登録する時は、開業税理士、所属税理士、社員税理士のいずれかの区分で登録しなければなりません。ざっくり説明すると以下の通りです。

・開業税理士:自分で事務所を開く場合の登録区分。ちなみに一般事業会社で税理士登録する時もここに含まれます。
・所属税理士:税理士事務所もしくは税理士法人で働く場合の登録区分。
・社員税理士:税理士法人の社員(いわゆるパートナー)になる場合の登録区分。

登録の面倒さで言うと、開業税理士>社員税理士>所属税理士
になると思います(あくまで私の感覚ですが)。

記事のタイトル通り、私は所属税理士として税理士登録することになります。

4.提出書類について

前提知識の整理も終わったところでお待たせしました。いよいよ提出書類のご紹介です。ちなみに公認会計士登録をする際の書類もそこそこ多かったですが、税理士登録の書類はもっと多く記載事項にも細かなルールがあるので心してください。

【税理会館へ持っていく書類たち(郵送も可能)】
①税理士登録申請書5通
②登録免許税領収書原本(6万円)
③登録手数料(5万円)
④写真3葉
⑤住民票写し1通
⑥身分証明書1通
⑦公認会計士登録証明書1通
⑧履歴書1通
⑨誓約書1通
⑩直近2年分の確定申告書のコピー(所得の内訳書等を含む)又は住民税の(非)課税(所得)証明書(所得の種類が確認できるもの)それぞれ1通ずつ
⑪ハガキ1枚
⑫所属税理士同意書1通
⑬念書1通
⑭自宅住所地等に関する確認について1通
⑮事務所予定地附近の略図について1通
⑯税理士バッジの選択
1通
⑰チェックリスト1通

【現地で必要なもの】
⑱登録書類記載時に使用した印鑑

上記をそろえればOKです。

5.留意事項

①~⑮の留意事項は以下の通りです。

①税理士登録申請書5通
これが一番記載が面倒かもしれないです。A3サイズと登録書類の中で最も大きく、慎重に記載しないといけない書類です。

5通出さないといけないのですが、すべて手書きする必要はありません。1枚手書きで、残り4枚はコピーでOKです。ただし署名と押印はそれぞれの用紙にしないといけないので、署名・押印前の申請書を4枚コピーしてからすべてに署名&押印しましょう。押印は捨印も含めて1枚につき2か所あります。

左半分から解説します。
まずは氏名(ふりがな含む)、性別、生年月日、年齢を記載します。
その後本籍と住所を記載するのですが、本籍は住民票または身分証明書に記載されているものと、住所は住民票と一言一句同じでないといけません

住民票では住所が区から記載されてたので、区から記載したら市から書いてください、って税理士会館の現地で手書きさせられました。一言一句同じで書いたのにおこやで。

また、所属税理士は税理士事務所or税理士法人(主たる事務所or従たる事務所)のいずれかの欄に事務所名or法人名を記載する必要があります。従たる事務所ってのは支店があるような税理士法人のことです。私が勤務する税理士法人は支店がありませんので、主たる事務所の欄に記載します。

ここで1点気を付けないといけないのが住所です。日税連の名簿に登録されている住所を一言一句書かないといけません。HPに載っているものは番地が省略されて「-」とかになってる可能性がある(実際そうやった)ので、必ず登録している住所を社内の方に確認してください。

後は大学の卒業年月日と学部(院の方は大学院、専門学校の方は専門学校)、会計士の登録年月日及び登録番号を記載します。これで左半分のページの記載が終わりです。

 右ページに移って、現在までの職歴を記載します。
記載する内容は以下の通りです。
・期間
・勤務先、その所在地
・勤務先における職位、職務の内容
・公認会計士登録年月日、その旨、事務所所在地

・期間
勤務先で働いてた期間を記載します。上段と下段に分かれており、開始と終了それぞれを区分して記載しました。全部和暦で(上段:平成〇年4月1日、下段:令和×年6月30日みたいに)
ちなみにこの期間、無職期間も含め申請日現在まで一日も間を空けてはいけません。

・勤務先、その所在地
その名の通り、勤務先とその所在地を記載する必要があります。私の場合は監査法人勤務、無職、税理士法人、といった経歴だったので、その通りに記載しました。この所在地も正式名称(番地省略NG)で記載する必要があるので、ご注意ください。

なお無職期間がある場合は、無職であった理由を記載する必要があります。正直、何書いたらいいかよくわからなかったので、電話して聞きました。旅行や病気療養とか記載される方もいらっしゃいますよーと回答をもらったので、「無職 旅行・読書」と記載しました。無職期間が6か月あるとまた別の書類を書かないといけないのですが、私は2か月の無職だったので書いていません。よって当該書類の解説は省略します。
余談ですが税理士登録の窓口の方、対応がとても丁寧でした。

・勤務先における職位、職務の内容
監査法人時代は「監査業務補助」税理士法人では「税務業務補助」と記載しました。特に職位とかは記載しませんでしたが、特に何も言われませんでした。

・公認会計士登録年月日、その旨、事務所所在地
左ページに登録日と登録番号書いてるのに、また記載させられます。
私はこのように記載しました。

期間:上段に登録年月日を記載
勤務先、その所在地:公認会計士登録、事務所所在地(登録証明書と整合するように記載しました。後述します)
勤務先における職位、職務の内容:空白

記載箇所は、最新の職歴のすぐ下に書きました。4段目に記載しました。

ようやく最後です。
残り4つ記載箇所があるのですが、上から「満たしている、該当しない、抵触していない、抵触していない」と記載します。

これでようやく記載完了です。

②登録免許税領収書原本(6万円)
取り寄せしたら必要事項がほとんど記載された領収証書が入ってます。
こちらで記載するのは、氏名(フリガナ含む)、住所、金額のみです。
私はゆうちょ銀行で支払いしました。

これは領収証書原本1枚を①税理士登録申請書(手書きしたやつ)の裏側に糊を使って貼り付けます。2か所割印しないといけませんのでお忘れなく(割印箇所がわかるようになっているので迷うことはないと思いますが)。

ちなみにこれは社内で出してもらえました。原本を貼り付けているので、立替経費申請時はコピーしたものを提出しました。

③登録手数料(5万円)
これは税理士会館に書類持ち込みをして書類の確認が完了した後に現金手渡しで払います。クレカや電子マネーは受け付けていませんので、キャッシュ下すのを忘れずに。

これも登録免許税6万円と同様に社内で出してもらえました。現金を渡した後、税理士会館の職員の方が領収書を出してくれるのでそれをそのまま社内で提出しました。

④写真3葉
おおむね縦2.8cm、横2.4cmという謎のサイズが3枚求められますので、私はお金を払ってカメラのキタムラで撮ってもらいました。

ちなみに男性は上着とネクタイ必須です。夏場に登録する際には特に注意しないといけません(クールビズのところが多いので)。

写真の裏には撮影年月日と名前の記入をお忘れなく。ちなみにうち1枚は税理士証票の写真になります。交換期間が登録日から10年なので、10年間この写真が使われます。しっかりキメていった方がいいと思います。

⑤住民票写し1通
区役所か駅の行政サービスコーナー、最近ではマイナンバーカードがあればコンビニでも取れますかね。

住民票の写しは本籍の記載が必須である一方、マイナンバーカードの記載がないものとなってますので、ご注意ください。

有効期限は3か月なのであまり早くとりすぎないように。

⑥身分証明書1通
本籍地の市区町村が発行したもので、
・禁治産者~
・後見の~
・破産宣告又は~
の通知を受けてないやつを取得します。すべて証明事項としないといけないので、ご注意ください。

私は本籍がまだ京都にあるので、実家帰るついでに京都まで取りに行きました。これも3か月の期限があるのであまり早くとりすぎないように。

⑦公認会計士登録証明書1通
会計士協会にお願いして郵送してもらうやつです。JICPAの会員ページからログイン>登録証明発行依頼をクリック、必要情報を記載して発行の申請をします。

税理士登録する時は事務所名の開示が必須になります。なお、公認会計士が税理士法人や税理士事務所に勤務する時は「自ら業務を営む」区分に該当します。

事務所名には公認会計士事務所を必ず入れないといけないので「○○(苗字orフルネーム)公認会計士事務所」がいいと思います。

そして事務所所在地なのですが、私は勤務先の住所にあわせました。最初は自宅住所で登録していたのですが、電話で聞いた時に勤務地とあわせた方がよろしいですよ、と言われましたのでしぶしぶ変更しました。

たぶん自宅住所でもいけるんちゃうか、と思ってるんですがすみません、責任はとれません。

この登録証明書、1通あたり1,000円かかります。封筒に原本と振込用紙が同封されていますので、到着してから事後的に支払えばOKです。コンビニで支払い可能です。

⑧履歴書1通
氏名(ふりがな含む)、生年月日、年齢、住所、学歴、職歴、賞罰・免許・資格を記載します。

学歴は、
・年月日
・学歴
を高等学校入学から記載します。昼夜の区分までなぜかみられるので、昼と夜のいずれかに〇をします。

ちなみに職歴は①税理士登録申請書の右半分と整合させないといけません。
こちらは、
・年月日
・職歴
のみ記載します。

年月日は記載欄が小さすぎて上段と下段に分けて期間を書くのがめっちゃ大変でした(やればわかると思います)。

職歴は会社名と会社でやってたことを記載します。事務所所在地は記載不要です。履歴書には「○○監査法人 監査業務補助」「無職 旅行・読書」「××税理士法人 税理士業務補助」と記載しました。

賞罰・免許・資格の欄は公認会計士の登録年月日、公認会計士登録、登録番号の記載をします(何回書かせるんや)。

この書類も2か所押印が必要なのでお忘れなく。

⑨誓約書1通
住所、氏名、押印が必要になります。住所は番地省略NGではなかったのですが、税理士登録申請書や履歴書と記載をあわせました。

⑩直近2年分の確定申告書のコピー(所得の内訳書等を含む)又は住民税の(非)課税(所得)証明書(所得の種類が確認できるもの)それぞれ1通ずつ
私は確定申告をしていなかったため、住民税の(非)課税(所得)証明書(所得の種類が確認できるもの)を区役所で発行してもらいました(1通あたり300円なので、合計600円)。

直近二年分の意味が年度によって変わってくるので、ご注意ください。
私の場合だと令和元年分と令和2年分の2つが直近二年分でした。

⑪ハガキ1枚
資料を取り寄せると同封されています。自分の家の住所と氏名を記載するという滑稽なやつです(何で今どきハガキやねん)。

⑫所属税理士同意書1通
これは所属している税理士事務所もしくは税理士法人の印が必要なので、社内で回付のお願いをする必要があります。

社内手続上、押印まで時間がかかることがありますので、早めに回付するのが良いと思います。

⑬念書1通
税理士会に出すやつです。住所、氏名、税理士事務所予定地、税理士事務所名称を記載します。

この住所は住民票通りである必要はありませんが、住民票通りに記載をあわせました。

税理士事務所予定地も日税連に登録されている住所とあわせる必要はありません。番地を省略して「-」で記載してしまったのですが、特段問題ありませんでした。

これも2か所押印があるのでお忘れなく。

⑭自宅住所地等に関する確認について1通
これも税理士会に出すやつです。住所、氏名を記載し、3つの質問事項に答えます。通常は「いる、掲げていない、使用していない」に〇がつくはずです。

これも住所は住民票通りである必要はありませんが、例によって住民票と記載をあわせました。

2か所押印があるのでお忘れなく。

⑮事務所予定地附近の略図について1通
氏名、事務所所在地、電話番号、利用交通機関、略図を記載します。
略図は既に法人で記載してもらっていました。従って、略図以外を記載することになります。自分で貼らないといけない場合はGoogle mapの地図を貼り付ければOKです。

事務所所在地は日税連に登録されている住所とあわせる必要はありません。
番地を省略して「-」で記載してしまったのですが、特段問題ありませんでした。

⑯税理士バッジの選択1通
写真を取り忘れたので正式名称を忘れてしまったのですが、税理士バッジをロータリー式とタイタック式どちらにしますか?という内容だったと記憶しています。

もし選択しなかったら男性はロータリー式、女性はタイタック式と強制的に選択されます。

これも1か所押印が必要でした。

⑰チェックリスト
取り寄せ書類の中にチェックリストが入っているので、該当する書類があればそこにチェックしていきます。これも提出対象なので忘れずに。

必要な箇所だけチェックしていけばOKです(もう不要になった書類もあるのにチェックリスト上に残ってました)。

6.提出までの流れ

書類を書き終えたらいよいよ提出です。

提出方法は郵送と直接持ち込みがあります。
郵送だと送料がかかるのと、間違っていた時の対応が面倒そうだったので、直接持ち込みにしました。

直接持ち込みの場合は、税理士会のHPから予約をしないといけません。
予約(申請受付日申し込みフォーム)より任意の日付を選択し、該当する時間に書類を持ち込みます。

記載した書類を登録担当者の方に渡し、その場でチェックが行われます(対面)。
チェックが終わると、まずコロナのせいで登録が遅れるかもしれませんけどいいですよね、という同意書にサインをさせられます。押印が必要となりますので、登録書類で使ったハンコを必ず持っていきましょう。

そして支部面接の日程連絡用ハガキに住所と氏名を書かされます(なぜハガキ…)。後日支部面接の日時が記載されたハガキが家に届きます。ちなみに支部面接の日程は支部で決まってるので動かせません(時間は動かせますけど)。

ようやく提出が終わると「新税理士法」という謎の本をもらえます。税抜3,600円とそこそこいい値段しますが、まだ1ページも読んでません。

7.終わりに

9月初旬、北参道にある税理士会館へ登録書類を提出し、無事家にハガキが届きました。が、業務の都合上どうしても行けないので、支部面接を1ヶ月ズラしてもらいました。

残りは支部面接と税理士証票の授与式のみとなりました。
またこれらについても追々記事にしていきたいです。

つづく

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