見出し画像

薬局(在宅)市場を数字で見てみました

前回に引き続き、また数字で薬局(在宅市場)を見てみました。ちょっと気になることがあったので、市場分析がてら、まとめてみました。そんなことしてるなら仕事しなさいという話ですが、データってウソつかないので好きなのですよね。今回は在宅医療の市場分析です。すなわち高齢化率と介護認定者数がどれだけいるのかということです。

都道府県別 高齢化率ランキング

まずは一般的な高齢化率のランキングです。ベスト・ワーストという表現は適切ではありませんが、そこはご容赦ください。これをマーケティング的に考えてみると、
「高齢化率が高い=現時点で市場がある」
「高齢化率が低い=これから市場が開ける」

という一つの指標が出来ます。
もちろん、首都圏など人口流入が多いところは絶えず循環をしているので一概に言えませんが、そういった変動要因は今回除外してます。
それではランキングです。

スライド1

統計局2019年1月データで今回は集計をしています。
1位は秋田県。その高齢化率は「37.16%」となっています。3人に1人は65歳以上となります。ちなみに日本の高齢化率は約28%です。20年後には無くなる可能性がある「消滅可能性都市」が最も多いのも秋田県となっています。
2位は高知県。国民一人当たりの医療費が段違いで多いことは有名です。高齢化率は「35.24%」となっています。ちょっと意外なイメージでした。(個人の見解です)
3位は山口県。鉄鋼やコンビナート関係の産業が有名で外国人労働者も多いイメージがある山口県。肉体系の仕事ということもあり、若い労働力も多い、またしても勝手なイメージですが「34.29%」となっています。両隣が「広島」「福岡」ということもあり、人口流出が多いのかもしれませんね。
4位は島根県。高齢化率は「34.27%」です。怒られてしまいそうですが、ちょっと納得な順位です。山陰地方は最近は悠々自適な生活を送れるということで若者から人気という報道もありますが、今後どうなっていくか注目です。
5位は徳島県。「33.65%」と四国では一番高い数字になっています。これまたちょっと意外な数字でした。ちょっと足を延ばせば兵庫・大阪といくことができます。そいうことも若手の流出につながっているのでしょうか。

次は下位ランキングです。
1位は沖縄県。「長寿」の県であり、「子宝」の県でもあります。「22.16%」という数字は日本では一番低いですが、実は世界第二位のイタリアの高齢化率が23%です。そうみると日本全体の高齢化というのも少し納得のいくことです。
2位は東京都。日本の中心であり、労働人口が最も多いエリアです。「23.5%」という数字も納得がいくような気がします。大学も多く学生が多いのも特徴の一つでしょうか。ただ、定住者よりも転居可能性のある浮遊人口が多いため、在宅の市場という点では何とも言えないですね。
3位は愛知県。ちょっと意外なイメージですが、東海の中心地です。やはり東京同様に大学や企業が集まっているので若い人たちが多いのでしょう。そうはいっても、中心地とその周辺では状況が異なるので、市区町村ごとの分析が必要になります。
4位は神奈川県。先述のとおり納得です。東京・大阪と2大都市のイメージが強いですが、実は人口が2番目に多い都道府県になります。
5位は滋賀県。今回の調査で一番意外なところでした。高齢化率は「26.01%」です。仕事がら全国色々と行ってますが、まだ未開の地「滋賀県」。人口も意外と多いのだなーとちょっとびっくり。(県民の方ごめんなさい)
こんな感じの順位となりました。皆さんのイメージ通りの順位でしたでしょうか。

都道府県別 介護認定率

次は都道府県別の介護認定率のランキングになります。「高齢化率が高い」=「在宅市場がある」とは言い切れません。対象となる介護認定者数がどの程度いるのかがポイントになります。
それではランキングです。

スライド2

これは統計局のデータに、厚労省のデータをミックスしたものになります。数字は2019年初旬のものになります。65歳以上の第1号被保険者数に対し、実際の認定者数の割合です。高ければいい、低ければよいという訳ではありませんが、こういった数字には少なからず、「介護認定を受けやすい」などのバイアスがあると言えます。
ベストの分析に対するコメントはちょっと、いらんことを言いそうなので、下位ランキングについてみてみます。
ワーストという表現がよくないですが、これは元気な方が多い、自立した生活が出来ている方が多いということなので、決して悪いという訳ではありません。
1位は茨城県。認定者の割合は「15.9%」となっています。高齢化率は「29.47%」です。あくまでも在宅市場という見方をすると、思ったほど市場は少ないのかもしれません。しかし、裏返せば元気な高齢者が多いという素晴らしい見本だと思います。
2位は山梨県。認定者の割合は「16.0%」。今回、単位を千人としているのでほぼ1位と同じくらいだと思います。高齢化率は「30.83%」。茨城県同様と言えるのではないでしょうか。
3位は埼玉県。認定者の割合は「16.0%」。同率2位ですね。高齢化率は「26.68%」と東京の隣県ですので高齢化率は低いと言えます。ちなみに今回はランク外ですが、同じく隣接する千葉県が「16.8%」、高齢化率「27.85%」ですので、首都圏は元気な方がおおいのですかね。
4位は栃木県。認定者の割合は「16.4%」。高齢化率は28.63%となっています。先日のランキングを見た方はちょっと気づくかもしれませんが、在宅患者調剤加算を算定している薬局の比率が低いとされてた北関東組ですが、茨城、山梨(甲信越ですが)、栃木、さらには群馬県(17.6%)と65歳以上の人口に対する要介護認定者数が少ない都道府県と言えます。こういったことが届出に関係しているとは言い切れませんが、リンクしていると、なんか勘ぐっちゃいますね。
5位は宮崎県。認定者の割合は「16.5%」。高齢率は「32.25%」です。高齢化率が高いにも関わらず、介護認定者割合は低いという珍しいデータになりました。宮崎県も在宅医療に取り組む薬局の割合が引くいというデータが前回取れましてました。こういったことが背景にあるのでしょうか。

最後におまけのデータ

関西圏の薬局は在宅医療に積極的だ!というデータが前回のランキングで見えてきたわけですが、なんらかの理由があるのかなっと思いまとめてみたのが次の表です。

スライド3

関東と関西で比較をしてみたわけですが、こういうデータをどう分析するかですよね。薬局運営という視点で見ると、介護認定者数が多いことはチャンスということになります。もっとマクロな視点で考えると、介護認定率の高低の原因はどういう所にあるのか、認定区分別の比率からどういうことがわかるのかなどが出てきます。

まとめ

2回に渡りランキングを作ってみましたが、ふと思ったことを実際に数字で見てみると意外と面白いものです。「こんな感じだと思う」という定性的(感情的)なものも、実際の数字で見ると「こんなだったんだ」「やっぱりこうだったんだ」と「定量的」(実数ベース)な考えに代わります。
実際の在宅マーケティングの場合は、このデータから市区町村に落とし、一定のエリアにどれだけの介護認定者がいるのかという所まで落として、ターゲティングをして行くのですが、今日はここまでということで。
意外となんか気づきがあったのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?