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数字で薬局業界を見てみました(息抜き)

地域支援体制加算の要件が新しくなった4月、そして新型コロナウイルス感染症対応による影響が続くなか、薬局業界がどのように変化をしているか、ちょっと数字で見てみたいと思います。なお、数字については各厚生局から集計をしていますが、多少の前後があることをご容赦ください。

新型コロナウイルス感染症対応による影響とは

通常であれば2021年度は調剤報酬改定の無い年ですので、あまり変化のない年ですが、今回は新型コロナウイルス感染症対応による影響もあり調剤基本料2以下の集中率が問われる調剤基本料区分に影響が出ています。

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飲食店・アパレル等が不要不急の外出自粛、営業自粛の影響で実店舗数を多く減らしている中、薬局数は2021年3月→2021年4月の1か月間で122店舗増となっています。
注目すべきは、応需枚数と集中率が問われる「調剤基本料2」です。業界全体としては処方箋枚数が減少している中、その影響を受けたとみることができます。全国で「316軒減少」という数字になっています。
集中率が問われる調剤基本料3(いわゆる大手チェーン対策)ですが、こちらは店舗切り離し(M&A)による結果なのか、0410対応による集中率の減少の結果なのか「286軒減少」という結果になっています。
続いて地域支援体制加算の届出ですが、これらの薬局が基本料1に復活したことが影響していると考えられます。全国で「257軒増加」という結果になっています。
「対物から対人」と業務の移行が求められる中、在宅医療への取組に力を入れる薬局が増えています。在宅実施回数10回以上の薬局が届出を出す「在宅患者調剤加算」の届け出数は「320軒増加」という結果になりました。

新型コロナウイルス感染症対応による処方箋枚数の減少に頭を抱える経営者が多いなか、「調剤基本料の復活+地域支援体制加算」という結果になった薬局も一定数あると言えます。

地域支援体制加算 届出数ランキング

分析用にデータを集計しているのですが、ちょっと興味を持ってしまい都道府県ごとの2つのランキングを作ってみました。一つ目は「地域支援体制加算の届出状況」に関するランキングです。届出薬局数ではなく、「施設基準を届けている薬局」を「保険薬局の届出数」で除しています。
気になるランキングはこちらです。

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1位は「奈良県」という結果になりました。その比率は保険薬局数の「約50%」という数字です。今回は調剤基本料1以外の薬局数も含めたデータになりますので、寡占化が進んでいる都道府県などによる影響もありますが、今回はさておき。。。
2位は同じく関西圏の「大阪府」。大阪府は対人口に対して薬局数が多いことも特徴と言えます。
3位は「長野県」。2021年3月から「▲24軒」ではありましたが、見事3位にランクインです。
4位は「徳島県」。分業率は60.1%(下位3位)ではありますが、多くの薬局が在宅医療に取り組んでいると言えるのではないでしょうか。
5位は「石川県」。こちらも約42%という高水準となっています。分業率が低いと言われる北陸3県ではありますが、石川県の分業率は66%となっています。

次に下位ランキングを見てみます。
5位は「山梨県」。県の薬局数の約1/5にとどまっています。調剤基本料1を算定している薬局数が405軒となっていますので、実際の在宅市場について興味があるところです。
4位は「群馬県」。群馬県も全体の80%が調剤基本料1を算定している都道府県です。山梨に続いて北関東の在宅状況に興味がわいてきます。
3位は「宮崎県」。先述の2件とさほど変わらない数字ではありますが、19.58%という数字にとどまっています。
2位は「栃木県」。北関東3つ目の登場となると、在宅医療は西高東低なのかという疑問がわいてきます。
1位は「沖縄県」。12.77%となっています。長寿の件として知られる沖縄県。皆さんが元気なため、対象となる方が少ないのか?!っとそんなことを考えてしまいます。

在宅調剤加算 届出数ランキング

続いては、在宅患者調剤加算の届出ランキングになります。こちらの加算は届出を忘れている薬局も意外と多いという施設基準です。(実際にデータを作成しながら、知り合いの薬局10軒ほど、お伝えしました)
また、「患者負担が上がるから届けていない」ということを怒られたこともあるなんとも難しい届出です。
地域支援体制加算と違い、調剤基本料による要件変更もないので、実際に在宅医療に取り組んでいる薬局数の調査にはこちらの数字を用いるのが適正かと思われます。

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1位~4位を一気に見ていきたいのですが、関西圏が独占をしています。として隣接する岡山県が第5位となっています。(ちなみに6位は北海道です)
在宅医療の西高東低説がいよいよ固まってきた!と思わず考えてしまいます。(そんなことはないでしょうが)

下位ランキングを見てみると地域支援体制加算では5位だった「山梨県」が1位となっています。注目すべきは届出薬局数ですが、地域支援体制加算を届けている薬局「94軒」に対し、在宅患者調剤加算は「76軒」と何らかの理由で届けていない薬局がいることがわかります。
1位~3位は先ほどのランキングと変わりはないですが、4位に「岩手県」がランクインをしています。
5位には「山形県」がこちらもランクインしています。

まとめ

今回は興味本位でランキングを作ってみましたが、全国規模で展開をしている薬局にとっては深堀をすれば面白いデータになるのではと勝手に考えています。このほかにも元データには統計活用できることが多くありますが、実際の薬局の届出数と在宅医療の実態(介護認定者数)などをミックスさせるとその地域における実態が見えてきます。
在宅医療が普及していないのか、それともすでに取り組んでいる企業による独占状況にあるのか。
また、時間があったらランキングでも作ってみたいと思います。
(本データは各厚生局のデータを基に作成をしていますが、アナログ集計のため多少の前後がある場合がありますのでご容赦ください)

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