もしあなたの店舗で陽性者が出たら・・・
新型コロナウイルス感染症の感染者が全国に広がる中、そろそろ他人事ではなく身近な話になってきました。今回は私が関わる「薬局」で陽性者が出た際の記録を簡単ではありますが、まとめてみます。
なお、対応については保健所も含め都道府県、市区町村差がかなりあると感じています。今回の事例はあくまでも数ある中の一つであることをご容赦ください。
九州地方にある薬局の事例
九州にあるチェーン薬局から受けた報告です。いくつか私のところにも報告が上がってきているのですが、直近の話を紹介します。
薬局スタッフが発熱「罹患」
基本的には保健所に報告し、保健所の指示を仰ぐことになります。地域によりますが、このエリアではまだ保健所に余裕があり、該当者への対応、そしてその企業への対応がスムーズに行われました。
このエリアへの保健所の対応ですが
2週間前まで遡り、一緒にいたスタッフは濃厚接触者として隔離しPCR
という指示です。
濃厚接触者の定義は地域地域によって異なりますが、このような指示を受けています。薬局の開局については、、、
スタッフ全員を入れ替えた場合に限り開局可能
(消毒等の対応は自社で必ず行うことが前提)
仮に、スタッフの入れ替えが出来ない場合は、開局不可とする。
このような状況となっています。当該薬局はローカールチェーンのため、スタッフを入れ替える余裕があったため、該当店舗職員を自宅待機とした上で、ヘルプスタッフによる臨時体制での営業を行っています。
濃厚接触者については、該当期間に一緒に働いたスタッフも対象になるということでした。
厳密に、どこまでのヘルプスタッフを濃厚接触者と考えるべきなのかの判断は難しいところではありますが、運営側としては非常に難しい判断が迫られるところです。
関東にある薬局の事例
感染者の拡大が続く関東で、他人事だった話が徐々に身近なところまで迫ってきていることを痛感しました。
日曜に従業員から発熱の連絡、後に「罹患」と判明
このエリアでの濃厚接触の定義は48時間前となっています。該当スタッフは保健所の指示のもとに、行動をしていますが、薬局に対する保健所の指示はありません。保健所の業務負担増が報道でも伝えられていますが、かなりキャパシティオーバーという感じです。
保健所からの指示が来ない。48時間となるがそのスタッフがいたのは1日のみとなっている。さぁどうすればいいのか。
他人事のように思っていたことが、いざ自分の会社にきたとき、皆さんはどういう対応をしますか?
保健所からの指示が来ない以上、経営者による判断が問われます。今回、このタイミングで私も相談を受け、一緒に対応を考えました。
それが正解かどうかはわかりません。色々な考えがあるかとは思いますが、皆さんも自分の会社だったら、店舗だったらということで考えてみてもらえるといいかと思います。
選択肢の一つ・・・
感染予防対策はしているので、該当者のみ隔離し、通常営業
多くの経営者の頭によぎるかと思います。また濃厚接触者の定義はマチマチで、いざ自店舗で起きた際の対応事例の共有がされていません。また、業界紙で見る大手企業やドラッグストアでは「消毒後、通常営業」と意外とあっさりとした記事になっています。
今回、おこなった対応
①自店舗および関わったスタッフ全員のPCR検査の実施
PCR検査や抗原検査は色々とありますが、最近はコロナにあやかってビジネス化しており、連携医療機関の無い検査など不確定要素が多いので、医療機関で行いました。(非常に費用が掛かります)
目的としては、従業員の安全性の担保や会社としての体制つくりの一面はありますが、「無症状感染」がある以上、リスクマネジメントとしてやる必要があると考えました。
この時、すでに門前医療機関には報告をしています。バレなければいいという考えは医療提供施設として認められません。このようなことは速やかに報告をすることが事後のトラブル回避にもつながります。
※この時点で関係する在宅患者関係者にも速やかに報告をしています。
②その結果、他スタッフの無症状感染者を発見しました。
何もないことを祈ったのですが、残念ながら同薬局内で他スタッフの陽性が確認されました。結果確認後、速やかに自宅待機と移行します。この時点で経営者にはまた葛藤が生まれます。
・明日以降の営業について
保健所からは連絡がこない中、経営者に決断が求められます。今回は門前医療機関がPCR検査を実施してくれたこともあり、医師も陽性者を確認しているので、素直に報告し相談をすることにしました。
・明日以降の休局とすべきか
・陽性者を自宅待機とし、他スタッフは都度PCR検査を実施し営業
結論だけを記すと、後者の営業継続という判断になりました。しかしながら、まだPCR検査の結果が出ていないスタッフがいることもあり、更なる陽性者が出た場合には休局という判断を行うことになりました。
(首都圏ではPCRの検査結果の遅滞も起きてきています)
先の九州の事例とは異なり、こちらの薬局はスタッフを入れ替えての営業は困難であり、万が一の場合には休局の選択をしなくてはいけません。
では、そのあとどうなったのか。これは現在進行中の話であり、ここまでとなっています。
最後に
今回の流れから、私見ですがワクチン接種が進められているなか、「打つ」「打たない」は個人の意見が尊重されます。しかしながら、こうなったときに接種の有無はやはり気になってしまいます。今回は2名とも非接種者でした。なんとも歯がゆいものです。
外出自粛が求められる中、医療提供者はより一層の意識が重要になります。しかしながら、生活や住環境によってはリスクヘッジ出来ないものもあります。子供の学校からの感染、シェアハウス等の共同生活の場での感染、こんかケースも増えているようです。
個人が特定できないようにとはなっていますが、親が感染し子供も濃厚接触(のちに感染)となれば、必然的に学校等から個人特定につながることも考えられます。
「私は大丈夫」本気か冗談か、よくこんな声をききますが、実際に感染してから「コロナをなめてはいけない」といっても都合のよい話にしかなりません。
目に見えない脅威である以上、どれだけ予防していても感染のリスクはあります。それは仕方のないことです。しかしながら、やはり関わる多くの方に影響を及ぼすのが今回の感染症です。
決して安易な判断はせず、医療に関わるものとして、必然的な行動取っていくことが重要と改めて感じることになりました。
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