『天下繚乱』とは
ようこそ、『超時空時代劇TRPG 天下繚乱』(以下、『天下繚乱』)の世界へ!
『天下繚乱』は2021年5月末に発売される予定の、TRPGというゲームの本だ。
これからしばらく、このnoteでは『天下繚乱』があなたにどれほどの素晴らしいゲーム体験をもたらすかについて紹介していく。
■テーブルトークRPGとは?
テーブルトークRPG(TRPG)は、ひとりのゲームマスター(GM)と、1~5人程度のプレイヤーによって進行する遊びだ。一般的には、プレイヤーは2~4人程度いるとよい。
プレイヤーであるあなたはは架空の江戸時代“化政時代”で活躍するための自分の分身となるキャラクター、“英傑”を作成してゲームに参加する。
GMは英傑が活躍するための舞台と、おおまかな物語や敵役を書いた“シナリオ”を用意し、プレイに望む。
必要になるのはサイコロ2~10個(最低2個)と、筆記用具、そして『天下繚乱』のルールブックだ。ルールブックはGMがもっていさえすればそれでよいが、プレイヤーが持っているほうがより楽しく遊べるだろう。
実際のゲームは友人たちとテーブルを囲んでもよいし、オンライン上に仮想のテーブルを構築することもできる。
そしてGMは英傑たちに、冒険の状況を口頭で伝え、「~~という状況だが、さて君はどうする?」と問いかける。それに対し、プレイヤーが「ではこのようにするよ」と答えることでゲームは進行する。
それが戦闘のような行為であれば、GMとプレイヤーはルールに乗っ取って手順通り進めることで状況を解決することができる。
難しくないかって? いいや、とても簡単だ。
あなたは定められた[判定値](【体力】や【命中値】など、さまざまなパラメータがある)に、サイコロ2個の出目を加算する。[判定値]と出目の合計がGMの決定した[目標値]以上なら、あなたのやりたいことは成功する。
たとえばあなたのキャラクターが岩を持ち上げるとしよう。
GMは「【体力】判定で[難易度]は10だ」と告げる。あなたの演じる英傑の【体力】が4なら、サイコロをふたつ振って、6以上が出れば[難易度]以上となり、あなたのキャラクターは岩を持ち上げることができる。
これだけだ!
悪人を切り倒すのも、もつれた謎を解き明かすのも、東海道を眠らずに走り続けるのも、すべて同じ方法で処理することができる。
サイコロをふたつ振って、その出目を[判定値]に足すことさえ覚えておけば、あなたは『天下繚乱』のルールを理解したと言って問題ない。
■もうひとつの江戸時代~化政時代~
『天下繚乱』の舞台となるのは、“化政時代”と呼ばれるもうひとつの江戸時代だ。
この世界は、我々の住む現実と同じ歴史をたどった江戸時代が、“時空破断”という異変によってグチャグチャにかき回されることで誕生した。
それ故に、化政時代はあらゆる江戸時代に似ているが、どの江戸時代でもない――ありていにいえば、テレビ時代劇やコミック、和物のゲームで見た、“どこかでみた江戸時代”、それが化政時代なのだ。
江戸城には将軍が君臨し、大路には武士と町人とがごった返し、農村には善良な百姓たちが額に汗して働いている。懐かしく、どこかで見た“存在しなかった、しかし確かに存在した過去”。
それがあなたたちの冒険の舞台だ。
■あなたたちのヒーロー・英傑
『天下繚乱』世界でプレイヤーが演じるのは、“英傑”と呼ばれる時代劇のヒーロー・ヒロインだ。
“英傑”は天によって選び出され、数奇な宿命からこの世を脅かす悪と闘う宿命にある。英傑の前には必ず悪が現れるのだ。
英傑はどのような身分・性別・民族でも存在しえる。あなたが想像する時代劇のヒーローは、それが何であれ、『天下繚乱』の世界に存在する。
侍、花魁、姫、渡世人、異民族、盗賊――キャラクターの立場は様々で、価値観もそれぞれだが、英傑は悪と闘う宿星を持って生まれてくる。
それは正義のためかもしれないし、愛国心のためかもしれず、単なる復讐心や金のためであるのかもしれない。そもそも何も考えていないのに、なぜか不運ゆえに悪と闘う羽目になってしまうのかもしれない。
どのような動機で悪と闘うかは、あなたのアイデア次第だ。あなたの演じたいヒーロー像に合わせて自由に決めるとよいだろう。
■悪~妖異~
妖異(ようい)。それは化政時代を脅かす姿なき邪悪だ。物質世界の裏側に存在する“魔界”に住まう妖異たちは、世の中を妬み、嫉み、恨む心から生まれてきた。
妖異は人や動物に取り憑き、その欲望を増大させ、“羅刹(らせつ)”と呼ばれる怪物へと変えてしまう。時代劇に登場する邪悪な悪代官や凶暴な辻斬りといった、やり過ぎなほどの悪事を働く悪漢どもは、この化政時代においては本当に悪――妖異に取り憑かれた人々なのだ。
時空破断で化政時代が生まれて以来、妖異の脅威は増大する一方だ。妖異には通常の軍隊は通用しない。立ち向かうことができるのは、宿命に選ばれたヒーロー、英傑だけ――そう、あなただけなのだ!
■英傑たち
『天下繚乱』のキャラクターは、3つまでのクラスを組み合わせて作成される。
クラスはキャラクターの天分、あるいは役割分担をあらわす“基本クラス”と、化政時代でどのような生き方をしているかをあらわす“サブクラス”からなる。“基本クラス”は最低1つ取得しなければならない。
クラスは複数同じものを取得することができ、その場合、そのクラスのレベルが増加する。つまり、あなたは合計3レベルまでのクラスを選んで取得できるのだ。イメージできないときは、基本クラスひとつ+サブクラスひとつからはじめて見ればいいだろう。
▼客人(まろうど)クラスと種族クラス
サブクラスの中には、異邦から訪れたことをあらわす客人クラスと、人ならざる種族であることをあらわす種族クラスがある。これらのクラスは、それぞれ1種類しか選択できない。
●青龍(せいりゅう)
青龍は基本クラスで、単体の強大な敵に大ダメージを与えることに優れている。蘭学でいうところのアタッカーである。
●朱雀(すざく)
朱雀は基本クラスで、複数の敵を同時に攻撃したり、相手の行動を阻害することに長けている。蘭学でいうところのデバッファーである。
●白虎(びゃっこ)
白虎は基本クラスで、味方に対するダメージを軽減したり、攻撃を引き受けることに優れている。蘭学でいうところのディフェンダーである。
●玄武(げんぶ)
玄武は基本クラスで、味方を指揮し、回復したり支援することに秀でている。蘭学でいうところのバッファーである。
●陰陽師(おんみょうじ)
陰陽師は陰陽の技を操り、五行の諸力を自在に操ることができるサブクラスである。
●影忍(かげにん)
影忍はいわゆる忍びの者をあらわすサブクラスである。手裏剣や体術を自在に使いこなし、闇から闇へと跳梁する。
●鬼神衆(きしんしゅう)
鬼神衆は鬼――すなわち妖異の力を我が身に宿し、鬼を滅ぼす忍者戦士をあらわすサブクラスである。
●剣客(けんかく)
剣客は日本刀をはじめとする武器を自在に使いこなし、悪を打ち砕くサブクラスである。武器は刀に限定されるものではない。
●仕事人(しごとにん)
仕事人は弱者の晴らせぬ恨みを金で晴らす暗殺者をあらわすサブクラスである。
●神職(しんしょく)
神職はカミに仕え、カミの力を引き出すことができる神主や巫女をあらわすサブクラスである。
●天下人(てんかびと)
天下人は征夷大将軍や先の副将軍、お忍びの将軍の隠し子、といった、「身をやつして活動している権力者」をあらわすサブクラスである。
●妖怪絵師(ようかいえし)
妖怪絵師は目に見えない妖怪を描き出し、力とすることができるサブクラスである。
●蘭学者(らんがくしゃ)
蘭学者は蘭学、すなわち異国の科学技術を用いて、本来ならばこの時代に存在するはずのない超兵器を使いこなすことができるサブクラスである。
●異邦人(いほうじん)
異邦人は日本以外の国、アメリカやロシア、あるいはアイヌモシリ(北海道)や琉球王国から来訪したキャラクターをあらわす客人クラスである。
●いくさ人(いくさにん)
いくさ人は戦国時代からタイムスリップして化政時代に迷い込んだ戦国英雄をあらわす客人クラスである。
●新選組(しんせんぐみ)
新選組は幕末の京都で活躍した剣客集団をあらわす客人クラスである。彼らもまたタイムスリップし、妖異を滅ぼすために独自の活動を行なっている。
●鬼(おに)
鬼は強烈な怨念によって妖異たちの支配する魔界に囚われ、魂を歪められた存在をあらわす種族クラスである。PCである鬼は、閻羅王の支配を脱して人界で生活している存在となる。
●神霊(しんれい)
神霊は神の分霊や、付喪神のような小さな神をあらわす種族クラスである。
●妖怪(ようかい)
妖怪は人ならざるもの、目には見えぬものをあらわす種族クラスである。妖怪は常に我々の側にいる。
これらのクラスのデータは、すべて『天下繚乱』基本ルールに掲載され、今後もサプリメントや『Role&Roll』誌上で拡張されていく予定だ。
もちろん、ルールブックにはシナリオが付属するし、公式サイトなどでもシナリオは無料で拡張される。他にも様々な新企画があなたを待っている――化政時代があなたを退屈させることは決してない!