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【天下繚乱】サンプル紹介⑨ 幻想の描き手

「ご覧なさい。これが私のトモダチです」

07幻想の描き手

 絵が、好きだった。
 それも、役者絵や山水画などではない。この世ならざる世界、昔話やうわさ話に現われる妖怪たちを書くのが好きだった。
 大人たちは誰も、そんなものはいないと言った。見えないと言った。だが、キミには“見えた”。家の片隅には座敷童子が、夜道には提灯お化けが住んでいる。それは夢や幻かもしれなかったけれど、確かにキミのトモダチだった。だからキミは絵に描くことで、彼らを現実にしてやろうと決めた。
 いく人もの師匠について、キミの画力はめきめきと向上した。そしてある日、ついにその絵は形を取って、キミの前でぺこりとお辞儀をした。驚くキミに、妖怪たちはこう言った。「人間の世界と妖怪の世界に、妖異という敵が迫っている。“村雨丸”という剣がなければ、世界はこのまま滅びてしまう。どうか力を貸して欲しい」と。もちろんキミが、トモダチの頼みを断わるはずがなかった。

 “幻想の描き手”は、攻撃に特化した魔法使いだ。

 描くたびに巨大化する《妖画:見越し入道》を描くことでダメージをどんどん高めることができ、《屏風絵巻》に妖怪を描くことで、複数の敵を薙ぎ払うことができる。

 戦闘以外でも、《妖画:付喪神》を描き出せば、様々な道具が現れて行動を手助けしてくれる。

 あなたが妖怪の力によって、戦闘でも探索でも活躍したいのなら、“幻想の描き手”はもっともうってつけのキャラクターだ。あなたの描き出す妖怪たちは、どんな時でも仲間の英傑たちを助けてくれることだろう!

●クラス解説~妖怪絵師(ようかいえし)~

 妖怪絵師とは、古今東西の妖怪をおどろおどろしくも活き活きと描き出す異端の芸術家である。その筆が活写する妖怪たちは、迫真性のあまり実体を帯び、絵を抜け出ては不可思議なる妖力を振るうのだ。

 その発祥は最古の妖怪絵とされる、聖徳太子ゆかりの寺である斑鳩法隆寺の玉虫厨子の鬼の絵が発祥まで遡ることができる。

 以後もさまざまな絵師が魂を込めて描いた妖怪絵が実体化する、という怪異は頻出し、妖怪の多くはそのようにして生まれた。しばしば「何某という妖怪は絵師の創作だ」と言うことがあるが、これは違う。人の思いが妖怪を生むのだから、偉大な芸術が妖怪を生むのは当然である。

 妖怪絵師は描き出した妖怪によって様々な支援を得ることができる。《描かれし従僕》によって、妖怪を長時間実体化させてサポートを得ることもできれば、《妖画:豆腐小僧》によって回復を行なうこともできる。あなたの描き出す妖怪たちはまさに百花繚乱だ。

 陰陽師や神職ほどトリッキーなことはできないが、その分妖怪絵師のデータはわかりやすく強力だ。あなたが魔法使いとして活躍したい、妖怪たちとともに戦いたいというのなら、妖怪絵師は最良の選択肢のひとつとなるだろう。

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●次回予告

 次回は弱者の晴らせぬ恨みを晴らす暗殺者、“仕事人”について紹介しよう。


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