Theme 7: ステイホーム
(全3話 その3)
医師/精神分析家(慶應義塾大学環境情報学部)
岡田暁宜(おかだ・あきよし)さんが綴るワンテーマ・エッセイ
《ぼくたちコロナ世代》避密ライフのこころの秘密
Theme 5「リモート」と続けて読むと 味わい深い? かも...
3/3 パーソナルスペースについて
家族と同居している人が、今回の《ステイホーム》によって、家庭内で互いの“パーソナルスペース”を保つことが難しくなったならば、それまで「同居ができるほどに互いのパーソナルスペースを受容していた」というのが実は幻想であり、それまで“マスク”されていた「パーソナルスペースの不適合性」が顕在化した、と考えることもできるかもしれません。
↑ ここまで【前半】
ところで、“パーソナルスペース”は、ライフステージによって変化すると思いますし、「依存」や「スキゾイド心性(他人との親密さを求めない気持)」などのパーソナリティとの関係もありますし、さまざまな状況に対して「適応」的に変化するものでもあります。
一時のような強い制限はなくとも、コロナによって《ステイホーム》風の生活は普通になりつつあります。これを契機に、自分の“パーソナルスペース”について再認識して、相互の理解に結びつけるのも、よいかもしれません。
また、ひとり暮らしの人のなかには、広い“パーソナルスペース”を好む人がいるでしょうし、大学生や社会人にも、あえて独居を好む人もいるように思います。実際に、今回の《ステイホーム》によって大学などでの「対人関係のストレス」が軽くなった、と体験した人もいます。
就学や就労のために止むなく独居をしている人にとっては、《ステイホーム》は非常に耐え難かったでしょうが、自分にとっての「他者」の存在というものを再考する機会になればよかったかな、とも思います。
Theme 7「ステイホーム」おしまい
これまで意識していなかった「パーソナルスペース」というものを
どのような捉えましたか?
コロナ時代は様々なフェーズで、対人関係の距離を物理的にも心理的にも
考える機会を与えてくれているようです。