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独立する前にやっておくといいこと

私は2014年10月にそれまで15年勤めていた監査法人を退職し、会計事務所を開業しました。今年でちょうど10年になりますので、当時を振り返りつつあの時こうしておいてよかったなとかこれをやっておけばよかったということを紹介したいと思います。思いついた順に書きますのでまとまりはないかもしれません。


個人のメールアドレスをつくる

学生時代の友人、先輩後輩、前職の同僚や知人など、法人の名刺を渡すことが多いと思います。できればそれに加えて個人のメールアドレスを渡しておくとよいです。独立後、せっかくあなたに連絡を取りたいと思ったときに法人のアドレスだけだと連絡が取れなくなってしまいます。少しフォーマルな間柄だとLINEなどではやりづらいですし、Gmailなどの無料アカウントでもよいですが、なるべくなら独立後そのまま仕事で使うドメインでやり取りしていた方がスムーズだと思います。コストも月数百円程度ですので、独立開業を考えていなくても作っておいて損はないはずです。
当たり前ですが個人アドレスで法人業務の内容をやり取りするのは厳禁です。
私は法人に退職を伝え有給消化中にアドレスを作りましたがもっと前から作っておいたほうがよかったなと少し後悔しています。

同業のネットワークを作っておく

公認会計士というのは特殊な士業で、通常同業者はライバル同士なのですが公認会計士は同業からのお仕事の紹介が非常に多いです。例えば監査で関与している同業から、顧問税理士として、監査役として、あるいはアドバイザーとして紹介を受けることがしばしばあります。もちろん税理士や他の士業でも自身の専門分野以外の問題に対してそれを専門にしている同業を紹介することはありますが、公認会計士はその機会が圧倒的に多いように思います。
したがって同業のネットワークは営業パイプラインとして重要です。
いちばんこのネットワークがあるのは在職していた監査法人でしょう。ですので法人を退職する際は円満に退職すべきです。急に退職する、繁忙期直前に退職するといった非常識な辞め方は慎みましょう。

1年分の生活資金を確保する

最低限半年、できれば1年分の資金を確保してから独立しましょう。これは貯金でもいいですし、借入でも、受注が確実な仕事でもいいです。自転車操業だと安い報酬で業務を請け負ってしまったり。飛びついてはいけない仕事に飛びついてしまったりなど事業主としての判断力が鈍ります。
ただし、「受注が確実な仕事」の見積は慎重にすべきで「独立したときは契約してね」という言葉のほとんどは実現しないのが開業あるあるです。

税理士登録を申請する

私の場合は9月末に監査法人を退職し、10月6日に税理士登録の書類を東京税理士会に提出、12月中旬に登録が完了しました。当たり前ですが税理士登録が完了しないと税理士業務はできませんし、その営業もできません。
税務業務をやるつもりならば開業から税理士登録完了までの空白期間はなるべく少なくした方がよいです。
また私の経験談でいうと公認会計士が税理士登録をする際に念入りに聞かれるのは、その空白期間どうやって食っていたのかということです。要するに資格がないのに税理士業務を行っていたことはないと説明しなければなりません。いずれ税理士業務を行う可能性があるのであればなるべく早くに登録しておいた方がよいと思います。

金融機関から融資を受ける準備をしておく

会計事務所の開業にはそれほど多くの投資は必要とせず、自宅開業ならば融資を受けるまでもないでしょう。しかし先に述べた資金をなるべく多く確保するためにも融資を受けるのは有用ですし、数年経って事務所を拡大するときに融資が必要となった場合に実績があると有利です。ここでいう実績とは、当初融資を受ける際に提出した事業計画が達成されていること、返済も滞りなく行われていることの二点です。
ですので開業当初に融資のニーズはなくても検討する価値はあります。
創業時の融資といえば日本政策金融公庫ですがこちらの門を叩くのがよいでしょう。現在はWEBで融資の申請ができますのでハードルは下がっています。

業務で使うパソコン・プリンタを買う

監査法人に勤めているとパソコンは法人から貸与されますし事務所のプリンタは使い放題です。独立したら当然ですがそういったデバイスは自分で調達しなければなりません。会計事務所で必要な電子デバイスの紹介は別の記事に書こうと思いますが、少なくともパソコンはないと仕事にならないでしょうし、プリンタは私のように極力ペーパーレスにしているタイプであっても多少の印刷は行います。これらは機種にこだわらなければ家電量販店に行けばすぐに手に入りますが、メーカーサイトから注文すると1ヶ月以上かかることがあります。

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