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【ショートコンテ】くらくなるまえに

作:永里健太朗

真夏の暑さの中で都会の喧騒以上にセミの声が聴こえる
電話をしている1人の男
仕事で大きな何かあったのか相当焦っている、だが声はセミの声にかき消される
灼熱の暑さもあり男の焦り苛立ちが膨らんでくる
男とは反対にセミの抜け殻がどこかむなしい
男は一方的に電話を切られる、爆発しそうな感情を抑え男は突然走り出す
細い路地を小走り
すごい形相で駅の階段を駆け上がる
遠くから男が走ってくる、セミの声が徐々に波の音に変わっていく
男は砂浜をスーツ、バックを投げ出しながら駆けてくる
そして男は今までためていた感情をむき出しに海に向かって大声で叫ぶ
男はジタバタしながら子供のように海に向かって叫ぶ、だがその声は全て波に飲み込まれる
叫び疲れたのか夕暮れ刻海を眺めている男
そこに奥さんから電話
買い物のお願い
娘が寝たか聞き電話をきる
また海を眺める男、いろんな感情の中男はゆっくり立ちあがる
タイトル『くらくなるまえに』
日が沈み暗くなる前の富士山がそこに佇む

全部夏の暑さのせいだ

日頃がんばっているんだから嫌な事があったらたまには海に向かって大声で叫んだり、スーツのまま海に入ったり、夕暮れまでボーっとしてもバチは当たらないから
愛する家族の為また明日からがんばろう

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